どうせ誰も読まないだろうと思ってテキトーに書いた記事だったのですが、いまだに検索による閲覧が多いので、なるべく正確になるような(気がする)データを新たに採用して全面的に書き直しました。
結論から言うと、日本のクラシックギター 人口は推定 24~31万人です。ただし、趣味と言える程度に熱心に取り組んでいるのはそのうちのおよそ 8~10万人と言えそうです。ちなみにマンドリン人口はこちら。
仮定の上に仮定を重ねた数字なので、当たるも八卦当たらぬも八卦、詳細は以下のとおり。
ー ー ー ー ー ー ー ー ー
正確なクラシックギター 人口は統計が無いので分かりません。次のリンクの記事によると、公益財団法人日本ギター連盟の正会員数および「現代ギター」誌の発行部数に基づく推定で約30万人とのことです。
これとは異なる方法で推定したらどうなるでしょうか。
①楽器演奏が趣味の人
他のデータを探してみると、まず政府発表の『令和3年社会生活基本調査 / 調査票Aに基づく結果 生活行動に関する結果 生活行動編(全国) 趣味・娯楽/表番号30-1-2』がありました。これによれば10歳以上の人口112,462千人のうち楽器演奏が趣味の人は11,427千人(10.2%)です。
②ギターを弾く人
残念ながら上のデータは楽器毎に細分化されていないので、同じく政府発表の『経済産業省生産動態統計 年報 繊維・生活用品統計編 2020年 年報 P.10』の楽器別出荷販売数量を参照します。
ピアノ 35,295台(6.5%)
電子ピアノ・電子オルガン 118,863台(21.9%)
電子キーボード類 82,673台(15.2%)
管楽器 139,374台(25.7%)
ギター・電気ギター 167,131台(30.8%)
——————————————
合計 543,336台(100%)
しかし、ネット上ではウクレレ人口100万人、マンドリン人口20万人、バイオリン人口10万人というような説(※) もあるので、統計が無いからと言ってこれらの楽器を無視するわけに行きません。そこで、ヤフオク(カテゴリ:ホビー・カルチャー)の出品数を調べたら、次のような状況でした。
(※)ウクレレについては『ウクレレマガジンVol.18』に調査結果が掲載されたとのことだが未読。
ギター 74,590件
ウクレレ 4,232件(ギターの5.7%)
マンドリン 672件(ギターの0.9%)
バイオリン 3,767件(ギターの5.1%)
ギターを基準としてこれらの楽器の生産台数を推定すると、次のようになります。
ピアノ 35,295台(6.3%)
電子ピアノ・電子オルガン 118,863台(21.1%)
電子キーボード類 82,673台(14.7%)
管楽器 139,374台(24.7%)
ギター・電気ギター 167,131台(29.7%)
ウクレレ 9,526台(1.7%)
マンドリン 1,504台(0.3%)
バイオリン 8,524台(1.5%)
——————————————
合計 562,890台(100%)
(注)この他に打楽器や邦楽器等もあるし、一人で複数種類をこなすマルチプレイヤーもいるはずだが、影響は少ないものとみなして無視する。
各楽器の演奏者の比率は生産台数の比率と同程度とみなして、楽器演奏が趣味の11,427千人を生産台数の比率で按分すると、次のようになります。
ピアノ 720千人(6.3%)
電子ピアノ・電子オルガン 2,411千人 (21.1%)
電子キーボード類 1,680千人(14.7%)
管楽器 2,823千人 (24.7%)
ギター・電気ギター 3,394 千人(29.7%)
ウクレレ 194千人(1.7%)
マンドリン 34千人(0.3%)
バイオリン 171千人 (1.5%)
——————————————
合計 11,427千人(100%)
この結果から見ると、ウクレレ人口100万人説とマンドリン人口20万人説は過大評価、バイオリン人口10万人説は過小評価のようです。
③クラシックギター を弾く人
ヤフオクに出品されているギター本体を数えたところ、311台のうちナイロン弦タイプのいわゆるクラシックギター は28台で、全体の 9.0% でした。
また、現在の主なギター誌の月刊発行部数は次のようです。
ギターマガジン 年300万部(49%)
ゴーゴーギター 年144万部(23%)
ヤングギター 年96万部(16%)
アコースティックギターマガジン 年32万部(5%)
現代ギター 年44万部(7%)
——————————————
発行部数合計 年616万部(100%)
読書の力より引用
ヤフオクへのナイロン弦ギターの出品の割合およびクラシックギター 専門誌『現代ギター』の割合からすると、クラシックギター人口はギター人口339万人の7〜9%、すなわち約24~31万人と推定されます。
ちなみに、バイオリン専門誌『サラサーテ』の発行部数は年24万部ですが、これはクラシックギター専門誌『現代ギター』(年44万部)の55%の規模です。バイオリン人口もクラシックギター人口の55%と仮定すると、バイオリン人口は13~17万人となります。これは上記の生産台数から求めたバイオリン人口 17万1千人に割と近い値なので、当たらずとも遠からずではないでしょうか。
④クラシックギターが趣味の人
以上の試算では、1年間に1日でも演奏した人は人数に含まれているので、本来の"趣味"の対象者よりは多めの数字と思われます。そこで、1年間に演奏した日数の内訳を調べたところ、次のようになっていました。
年に1~4日 2,438千人
年に5~9日 1,168千人
年に10~19日 1,731千人
年に20~39日 1,369千人
年に40~99日 1,401千人
年に100~199日 1,230千人
年に200日以上 1,415千人
不明 675千人
---------------------------
合計 11,427千人
趣味と呼ぶには「週に1日以上は演奏する」ぐらいの熱心さが必要ではないかと考えると、それに該当するのは4,046千人(全体のおよそ三分の一)です。なので、クラシックギターを趣味にしている人は8~10万人程度と見るのが妥当かもしれません。
⑤クラシックギターを習っている人
習い事に関する調査 によれば、10〜70歳代で直近1年間に趣味の習い事をした人は全体の11.7%で、楽器の習い事はそのうちの11.2%とのことです。10歳以上の人口112,462千人をベースに算出すると、直近1年間に趣味で楽器の習い事をした人は約147万人。このうちクラシックギターの割合を2.1~2.7%と見ると、クラシックギターを習っている人は3~4万人と推定されます。
クラシックギターの先生ひとりにつき門下生40人と仮定すると、先生は750~1,000人いることになります。(公益財団法人日本ギター連盟の正会員が現在200名程度ということから見て、クラシックギターの先生をするために特に会員登録が必須というわけでもなさそうです。)
#クラシックギター
(以上、2024-2-26改訂)