翌日
屋敷にて
「大変だー!
プルート達のレスラーの集団がイカロス議員の屋敷を包囲した!
事実上の武装蜂起ですよ!」
「ハリステアスよ、それは本当か?
私がいくら足を運んでも不在だったのに、何故今日に限って?
ハリステアスよ、プルート達が蜂起した理由は何だ?」
「司令官が…巫女の一人を殺したんだと…。
自分の気に入らない神託を出した巫女を斬り捨てたと叫んでたよ。
治安兵と司令官の私兵が屋敷を守っているが、プルート達との衝突は避けられないよ!」
「何ということだ!全てが都合が良すぎる!
マケドニウスのラオ王国か?
オーガスタスの教皇の一味か?
明らかに情報を操作している!
ハリステアスよ、まさかその殺された巫女とは…。」
「街頭でプルートは『ロディテ様の仇!』
と叫んでいたよ。」
「神よ!
これが貴方の仕打ちなのですか?
これで全ては繋がった!
司令官イカロスと巫女のロディテは恋仲だったのだ!
お腹の子は司令官の子だったのだ!
それをロイセン側に気付かれて…。
司令官は大使を斬り、ロディテは開戦の神託を出した。
そして恐らく私がロディテに接触した後で真の黒幕がロディテを斬る。
それを司令官の仕業だとプルート達に吹き込んだか…?」
「テーゼ!私はイカロス司令官の屋敷に向かう!
手遅れかもしれないがやれることはやる!」
「貴方、息子の所に使いに出したソレントがまだ帰らないのですが…。」
「馬鹿な…。ソレント、まさかプルート達と一緒に!」
「…お義父さん、私も連れて行って…。
ソレントが心配…。」
「アルラウネよ、戦場になるかもしれない場所に、少女を連れて行く無知な義父 を許しておくれ、お前の力だけが頼りだ。」
「…お義母さん、必ずソレントを連れて帰ってくるからね…。」
「おぉソレントよ、強き者とは勝利者の意味ではない!
生き延びた者が勝利者なのだ!
戦場で自分だけに矢が刺さらないと思うな!
戦場で自分が手加減しても、相手は手加減しないことを忘れるな!
愛馬レイツハーよ!
もっと早く、もっと早くだ!」
道中市街
(アルラウネ、見えるかい?)
(確か…赤帽子?)
(ああ、血生臭い過去を持つ屋敷や廃虚に住む妖精さ…。
あたし達と同じ方向に行くね…。)
(…司令官のお家が廃虚になって、自分達の新しい棲み家になるって思ってるんだわ…。
そんなことさせない…。)
(奴らは小さいけど獰猛よ!)