大学の頃くらいからかな。
写真や動画をちゃんと残すようになった。
家族や恋人や友達がその瞬間を過ごしている間も、僕は何かを切り取って残したかった。
いつかのために。思い返すために。
増えたデータはいつからかクラウドに残すようになった。
いつでも見返せるように。昔を感じたくなった時のために。
でも、ここ何年かはなぜか分からないけど、忙しいせいか、見返すこともなくなった。
だから、クラウドからハードディスクに移し替えたんだ。
そしたら余計に写真や動画を思い返すこともなくなった。
今日、久しぶりに見たらさ、なんか新鮮で。とても懐かしい気分になった。
こんなこともあったっけ。
あんなこともあったっけ。
なんてね。
十代の頃はさ、思い出も生きた日々も少なくてさ。
ちょっと頭で考えたらすぐに思い出せたもんさ。
たとえば僕の人生を本に例えるなら…そう、薄い薄い本だったんだろうな。
だから読み返すのも容易かった。
でも、今じゃちょっと分厚くて、日々を振り返るのも目次が必要になるくらい。
老いたんだって言えば簡単な話かもしれないけど、それだけ多くを生きたってことなんだろう。
ずっとずっと忘れないでいたいし、その度に読み返したい。
僕だけの厚みのある本。
今を大切に。