「我が友よ、本当に大丈夫なのだろうな?
門から屋敷の扉までの移動中に再び矢を射ってはこぬだろうな?」
「カイレフォンにプルートよ、大丈夫だ。
弓を引いた本人が一番この結果に驚かれている!
それに非戦闘員である屋敷の小間使いが私達を案内してるのが何よりの証拠だ。
殺すつもりなら既にやっているさ。」
「だといいんだが…。」
「元老院閣下はこちらの部屋でお待ちです。」
「イカロス司令官入るぞ!」
「これはこれは、ようこそお出で下さいました。
どうぞお掛け下さいませ。」
「偉くなった者だな、イカロスよ!」
「名誉市民に、歴戦の傭兵。そして無敵のレスラー殿。
我がルテミス共和国を代表する英傑が揃えば、我が国の永久の安泰を約束されたも同然ですな。
さて、まずはあなた方の要求、要望を聞きましょう。」
「イカロス司令官よ、私達が話し合うにはまだ一人足りない!
先ほど矢を射った者を同席させよ。」
「軍規規律官殿、誠に申し訳ない。
私はプルートさんと話し合うつもりでしたが、あれは私の意志ではなく…。」
「そんなことはどうでも良い!
早くここへ連れてこい!
元・ロイセン王国の女狩人にして、デルフォイの神殿の次期巫女長と呼ばれたロディテ様を!!」
「…知っておられましたか…。
さすがは亡き巫女長様が『最大の賢者』との神託を出されただけのことはある…。」
「我が主よ、どういうことだ?
私達はロディテ様が殺されたと聞いたから集まったのに、そのロディテ様に狙撃されたのか?」
「我が友よ、それに巫女長様が死んだとは…?」
「マイクル、連れてまいれ。
百聞は一見にしかずだ。」
「プルート様、カイレフォン様。
全ては私が悪いのです…。
どうかイカロスを責めないで下さいませ。」
「ロディテ様!
生きておられたのですね。
しかもそのお腹は…。」
「プルートよ、間違いなくイカロス司令官の子供だ。
愛する者を守りたい衝動で反射的に弓を引いたのであろう…。
全く身重の身体で無理をなさる…。」
「私は…黒覆面の集団に襲われかけましたが、十字架を首から下げた騎士達に救われ、イカロスのこの屋敷まで送り届けられました。
しかし、プルート様も黒覆面の仲間と思い思わず弓を…。
お弟子の方には何とお詫びしてよいやら…。」
「思考と行動が一致せぬ故に女は好かぬ!」
「司令官達とプルートにカイレフォンよ。
私の条件を聞け」