(なんぶあや3さいです。
そーまさまを、いのちをかけておまもりします。)
(そーま様をいじめるな!
私がお守りします!)
(彩ちゃん、上級生相手に無茶だ!)
(ごめんなさい、そーま様。私がもっと強かったら…。)
(彩ちゃんのせいじゃないよ、僕が弱いから…。)
(彩くん、今度の日曜良かったら僕と…。)
(申し訳ございません。その日は稽古が…。)
(彩くん、県大会優勝おめでとう!)
(いえ、この程度は自分として当然であります。
申し訳ございません、剣道だけでなく、弓道の稽古もありますので失礼します。)
(蒼磨さま…?そちらの女性は…?)
(あぁ、父上が決めた私の婚約者となる奥村佳代さんだ。
僕が高校を卒業したら同じ東京の大学に通う予定だ…。)
(婚約者…?)
(彩くん、君は良くやってくれた。
私は今年から北条学園に通う為に一人暮らしを始める。
今までありがとう。)
(蒼磨様、お願いします。
どうか自分をお傍に置いて下さい。
お料理も掃除も洗濯も、自分はもっと頑張りますから…。
将来、蒼磨様が奥村のお嬢様と一緒になられても構いません!
ですからどうか自分をお傍に…。)
『南部彩、本当にそれがお前の本心か?
本当に今のままでいいのか?
奥村のお嬢様に愛しの蒼磨様を易々と譲るつもりか?そんな覚悟で中学三年の時に蒼磨様のアパートに押し掛けたのか?』
(違う、私は私は…。
あんな女なんかに…!渡しはしない!!)
「うわぁ~!」
白い壁。白い部屋。
保健室のベッドに横たわる私は夢を見ていたようだ。
「南部先輩!良かった!気がつかれたんですね。
全く、三好先生て手加減なしに南部先輩を気絶させるから…。
あの、その…。ごめんなさい、南部先輩…。」
宇都宮さんは退場となり、保健室で私の面倒を看てくれていたようだ。
「自分は大丈夫だ。だが二度とするな…!相手以上に君の心に傷を作るからな。」
「ごめんなさい…。」
「ガラッ!」
「南部先輩!大丈夫ですか?」
狭い保健室に部員達が押し寄せてきた。
「試合が終わったようですね…。」
「最後は凄かったんですよー!
小菅くんのパスに飛び出した片倉先輩がシュートして、榎田先輩が防いだ所を高坂先輩が押し込んだんでドローです!」
「…まぁ、悪くない…。」
「あら、瑞穂ったら。ゴールを決めた瞬間、片倉くんに抱きついたは誰?」
「最上、言うな!」