三日後の我が家
「お嬢様、お水をお持ち致しました。」
「お嬢様、着替えをお持ち致しました。」
「お嬢様、馬の準備が…。」
「…ソレント、私はここの本当の娘じゃない…。
私、自分のことは自分でする…。」
「いけません、アルラウネお嬢様。
それでは私がお義父様の命に背いたことになります。」
「…いつもお義父様、お義父様。
ソレント、貴方はどうしたいの?」
「…私は使用人です。アルラウネお嬢様。」
「…じゃぁ、ソレントと私はずっとこんな感じなの?
私より三つ上の10才だなんて信じられない!」
「申し訳ございません。
私に対するご希望がありましたら、お嬢様からお義父様に進言して下さいませ。」
「…これからも私の言うことを聞き続けるの?」
「そのように仰せ付けられています。」
「…もう!」
その日の夕方
「ソレント、ナイフを落としたわ、拾って!」
「はい、アルラウネお嬢様。」
「ソレント、私こんな服着たくない!
違うのを今すぐブリーザスさんの店から買ってきて!」
「はい、アルラウネお嬢様。」
「…この国の服はまだ慣れないわ。
一緒に着替えを手伝って。
さぁ、着方を教えなさい!」
「お、お嬢様それは…。」
「…やっとソレントが出来ないこと命令できた…。
さぁ、どうするの?」
「お義母様に許可を貰いに…。」
「…いい加減にして!
ソレント、はっきり言っておくわ。
私、男の子嫌い…。
でも貴方が今までよりも、どの男の子よりも大嫌い!」
「申し訳ございません、アルラウネお嬢様。
私の至らない所は厳しくお義父様から…。」
「…そういう所が大嫌い!
私はソレントと仲良くしたいだけなのに何でわからないの?
使用人とか関係ないでしょ?」
「…関係は大有りです。
私はただの使用人ではありません。
身分を買い戻すにはまだまだ額が足りない国家認定の奴隷ですから…。
最初に会った時に褒めてくださったブレスレットもチョーカーも、ルテミス共和国公認奴隷である証です。」
「…奴隷?
嘘でしょう?
貴方まだ10才なのに…。」
「…お兄ちゃん、お世話になりました!
私、村に帰る…。
10才の子を奴隷にする家や国で私、生活出来ない…。」
「アルラウネよ、幼いお前にはこの国の…。」
町のはずれ
「…皆、大嫌い…!帰る…。」
「ちょっと!町の妖精に出会わずに帰らないでよ。」
「…妖精ウル…?」