カイレフォンの友人 10 白森編3 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

争い


「ねぇ、セイをシボラれるとどうなるの?私も搾られるの?」

「ア、アルラウネよ、それは…。そうだな、『元気』を全て吸いとられる感覚かもしれんな…。」

「なるほど、森に棲む男の精を吸って生きる悪魔か…。
白い森とは上手く名付けたものだな!」

「ねぇ、カイレフォン、何でスクーグズヌフラが棲むと白い森で、魔女が棲むと黒い森なの?
私も白がいい…。」

「アルラウネちゃん、それはもう少し君が大きくなったら…。
そうだな、君に好きな男の子が出来たらゆっくり教えてあげるよ…。」

「…男の子嫌い…。
…すぐ弱い者苛めする…。」

「アルラウネよ、今宵はその話をしながら眠ろうではないか?
スクーグズヌフラが我が国のグリーンレディと同じ種なら、寝てる時には襲ってこないのだろう?」

「…うん、スクーグズヌフラは歩いてる時の『草ずれの音』で存在を現すの…。
自分とも仲間とも違う足音が草を踏んだら気をつけて…。」

「了解したぞ、アルラウネよ。
従者達には交代でたき火の番をさせる。
お前のおかげでピクシーは退けられたのだ。
今宵はゆっくり眠ろう。」

「うん、お兄ちゃん、お話の続きして…。
男の子の話…?」

「そうだアルラウネよ、時に少年は自分より弱い者を傷つけてしまうものだ。
何故だと思う?」

「…わからない…。でも本当の強さじゃないと思う…。」

「その通りだアルラウネよ。
傷つけてしまうのはそこに争いがあるからなのだよ…。」

「…私誰とも争いたくない…。
でも魚や牛を食べないと生きていけないことくらいわかるわ。」

「アルラウネよ、私もお前くらいの時には同じ悩みを持ったものだ。
しかし、それは三段階ある争いの一番目、『生存による争い』に過ぎない。」

「…その次は?」

「創作物による争いだ。
これは人間が作りだした芸術、発明、法律、社会、神と人間自ら向かい合うという争いだ。」

「ふーん、最後は?」

「愛しながらの争いだ。」

「愛してる人と何で争うの…?」

「そこに発展があるからだよ、アルラウネ。
大切に思うから愛を注ぎ、相手の愛と争った結果、善なる未来があるのだよ。」

「愛しあうには努力が必要…?」

「人とは可能性も含めて人なのだよ。
人はどうでも良い人の可能性を知ろうともしない。
だから好きの反対は嫌いではなく、無関心なのだよ。」

「…うん、男の子達を無視したこともされたこともない…。」続