「おそらく正常な精神状態でない君は、正常な判断が出来ずにこんな行動をしたんだろうが…。
ピッチでは結果が全てだ…。
宇都宮さん、レッドカード、退場だ。」
「ち、違うんです、私、私…。」
「自分は大丈夫です。
さぁ、試合を再開しましょう。
くっぅ…。」
南部先輩は怪我の状態を看る三好先生を制止し、無理矢理立ち上がりました。
三好先生はすぐに
「馬鹿言いなさい!試合なんて無理に決まってるでしょ!
骨に以上はないけど貴女の右足首は酷い捻挫と打撲よ!
それにスパイクでの裂傷もあるわ!
高坂さん、真田くん。
直ぐに南部さんを交代させて。
とりあえず保健室に連れて行くわ。」
「先生、自分は大丈夫です。
交代はしま…せん。
自分は…高坂さんとまだ正式な勝負をしていません!
決着を…」
「…南部、今回は私の負けだ…。
お前の闘志はわかった…。
致命的な怪我にならぬように交代してくれ…。」
「出来ません!
自分はまだ闘えます。」
「三好先生、すみませんがお願いします。」
「わかったわ。」
真田先輩に促され、三好先生は一瞬で南部先輩の背後に回る。
「全く、大和撫子どころか、カミカゼね。
貴女が無傷で刀を握られてたら、こんなに楽には行かないんだろうけど…。」
南部先輩の首に手を回したかと思うと、一瞬で気絶させた。
「大丈夫、ちょっと眠らせただけよ。
保健室に運ぶわ。
その後試合を再開して。」
「南部先輩、ごめんなさい私、何てことを…。ごめんなさい…。」
遂に真樹ちゃんは泣き出した。
茉奈ちゃんがまた何か言おうとしたが、高坂先輩が茉奈ちゃんを鋭く睨み付け、目だけで黙らせた。
「宇都宮さん、真田家の家訓『怖れを恐るな』だ」
泣き崩れる真樹ちゃんに真田先輩が優しく肩に手を触れ、言葉をかけた。
「えっ?真田先輩?」
「『怖がっている自分』ってのを自分で認識するだけで君の不安と恐怖は半分になる。怖がることを怖がる必要ないさ…。」
「…真田の言う通りだ…。
この状況で泣けるお前は、成長の延びしろがまだ残されている…。
だが、今日のお前は退場だ…。
京子!早く南部の代わりに入れ。
宇都宮が抜けて10vs11だが、お前が入ったらほぼ互角だからちょうどいい!」
「もう!瑞穂ったら、そもそも書道部の私にもう少しましな言い方あるでしょう?
入ります、でも私、ずっとまー君の近くに居るからね!」
「…構わん…。」