昨年11月23日に情熱の国スペインで最も熱いダービーについての記事を書きました。
http://ameblo.jp/lovesc/entry-10006417182.html
ダービーマッチとは欧州においてはリーグ戦の成績に関わらず重要な試合です。
当時の記事から抜粋しますと・・・
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生活母体の対立ですから、それはもう半端じゃないくらい熱いです。
ダービーが近づくにつれ、町は完全に2分化されベティコ(ベティスファンのこと)とセビジスタ(セビージャファンのこと)はしばしば町のメインストリートで衝突します。
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産業道路で衝突せよとは言いませんが、それくらい熱い試合になってほしいダービーが行われました。
埼玉県さいたま市緑区(旧浦和市)
浦和レッドダイヤモンズ (ホーム) 2006年Jリーグ 第3位(第9節終了時)
VS
埼玉県さいたま市大宮区(旧大宮市)
大宮アルディージャ(ビジター) 2006年Jリーグ第12位(第9節終了時)
現在埼玉県の県庁所在地のあるさいたま市にある2チームの戦いです。
元々は浦和市、大宮市にわかれていた2市ですが、合併で1つになり埼玉県内の2チームから、同じ市に2チームという過激な遭遇という状態になりました。
登記上、同じ市を拠点とするJ1チームが複数いるのは日本でもさいたま市のみです。さいたま市民がほとんどサッカーファンだとしたら、市民の今年1年の生活にも大きく影響してくる一戦ともいえます。日本版「アンダルシアダービー」として熱く激しい戦いが期待されます。
不測の事態により、スタジアムには試合開始に間に合わず15分近く遅れての到着。この日はレプリカデーという事で赤い服を着用しようとサポーターの間で声があがっていたので、到着して驚いたのがこの真っ赤加減。
普段黒い服をきて熱い応援をしているサポーターズクラブの人たちもどうやら赤い服のようで、おまけにこの時間帯は旗も出していなかったので本当に赤いんです。
試合は開始早々から荒れ模様に。大宮FWの桜井選手が浦和MF鈴木啓太選手を殴打して鈴木啓太選手が頭を抱えて倒れこむなど、順位の差関係無しに盛り上がりを見せます。そしてこの試合には浦和FW田中達也選手を昨年負傷させて長期離脱に追い込んだ大宮DF土屋選手(当時は柏に在籍)も出場しており、土屋選手がボールに触れるたびに5万人以上のブーイングが飛び続けました。
スタジアムとピッチがリンクしたような不穏な空気の漂う中で、試合は両チーム共に決定打を撃てずに膠着状態がしばらく続きました。
この試合は前節2失点した浦和がどう守備を立て直してくるのかという点が1つのポイントでもありました。ベッケンバウアーやマテウスが愛したドイツ式リベロを模倣した闘莉王選手のポジショニングが前節の失点にも繋がっているため、個人的にも注目をしていました。
まず、大宮はこの試合の攻めのポイントを左サイドに置いていたように見えます。
前節の2失点が堀之内選手のサイドから決められているせいか、大宮は得点に絡む働きをする小林大悟選手と相性の良い桜井選手を左に置き、堀之内選手のエリアを支配してのチャンスメイクを目指しました。
そして中には吉原選手ではなく、身長のある森田選手を置きました。これも1つの大きなコンセプトが見えまして、堀之内エリアに動きのある桜井選手を置くことで堀之内選手がそこをケアし続ける必要があります。桜井選手が動いてできたスペースに小林大悟選手が走りこんでいくわけですが、ここに鈴木啓太選手がつきます。場合によっては逆のマークのケースもありますが、攻めと守備の人数が同数というのは守備にとっては非常に危険な状態です。そこでセンターバックの闘莉王選手がフォローに入りたいところですが、中央に身長のある188cmの森田選手がいるために、坪井選手1人では空中戦に負ける恐れがあり、185cmの闘莉王選手が中央に残らざるを得ません。これが大宮が170cmの吉原選手をこの位置においていたなら179cmの坪井選手で十分ケアできますが。
浦和の失点ケースが多いサイドから崩して中央にあげてゴールを決める。これが大宮三浦監督が描いた攻めの戦術の1つだったのではないでしょうか。
しかし後にグラウ選手を投入せざるを得なかったように、三浦監督の戦術には誤算がありました。まずは森田選手の得点力の問題です。同じく身長のあるワシントン選手と比較しても、得点能力が高いわけでもなく、ましてや足元の技術があるわけでもない。そしてフィジカルでも闘莉王選手に負けていたりとクロスがあがっても決められずにそこで終わる攻めになっていました。これではたとえ崩したとしても浦和としては最後に体を当ててコースを切れば怖くないという意識になります。
実際攻め込まれるシーンが多かったのですが、本当にひやりとするシーンは皆無の状態でした。組み立てはひやりとさせられる事があっても、フィニッシュの段階では「あぁ無理だな」という感じでしょうか。
浦和を崩すために高さを使っても通用しないというのは既にゼロックススーパーカップでガンバ大阪が見せています。そこから学んだガンバ大阪は同カードの開幕戦で、裏に抜ける動きからの攻撃で浦和に攻め込み、ドローに持ち込みました。また、浦和に初黒星をつけた清水もマルキーニョス選手の裏への飛び出しからの得点となりました。
それに気がついてかどうかはわかりませんが、後半になって裏に飛び込めるグラウ選手を投入してきましたが、大宮の選手が浦和の激しいプレスにスタミナを奪われたあとでしたので、ポゼッションは既に浦和にあり、グラウ選手の良さを出す事ができませんでした。
そうこうしているうちに、前半32分にワシントン選手が大宮DFのミスを逃さず1人で3人をかわしてゴールを決めました。
トニーニョ選手ともう1人の大宮DFの選手が2人でボールに行ってしまった為に、ワシントン選手にうまく体を入れられてそのままDF2人を引きずりながらGKもかわしてゴールとなりました。
4バックが1トップに崩されるのはディフェンダーとしては責任が重いものです。レフト、センター、ライトとエリアを3つに区切るとしたらその3つのディフェンスエリアを4人で守っているわけです。対して浦和の場合はその3つのエリアをワシントン選手1人で侵入していくわけですから、ここはファールをしてでも止めなければいけないシーンです。
そして前半は終了。
ハーフタイムの時の大宮サポーターの皆さん。びっちりオレンジです。さすがダービー。
前半終了間際に都築選手が負傷したため、後半は山岸選手がGKとして入りました。
後半は浦和は追加点、大宮は同点を狙って攻撃のキーマンを投入してきます。浦和は復帰試合でゴールを決めて波にのる永井選手、大宮は前述のグラウ選手です。このグラウ選手。くどいくらいこのBlogでも言い続けてきましたが、とても良い選手です。個人的に好きな選手の1人です。小林大悟選手のスルーパスを裏でもらえる選手が入った事で浦和DF陣にとっては辛抱の時間帯になるかと思われました。
しかし、既にポゼッションは浦和にあり、激しいフォアチェックにより大宮は攻撃ができません。逆に畳み掛ける浦和は永井選手が2試合連続となるゴールを決めて突き放します。
浦和スタンドのボルテージもかなりあがっていきます。
選手たちを中心に旗を振り、熱狂するサポーター。
この写真を見て1つ思った事があります。
この絵はドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」です。
女神が選手だとして、後ろで続く民衆がサポーター。この絵とレッズがとてもだぶるんです。フランスの7月革命ですから旗はトリコロールですが、赤はレッズの赤ですから、余計にそう感じます。ダービーの熱狂が民衆の熱狂とだぶらせたのでしょう。
もっと言えば世界に挑むJリーグにも見えます。
赤=浦和レッズ、青=ガンバ大阪。
現在のJリーグを象徴する2チームがアジア、欧州を制覇していく姿に。
そしてこのまま試合は2-0で浦和の完勝で終了しました。

この試合は何度か見えた大宮のマークの約束事の不徹底が致命的でした。受け渡すのか、マーカーが最後まで突いていくのかが非常に不透明だったと思います。また、気持ちの面でも暴力に反映されていくような稚拙な荒さだけが前にでて、得点を取って勝利する事への闘争心が足りなかったと思います。
そういう意味でも言葉は厳しいですが、大宮は浦和と「ダービー」という冠をいだいて戦うレベルでない・・・むしろ浦和に差を空けられたという事が言えると思います。
大宮にダービーの主役の1人としての盛り上がりを期待していましたが、なんとも残念な虚しいプレースタイルとなりました。
一方の浦和は、清水戦の敗北後、ナビスコ含めて2連勝です。
守備も堀之内サイドを狙われていましたが、清水戦で得た課題をきっちりとクリアして集中できていましたので、さすが堀之内選手だと思いました。
闘莉王選手と共に要所でオーバーラップも見せましたので、大宮にとってはフォーメーション上、本来いるはずのない選手の侵入で解決できない問題が生じていました。
この「解決できない問題」を相手エリアで発生させるのが今年の浦和の1つの売りでもあり、この問題を解決するには先制する事が必須となり、その後にフォーメーションを崩してマーカーをつけるという清水の長谷川健太監督が採用した戦術しか現状はなさそうに思えます。
解決できない存在とはありえない存在であり、相手ディフェンダーにとってはアリエナイ瞬間となります。
まさにAmazing J!
さいたま市ダービーが名物ダービーとなり、「アンダルシアダービー」のような俗称が付けられるようになるのはいつになるのでしょうか。その為にも大宮には頑張ってもらわないといけないような気がします。
それでは試合の途中で撮影したものをどうぞ。
ダービー勝利に沸くサポーター
5万人台の迫力はすごいですね。
勝利後にタオルやマフラーをかざして歌う「We are Diamonds」。
試合終了後の挨拶。
先制ゴールを決めたワシントン選手
さいたま市ダービーは通算で浦和の10勝2敗となりました。
浦和レッズ、公式戦通算603試合目のゲームでした。