カイレフォンの友人第二章 19 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

数時間前
彼の所有する小麦畑にて

「ねぇ、やめなよ!
あんたが行ってもどうにもならないよ!」

「貴女はカイレフォンさんの所の…?」

「リリムだよ、あん時はありがとうな。
義兄達もあの一件以来、前ほどあたいを苛めなくなってさ…。」

「それを言う為にここまで?」

「父ちゃんが多分ソレントはここだろうって。
そして何が何でも、プルートに会わせるなって命令されたよ。」

「リリムさん、申し訳ございませんが私は行かなければなりません。
昨日ディオンさんに言われました。『奴隷の運命を変えたければ明日しかない』と。」

「子供のあんたに何が出来るってんだい!」

「出来る、出来ないではありません。
思うか、思わないかです。
リリムさん、貴女を父上様の命に背かせて申し訳ございません。」

「…あたいが…父ちゃんの命令だけであんたを引き止めてると思ってるの?
あたいはあたいの気持ちとして…。」

「気持ち?」

「もういい、ソレント!
あたいと一緒に逃げて!
奴隷の運命を変えるのは司令官を殺すことじゃないよ、あたいとセイドンの港に行くんだよ!」

「あそこは津波で滅んだのでは?」

「少しずつ復興してるさ。だから役人の目の届かない所で舟に乗り込んで、南海諸島にたどり着けば海賊…じゃなくて、漁師の民が温かく迎えてくれるさ。

…あんな魔女なんかより…あたいは元・奴隷だよ。だから…。」

「申し訳ございません、リリムさん。
男には行かねばならない時があるのです。」

「待って!ソレント、行かないで~!」

市街地
司令官の屋敷への道中

(司令官の屋敷が廃虚になる運命を変えたいなら、あの赤帽子を放っておけないわね。)
(…わかってる…。赤帽子の弱点は十字架よ。
ウル、十字架の幻を見せれる?)
(出来るよ、でも十字架って赤帽子だけじゃなく、あたしや他の妖精も殆ど苦手なんだ…。
でも、ここはやるしかないね!)
(…ウルにも被害があるなら無理しないで…!)
(他に方法はないだろ、見た目は小さな老人だけど、赤帽子は怪力なんだ!アストンを白森から呼んでも遅いよ!)
(方法はあるわ、赤帽子の由来は、旅人を襲っては帽子を血で染め上げるから。
何か別の方法で今は乾いて茶色の帽子を赤にすればいいのよ…。
ウル、それが出来そうな妖精の知り合いる?)
(居るわ。首なし騎士・デュラハンのデービットと泣き乙女・バンシーのティアティアのコンビがね。)