本編は前記事なんだけど、今回はデータから見る僕視点からの考察。
シュウと一緒に観察したデータはシュウの自由研究のデータだけど、
動画のデータは元々僕が撮影してきた動画のデータなので、ここで出してもシュウには文句は言えないのだ(笑)
さて、その動画からはなかなか興味深いデータが出ているんだ。
まず、様々な場所(ほぼ南部だけど)でライトトラップをしてみても飛んで来るのはノコギリクワガタのみだったこと、
ヒラタクワガタは飛んで来た例はひとつもなかったんだ。
また、飛んで来たノコギリクワガタに絞った場合でも19時台は0
20時台でも飛んで来た例がちょっと少なかったんだ。
21時過ぎからは多く飛んで来ていたんだけどね~。
シュウもそこに気付いたみたいだけど、僕はヒラタの飛翔例が全くないことと、ノコギリの時間帯による飛翔例を踏まえて考えるに…
ヒラタはもしかすると深夜の時間帯に飛ぶことがあるんじゃないかと思ったんだ。
ライトトラップを仕掛ける場所で、いくつかは僕は意図的にヒラタが多く確認できる場所を選んだりしたんだけど、ヒラタは全く飛んで来なかったんだ。
最高で23時までしか観察できなかったんだけど、19時台はノコギリも0だった訳だし、20時台もあまり来なかった。
21時~23時はよく飛んで来ていたことを考えると、ヒラタはそれよりも遅い時間じゃないと飛ばないのかも?
とか、思ったんだよね~。
仮にヒラタクワガタはなかなか飛ばない上に、僅かな飛翔行動をとりやすいのが深夜だとしたら、そりゃ見かけるはずもないって納得できるんだ。
今回、ヒラタに関してメスが極端に少なかったから性差による違いは考慮してないんだけど、
例えば実はヒラタはオスよりメスの方が飛翔行動が多いって可能性もあるでしょ?
メスは卵を生まなきゃいけないから、子孫を残すための環境に飛んでいくってことも十分考えられるんだ。
それならそれで納得できなくもない。
仮にホントに全然飛ばないとしても、何故ここまでヒラタクワガタは沖縄のどこでも見られる程分布しているのか気になってくるよね~
飛ぶから生息地が広い、というならわかるけど、飛ばないのに生息地が広いは疑問が大きくなるじゃない。
歩きだけで広げてきました!
ってのも本当にあるかもしれないけど、
樹液場からあまりあちこち歩き回るイメージのないヒラタクワガタが、どうやって歩きだけで生息域を広げてきたのかが気になってくるしね(笑)
でもまぁ、歩きを中心に生息域を広げた説に関して個人的にはあるかもしれないとも思ってはいるんだ。
ヒラタって寿命が長いじゃない?
自然界では樹液をなめて生きている訳だけど、例えばタブノキは一年中樹液が安定して出ているのか、樹液の栄養分は常に同じなのかとか、考えちゃうんだよね。
ゲッキツなんかは5月~6月はあまりクワガタ来なかったりするけど、8月より9月、9月より10月とクワガタがつく割合が変わるんだよね。
それって、クワガタが求める樹液が出るようになってるからでしょう?
もしくは、それまで主力としていた木の樹液が出なくなってきたからゲッキツの優先順位が上がってきたとかね。
樹木もそれぞれで、花が咲く時期、実がつく時期ってあるんだから、樹液の量や質もゼッタイ変わってるはずなんだよね。
僕らが知らないだけで、寿命の長いヒラタは秋はこの木を頼りに、冬はこの木を頼りに、春はこの木を頼りに…と移動し続けて、
夏にはみんながお馴染みの木に帰ってきているかもしれないじゃない。
そうして子孫代々移動している内に生息域を広げていった可能性もあるかな~って、思ってるんだ。
ま、ヒラタも飛ぶはずなんだけどね。
さて、話しがズレちゃったから戻すけど、
ヒラタの飛翔行動の無さとは別で、ノコギリの飛翔行動についても、いくつか気になる点があったんだ。
それについてはシュウと一緒に観察した『採集してきたクワガタに光を当てる実験』と合わせないとうまく説明できないから、シュウの観察データをちょっと借りて説明することにする。
とは言え、このデータはシュウのものだから、あくまで僕が休日の時や仕事から帰ってきて時間がある時に一緒に観察した部分だけでの考察になるんだけど。
さて、その実験なんだけど、
結果から言うと実験中もヒラタは一切飛ばなかったし、どの時間帯でも、どの種類のライトでも、どんな活動中でも一貫して光から逃れようとする動きしか見られなかったんだけど、
ノコギリは色々な反応が見られていたんだ。
まず、朝や昼はノコギリもほとんど飛ばなかったこと。
光に対しての反応そのものが弱い印象かな。
ただし、朝や昼でも条件次第で飛ぶことはあった。
空腹時とケンカしている時と、足場が不安定な時だね。
常にゼリーがある状態では、どの個体も光に対してあまり反応を見せなかったのに、
しばらくゼリーを抜きにした状態だと興奮しやすくて、光を当てると羽を開くことが度々見られていた。
また、ゼリーが十分ある状態でも、オスだけのケースにメスを入れると腹ペコと似た状態になるのか、ケンカをしたり羽を開くことがあった。
しかし、いずれも必ずそうなる訳ではなく、
『そうなることもある』程度の反応だった。
明るい時間はそのくらいだったんだけど、夜はもっと大きく顕著に反応していたんだ。
野外の時と同じく、20時過ぎから反応が強くなり、21時台からはより強い反応が見られていた。
特に顕著だったのがブラックライト。
ブラックライトを光源にすると、ノコギリクワガタは明らかにブラックライトの方へ向かって進んだり、ブラックライトの方向へ頭を向ける個体が多く見られていた。
多い
といっても、ヒラタみたいに全体がガサガサ反応する訳ではなく、4割が反応するといった印象だった。
ちなみに昼間に反応するのは1割強くらい。
シュウのデータとはズレがあるんだよね~
シュウのデータと僕の見た範囲を合わせると、また少し違う見方になるんだけど、僕が自分の目で見た部分からはそんな感じだった。
それから、『足場が不安定だと飛ぶ』という事例についてなんだけど、
ケースにいるクワガタにライトを当てる際、隠れる場所が多いと光を当てる実験の意味がない、と思ったので
木の皮とか餌台とか登り木とか、僕が取っ払ってみたんだよね。
そしたら、クワガタ達パニクるパニクる。
ノコもヒラタも動き回る暴れ回るケンカするし、しかも飛ぶ!(飛ぶのはノコギリ限定)
足場が悪いのはクワガタにはかなり大きいストレスらしい。あまりにも可哀相だったのでそれ以降は足場をしっかり用意してデータを取るようにしたんだ。
足場が悪い時の興奮具合はライトとは比べものにならない程だった。
まぁ、森の中にいるクワガタがツルツルの足場にいるなんて有り得ない状況だもんね。
…そう言えばなんだけど、
昼間にタブノキとかにキックした時とかって、ノコギリクワガタも地面までそのまま落ちてくるけど、これを夜間にやると落下中に羽を広げて飛ぶこともよくあるよね。
カナブンを投げると、落ちる前に飛ぶじゃない? あんなイメージ。
昼間はボーっとしてて地面まで落っこちてくるノコギリも、夜は気が張っているのかテンションが高いのか落っこちている途中からでも飛びやすい。
そしてライトを当てて飛びやすかった時間も21時からということはつまり、その時間からはすっかり目が覚めて活動的になっているってことになると思う。
んで、ノコギリに飛びやすい時間があるのなら、ヒラタだってそういう時間があってもおかしくないと思ったんだよね。
例えば、ただでさえ全然飛ばないヒラタだけど、実は飛びやすい時間が深夜1時~3時というなら、飛んでいる姿を見ないのは当たり前だよね。
今回の観察でだって一回も飛んでないし。
そういった意味では深夜の行動観察もしてみたい所だけど、流石に難しい…。
今回のデータから見られるのは、クワガタが飛ぶ時っていうのは何らかの興奮状態にあるということと、興奮しやすい(活動的になりやすいとも言える)時間があるってことだね。
あと、もうひとつ
今回の2つの観察からわかったんだけど、ノコギリは小型の個体ほど飛びやすいってこと。
大きい個体ほど、どっしり構えて動かないことが多かった。
個々の性格もあるかもしれないけど、野外でのライトトラップでも飛んできたのは小型の個体が断然多かったし、無関係ではないだろうな~。
大型な個体ほど飛びにくい、というのはケースの中の光を当てる実験でも同じだったし。
ただこれは、僕の見た範囲だけでの考察だから、これからも本当にそうなのか裏付けるデータは集めていきたいな。
…僕視点のライトを使った観察と考察はこれで終わりなんだけど、今年は色々と気付いたり仮説を立てたりと、収穫が多かったように思う。
自分から『クワガタと光の自由研究をする』って言った割に、取り組むまで時間がかかって大変だったし、まとめもなかなかやらないからこっちが疲れたよ(笑)
自分の感じたことは色々あるのに何故か僕が聞かないと言わないんだよね。
言葉にしたら考えがまとまるのか、色々出てくるんだけどねぇ。
シュウなりの考えや仮説もこっちで紹介したいくらい面白いんだけど、
シュウの考えはシュウのものだから、僕が勝手に出すのはやめておく。
また来年もクワガタの自由研究をやるかどうかわからないけど、ひとまず令和になって最初の自由研究を終えようと思う。