カイレフォンの友人第二章 20 宿命への反逆編 0 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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灰色のマントに緑の服を着た少女の妖精「バンシー」は泣きながら「死に行く者」の名を告げる。

名を告げられると首なし騎士の「デュラハン」が首なし馬車を駆り「死に行く者」の舘に訪れる。彼から桶一杯の血を浴びせられた者は、翌朝には天に召されていたという。

街頭でデュラハンの馬車を見た者は恐れおののき、我が家では無いことをひたすら祈り続けたという。(ヨーロッパの伝承)


(ウル、でもどうやって彼らを呼ぶの?)
(妖精は気に入った相手同士で、『木霊』を交換して声のやりとりをするの。
あたしの木霊でデービットの木霊に連絡するわ。)

(その必要はない!久しいなニンフ・ウルよ…。
我はもう其処に居る)

(えっ?空から?馬車じゃないの?)
(ティアティアが急げとうるさくてな。
空を飛べるバンシーの能力で急いでここまで来たのだ。)

(このババア妖精誰?ボクのデービットの何?)
(ティアティアよ、我がウルと知り合ったのはお前が生まれる遥かに昔だ。)

(だよね、デービットがボクを置いて森のニンフなんか相手しないよね?
いいわ、事が終わったらあんたの木霊始末するから…。)

(あ~もう、あたしの事はいいからあの赤帽子を何とかしてよ!)

(旅人を襲う赤帽子か…。
妖精に殺された人間は『あのお方』の台帳に記載されぬ…。
故に我とは相容れぬ輩…。
決着をつけるには丁度いい。
『憂いの剣』のサビにしてくれようぞ。)

(でも、あんた達が来たのは誰かの死を告げに来たんじゃないの?)
(それがわからないから急いでここに来たのよ…。
ボクが泣いていいのか、名前を告げていいのかわからないなんて初めて…。)

(妖精同士が干渉し合うと能力に影響が出るからな。
ウル、お前が原因だったとはな?)
(あたしじゃないわ!黒森の魔女アルラウネのおかげよ!この子が運命を変えるからよ!)

(お前達は行け!赤帽子は我に任せよ)
「アルラウネよ、さっきから誰と話してる?」

「…何でもない、急いでお義父さん…。」

(赤帽子よ!我が剣を喰らえ!)
(天の使い魔の使い魔が!引越しの邪魔をするな!首を絞め上げてやるぞ!)

「カラン!」

(他愛もない。絞め殺すつもりが首を落としてしまったか)

(赤帽子よ、それは兜だ。我には首がない。残念だったな。
我の桶の血を浴びよ!)
(帽子が赤色に!力が抜ける…。)

(止めだ!剣を鞘に納めた形を見よ)
(十字架~!)