大学生になって一発目のゼミ! 緊張したあ、死ぬほど緊張したあ!
だって"女子"がいるんだもの! 男子校出身生、最大の難敵こと"女子"が、ど真ん中の席に固まっているんだものおお!
うわあああ!! やめろ見るな溶ける酸になるうううう!!
……。
しかし、その緊張を悟られたくないのが、この俺さまの誇り高きプライド。えっへん。
俺はさも緊張してないかのように、女子たちから目を逸らしながら席に着いた。えっへん。
席に着くや否や、足を広げ腕を組み大きな大きな欠伸をしてやった。さも緊張してないかのようにな、えっへん。
おまけにバックから取り出した『かむかむレモン』をモグモグ。(俺は緊張すると酸っぱいものが欲しくなるクセがあるけど、それとこれとは一切関係ないので念のため)
その後、担当の教師が来てからも、その誇り高きプライドを貫き通した(頑張って緊張を隠し通した)俺だったが——
担当教師「それでは、皆さんにもっとお互いを知って貰うために」
担当教師「"自己紹介"をして頂きたいと思います」
——そんな俺の頑張りを、あっさりと打ち砕く、地獄の時が来てしまった。
『自 己 紹 介』いやさ『自 己 傷 害』とは何か。広辞苑には、こう記載されている。
自己紹介:見ず知らずの他人に、そのひとの内面を無理矢理ひけらかされる地獄の時間。また自らが自らを傷つけるその姿から、自己傷害あるいは自傷行為とも呼ばれる。
人生における俺の苦手なイベントランキング、堂々のワースト1位! あああ、嫌だあああ! しゃべったら今まで緊張してたのバレちゃうじゃん!
俺「なまえは…モゴモゴ…です…出身も…モゴモゴ…です…」
俺「えーっと、あがり症なので……気を付けたい…です…」
こうして俺の自己紹介——いやさ、事故紹介は終わった。終始モゴモゴして終わった。
つうか自ら、あがり症をひけらかすバカがどこにいるんだ! 僕は友達作る機ないです、って言ってるようなものじゃないか!
またこうやって孤独になってくんだろうなあ……とか考えながら、時間割作りの作業に入る。しかし、そもそも時間割表を忘れていただけでなく、先の事故紹介のことを引きずりながらの作業はなかなか進まない。
当然、居残りをする羽目に。残ったのは俺を含めて5人。俺以外の4人は固まって談笑していた。あー、楽しそうでいーなー!
ゼミの男子「良かったら、俺の見る?」
そんな俺の思いが通じてか、ひとりの男子が声をかけてくれた…!
俺「あ…ああ…(まさか、自分でも信じられん)」
その後、その男子と一緒に時間割表を完成させた後も——
ゼミの女子「アドレス教えてー?」
ふたりの"女子"に、アドレスを聞かれた…!
俺「え…あ、うん…(嘘だろおおお信じらんねえええ!!)」
久しぶりの赤外線通信(しかも相手女子!)に超手間取って、女子のひとりに赤外線のページまで開いて貰った。超タジタジした。超照れた。
どうやら事故紹介の最後に言った『あがり症』っていう単語が、彼ら彼女らの中でヒットしたらしい。『あがり症』で友達できるなんか信じられん……とりあえず誇り高きプライド河に捨ててこよ!
照れくささで頬を赤らめながら、ゼミの教室を出る。照れくささで頬を赤らめながら、廊下を走りぬけ、照れくささで頬を赤らめながら、帰路に着いた←
その後、調子に乗った俺が、
『どうも、ゼミで一緒だった"アガリ 翔"です(笑)よろしくお願いします�
』というメールを女子たちに送った。感想は『よろしくね~
』の一行のみに集約されていた←