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 やあやあ。今日は、恋愛マスターたる俺さまの『モテモテメール講座』を開講してやろう!


 まずは、同じゼミの女子に、こんなメールを送るところからスタートだ。


俺『いきなりごめんなさい�、履修登録期間って何日まででしたっけ!?あせる


 履修登録期間は今日まで、ということを知っててあえてのメール。ちなみに、この時点で俺は全ての授業の履修登録をし忘れて、月曜からの時間割が真っ白になっていた。


 焦りを絵文字で表現することにより『履修し忘れちったあせるどうしようあせる』という母性本能くすぐる隠しメッセージも込めた、『どうしたの?』待ちメールだ!


 ナイス知能犯、俺ー! いやはや、さすがは恋愛マスターだ!


女子の返信『多分昨日か今日までかなぁ(>_<)』


 ……。


 うーん、『どうしたの?』も無ければ、多分と来たかあ。履修期間くらい予定表見りゃ一発なのになあ。


 しかも、こちらが絵文字を多用しているのに対し、向こうは顔文字ひとつかあ。見方によっちゃ、もの凄く淡白なメールに見えなくもないぞう。


 なんだかこの時点で心が折れそ……いやいやいや! 恋愛マスターがこんなことで挫けるわけないよね! 全っ然、へっちゃらだよね!


俺『マジですかあせるありがとうございます�』


 返答の後に『あせる』を入れて余韻を残しつつ、後は社交辞令の挨拶を入れて退散……いやいやいや! 別に逃げるとかそういうわけじゃないよね! 今回は分が悪かっただけだよね!


 しかし、てっきり『そっかーばいばいー』みたいな返信が来ると思っていた恋愛マスターの予想を、大きく裏切る応えが返ってきた。


女子『いいえ(*^o^*)同い年なんだから、敬語使わなくていいよ♪』


 ……。


 な、ななな何だこれは! なんと返したらいいんだっ!


 同い年でありながら、少し高い位置からの優しさ! ややMの俺にはたまらないご褒美だ!


 一般人ならここで敬語からタメ口に切り替えるものの、そこはややMマスター……じゃねえや恋愛マスター! もう少し敬語を使って、もう少しご褒美をもらうことにした。


俺『男子校にいたので、女子と話すの緊張してつい(笑)今度から気を付けます�』


 試行錯誤の末、20分後に返信。男子高出身をアピールすることにより更に自分を貶め、更にまだ敬語を使い続けることにより、


『あ、敬語なおってないゾ~音符 お馬鹿さんっドキドキ


 的な返信を期待する、恋愛マスター! じゃねえや、ややMマスター! じゃねえや、ドMマスター!


 おお、もう携帯光ってる! 『お馬鹿さんっドキドキ』はないにしても『直ってないゾ~音符』は付いてるよね! まあ『お馬鹿さんっドキドキ』も付いてて欲しいけどさあ!



女子の返信『そっか(^o^)そのうち慣れるよ♪』



 ……。


 ……。


 どっちも付いてないじゃん。




 その後バッキバッキに心を折られた俺が辛うじて送った『頑張ります』というメールに、返信は来なかった←


 大学生活2週間目! 履修お試し期間の最終日!


 俺は、とある先生のお試し授業を受けていた。試験がない出席日数さえ足りてりゃ単位がもらえるで有名な授業! こりゃ履修確定だな、わっはっは——


教師「それでは皆さんには学科ごとに別れてもらい、それぞれの学科の良さを"グループ発表"をしてもらいます」


 ——と思ったのも、束の間。安直な俺の希望は、ものの5秒で打ち砕かれた。


 『グループ発表』いやさ『狂ープ発狂』とはなにか。我が人見知り広辞苑には、こう記載されている。


 グループ発表:我々人見知りが最も狂い、発狂する事象。グループメンバーとも円滑なコミュニケーションを取ることができず、メンバーの中にひとりは居るであろう"仕切りたがり屋さん"の操り人形になるしかない。ちなみに発表時には、発表文をすこし多く読まされる。


 人生における苦手な出来事ランキング堂々の1位! あああ、嫌だああ! 発狂するうう!


メンバーの一人「このくらいの発表、僕ひとりでも出来ちゃいそうなんだけどNA~」


メンバーの一人「まあいいや、じゃあまずは、この人間心理学科の良さから順番に教えて~」


 学科別のグループに別れると、そこには案の定、仕切りたがり屋さんの上級生がいた。つかダブってるくせに偉そうだな、おい!


 他のメンバーは俺のほかに2人。ひとりは仕切りたがり屋さんの親友で、もうひとりは俺と同じ一年生なんだけど俺と違うところは——


一年生の彼「良さですか~。うーん、まだ入ったばかりなんで、そういうのよく分かんないっすね!」


一年生の彼「でもそういう分からないところのを、先輩たちからご教授して頂きたいです! よろしくです!」


 ——うまく太鼓持ちができるところ……。さっそく上級生2人に、気に入られていた。


 仕切りたがり屋に、その親友、そしてその二人の太鼓持ち。もうすでに俺だけ孤立する構図が出来上がっていた。このままではマズい! よしここはウケだ、ウケを狙いにいこう!


俺「この学科良さとかは、分かんないっすけど~……」


俺「あれですよね、この心理学科の先生って他人と話すとき『心理学勉強してるからお前の心なんかお見通しだぞ♪』みたいな顔してて面白いですよね~……」


 ……。


一同『シーン』


仕切りたがり屋さん「それじゃあ最後に、この紙に名前書いて回して~」


 スベった……タダ滑ったうえに心理学科の教師もとい、この心理学科全体をディスったみたくなってしまった……ああ、俺ってほんとバカだなあ。


 この時点で履修するつもりはサラサラないので、回ってきた紙には偽名を記載することにした。


 織田信吉、豊臣秀継、徳川yeahス。大好きな戦国武将をもじってバカバカしいのを作ろう。


 最終的に一番気に入ったのを記載して、席を立った。



『明智みつを。よろしくお願いします』



 人見知りだもの!!←





 大学生になって一発目のゼミ! 緊張したあ、死ぬほど緊張したあ!


 だって"女子"がいるんだもの! 男子校出身生、最大の難敵こと"女子"が、ど真ん中の席に固まっているんだものおお!


 うわあああ!! やめろ見るな溶ける酸になるうううう!!


 ……。


 しかし、その緊張を悟られたくないのが、この俺さまの誇り高きプライド。えっへん。


 俺はさも緊張してないかのように、女子たちから目を逸らしながら席に着いた。えっへん。


 席に着くや否や、足を広げ腕を組み大きな大きな欠伸をしてやった。さも緊張してないかのようにな、えっへん。


 おまけにバックから取り出した『かむかむレモン』をモグモグ。(俺は緊張すると酸っぱいものが欲しくなるクセがあるけど、それとこれとは一切関係ないので念のため)


 その後、担当の教師が来てからも、その誇り高きプライドを貫き通した(頑張って緊張を隠し通した)俺だったが——


担当教師「それでは、皆さんにもっとお互いを知って貰うために」


担当教師「"自己紹介"をして頂きたいと思います」


 ——そんな俺の頑張りを、あっさりと打ち砕く、地獄の時が来てしまった。


 『自 己 紹 介』いやさ『自 己 傷 害』とは何か。広辞苑には、こう記載されている。


 自己紹介:見ず知らずの他人に、そのひとの内面を無理矢理ひけらかされる地獄の時間。また自らが自らを傷つけるその姿から、自己傷害あるいは自傷行為とも呼ばれる。


 人生における俺の苦手なイベントランキング、堂々のワースト1位! あああ、嫌だあああ! しゃべったら今まで緊張してたのバレちゃうじゃん!


俺「なまえは…モゴモゴ…です…出身も…モゴモゴ…です…」


俺「えーっと、あがり症なので……気を付けたい…です…」


 こうして俺の自己紹介——いやさ、事故紹介は終わった。終始モゴモゴして終わった。


 つうか自ら、あがり症をひけらかすバカがどこにいるんだ! 僕は友達作る機ないです、って言ってるようなものじゃないか!


 またこうやって孤独になってくんだろうなあ……とか考えながら、時間割作りの作業に入る。しかし、そもそも時間割表を忘れていただけでなく、先の事故紹介のことを引きずりながらの作業はなかなか進まない。


 当然、居残りをする羽目に。残ったのは俺を含めて5人。俺以外の4人は固まって談笑していた。あー、楽しそうでいーなー!


ゼミの男子「良かったら、俺の見る?」


 そんな俺の思いが通じてか、ひとりの男子が声をかけてくれた…!


俺「あ…ああ…(まさか、自分でも信じられん)」


 その後、その男子と一緒に時間割表を完成させた後も——


ゼミの女子「アドレス教えてー?」


 ふたりの"女子"に、アドレスを聞かれた…!


俺「え…あ、うん…(嘘だろおおお信じらんねえええ!!)」


 久しぶりの赤外線通信(しかも相手女子!)に超手間取って、女子のひとりに赤外線のページまで開いて貰った。超タジタジした。超照れた。


 どうやら事故紹介の最後に言った『あがり症』っていう単語が、彼ら彼女らの中でヒットしたらしい。『あがり症』で友達できるなんか信じられん……とりあえず誇り高きプライド河に捨ててこよ!


 照れくささで頬を赤らめながら、ゼミの教室を出る。照れくささで頬を赤らめながら、廊下を走りぬけ、照れくささで頬を赤らめながら、帰路に着いた←





 その後、調子に乗った俺が、


『どうも、ゼミで一緒だった"アガリ 翔"です(笑)よろしくお願いします�キラキラ


 というメールを女子たちに送った。感想は『よろしくね~ニコニコ』の一行のみに集約されていた←