※BL表現が強い為、苦手な方はスルーでお願いします
お読みになってからの苦情や攻撃などはご遠慮ください
「お前達二人は仕事ができるんだから、二人で手を組んだら最強だろ!」
課長はどこか虚ろな目でそう言った。
「無理です。」
チャンミンが速攻答える。
「この人と一緒になんて無理ですから。」
「は?お、俺だってっ!」
「一人の方がいいです。」
「俺だって!!」
「あ~~~いい!いい!お前達の意見はどうでもいい。兎に角あれはお前達に任す!!」
あれってなんだよ。
この人完全に酔ってる。
のっしりと俺達にのしかかってくる課長。
次の瞬間口を押さえて込み上げる吐き気に嗚咽したから、俺もチャンミンも驚いた。
ここで吐かれるなんて冗談じゃない。
「課長!待って!我慢してください!」
「チョンさん!トイレ連れって行ってっ!」
「なんで俺が!」
「早く!」
「マジか!重っ。」
なんだかんだと二人で課長を引き摺ってトイレで吐かせる。
これがチャンミンと初めての共同作業だなんて。
「最悪。」
そう呟くチャンミンに共感する俺だった。
トイレの個室で便器に抱き着くように嗚咽してる課長とそれを見守る俺とチャンミン。
狭い個室に3人。
チャンミンと俺の距離は密接していた。
「……どうする。」
「タクシーに載せるしかないでしょう。チョンさんが。」
「なんで俺??」
「僕?!」
「お前がこんなに飲ませたんだろ。」
「誰の為だと……。」
「え?」
やっぱり俺を助けてくれたって事?
まさかだろ。
「わかりました。後は僕が。」
「……。」
「出て下さい。」
「あ 、……あぁ。」
俺はトイレの個室から出ようとして、チャンミンの横をすり抜けようとした。
こんなにチャンミンと近づくのは初めてで俺は思わずチャンミンの横顔を見つめる。
どうしてお前は俺を嫌うの?
そう聞くチャンスの様に思えて。
動きを止める。
「何?早く出てくれませんか?」
「あ、あぁ……。」
近くで見ると彫刻の様な彫りの深い顔立ちに見惚れる。
コイツ本当にイケメンが過ぎる。
そんな顔が綺麗に俺を睨む。
「睨むなって。」
「睨むでしょう。とっとと出て下さい。それともやっぱりアンタが課長の面倒を?」
「…………一緒に。」
「は?」
俺は思わずそう言った。
「あ……いや。悪いし一緒に面倒見るよ。」
「……。」
「……。」
一瞬黙った。
「悪くないですから。行って下さい。」
「やだ。」
「は?」
何言ってんだ俺。
折角のチャンスだから?
こんなにチャンミンに近いのは初めてだから?
嫌われてる理由を聞くチャンスだから?
だからって。
またあざといとか言われるのか?
そんなつもりは全くないけど。
なんと思われてもいい。俺はチャンミンと仲良くなりたいのかも知れない。
このチャンスを逃すのは勿体なさすぎる。
「いいだろ?」
「困ります。」
「なんで?!」
「なんでも。」
「は?」
「いいから。」
「良くない。」
「出て。」
「出ない。」
短い会話が続く。
チャンミンのため息。
「じゃあ僕が出ます。」
「待てよっ。」
チャンミンはあっさり俺の横をすり抜けてトイレから出て行ってしまった。
結局距離は縮まらなかった。
ただ。
今まで感じた事がなかったチャンミンの体温と少しのいい香りに俺はなんでか落ち着かないような気持ちになっていた。
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