カイレフォンの友人 14 白森編7 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように




「人間とはいつもそうだ!
自分達と肌の色や言葉が違うだけで傷つける!
そして私に牛の尻尾があるだけで斬ると言うのか?

あぁ、斬るが良い!
斬ったお前達が私の代わりに森を守れると言うのなら!

先の大地震で国々の家屋は倒壊し、どこぞと知れぬ者が『材木』を求めてやって来る!
ピクシーだけでは守れない…。
私が居なければ森は終わりだ!」

「スクーグズヌフラよ、だからと言って数々の男を廃人にするお主を見過ごせぬな。
お主にはお主の、私達には私達の理由が。
所詮、魔物とは相容れぬ運命かもしれぬ。
この森はルテミス共和国が責任を持って管理するゆえ、安心して天に召されよ。」

「私はお前の刃では死なぬ。
私を斬れるのはトーレスだけだ!
トーレス、お前だけは私を『人間じゃないから』との理由で斬ったりはしないであろう?」

「トーレス、惑わされんな、これはこの女の命乞いだ!」

「従者トーレスよ、カイレフォンの言う通りだ。
『良い木こり、悪い木こり』はスクーグズヌフラが決めることではない。」

「我が主よ、ヴェルティが人間であれ、スクーグズヌフラであれ、私に無抵抗な『女』が斬れるはずありません!
我が主よ、貴方が劇作家になる夢を叶える為に従軍したように、私は『花嫁を貰う』夢を叶える為に貴方の従者となった。
ならば私の夢は叶った!
ヴェルティこそ私の花嫁だ。
夢が叶った故に雇いを解いて自由にして下さい!」

「トーレス、自分で何言ってるかわかってんのか?」

「森の番人ヴェルティよ、今一度聞こう、何故、私の前に姿を現した?
幻覚と幻聴で自分の小屋に私を誘うことなど容易いはずでは?」

「言ったはずですトーレス。
『それは貴方だからです。』
との答えでは不満足ですか?」

「ヴェルティ…。そなたの心は人間よりも人間らしい…。」

「だからそれがこの女のやり口であろう?」

「ならばカイレフォンに我が主よ、貴方達こそ、誠にこの可憐な少女ヴェルティを斬れますか?」

「従者、いや、我が友トーレスよ。
私の負けだ。
お前の大切な人を私に斬れるはずがない。」

「トーレス、私は数々の男と愛し合ってきました。
しかし、人間でないと知りながら私を愛してくれたのはトーレス、貴方が初めてです。
何故、ですか?」

「『貴方だから』では不満足ですか?」
「トーレス…。」

「…守護天使36人集まった…。
森の出口が見える…」
「アルラウネ」