長く短い一日の出来事と思うこと

写真を見た時、その笑顔に懐かしさを感じた。

 

そういえばそんな時に記念に写真を撮ったっけ。

 

今となればそれが最後になるなんてあの頃は思わなかった。

 

シャッターを押す前に戻れるなら、強く抱きしめて

 

感謝を、謝罪を、さよならを、

 

伝えたかったな。

 

そして強く目に写したかったな。

 

 

好きかどうか、想っているかどうか、そんな浅い話じゃなくて。

 

もはや僕のDNAに刻み込まれたそのすべては、この脳が正常に動く間はそれらを日常から切り離して、言わば特別な存在のように扱うだろう。

 

過去や後悔を超越し、それさえも今の浸る時間を作るための餌なんだと、そんなふうに自然に思うことができる。

 

そして、これからどうしたいとか、「もしも」の話なんて愚問で、ただそこにある古臭い記憶だけで何十年も起動する歯車のように僕は動いている。

 

これは縁なのか、切れない鎖なのか。それすら気にしちゃいない。

 

君にとっての僕と、僕にとっての君に、相違があったとしても構うもんか。

 

もう絶対に切れない鎖なんだから。

何かをしながら話したことはあったっけかな。

 

酒でも飲んで気持ちが浮ついて話したこともあったっけかな。

 

いや、でもそんな記憶はないかもな。

 

僕が君と初めて離れた時の、あの夏の、あの冒険的な無意味な行動を。

 

疲れて揺られた高崎線を、寂しくて遠くを見つめた新宿のファストフードの夜を。

 

梅雨に滴る制服のまま客引きをした日々を、その時、手をつなぐ恋人の前で涙した時を。

 

何をがむしゃらに、なぜどうしてそんなに思い焦がれて追いかけた?

 

何になりたかったのか、君に何を見せたかったのか。

 

どう思われたかったのか、どんな成果を生み出したかったのか。

 

もう全部ぜんぶどうでもいいけど、

 

こんな記憶や想いは誰にも話したくはないし、共有したくない。

 

それがたとえ君であっても。

 

正解じゃないこのルート上で、不正解だった話を誰とどう話そうか。

 

いいんだ。そんなことがあったと僕だけが時折思い出そうよ。

 

これが正解で、それが不正解だったルートかもしれないし、どっちにしても共有すべき相手は君じゃないんだ。

君と僕は互いに欠けた何か。

君と僕は互いを満たす何か。

 

そうさ。自画自賛だけど、今更良い曲だって思うよ。

こうしたい、あぁしたいってもがいて、勝手に怒鳴って。

 

それはみんなが楽しくなるようにってことなんだけど、

 

でも、そうじゃなくて。

 

もうここにいる、もうみんなこの場所に集まってる、それだけで十分なんだよね。

 

無理なんてしなくていいし、思うように進まなくて悩む必要なんてない。

 

ここにいることがすべてで、それがハッピーなんだな。

もう毎日同じことの繰り返しで、成長や退化なんて後になって分かるくらい。

 

それでもリアルタイムにしがみついてなんとか居場所を確保してる。

 

最近じゃAIの音楽に手を出して、自分の過去のオリジナルをカバーしてもらってる。

 

いいかんじ。

 

君は僕の曲で聞きたい曲はある?

あっちもこっちも、何も解決しないし、大人になって余裕も出たはずなのに、昔と何も変わらねーな。

 

大事なもんは勝手に増えるし、代わりにやらなきゃいけないことも増える。

 

日々精進ってのは、まさにこれだな。

 

君はどう?負けてない?

 

やることがあるってのも幸せなことよね。

 

何十階くらい上のステージでバッタリ会うことがあれば、コーヒーくらいおごるから話聞かせてよ。

 

Well, I gatta go.

僕が、僕らが描いた未来はずっとずっと先に続いていた。

 

それは具体的にいつかってのは話し合って決めた次元じゃないけど、あの頃も今も、きっとこれくらいだって分かってる。

 

そして、それが最期の時間。

 

そう、ごく自然に僕たちは自分たちの最期をどう過ごしたいかって話していたんだ。

 

そしてそれは戻りたかった場所で、何も変わらないまま、つまりはあの頃の続きを始めるように時間を戻したかった。

 

僕はそのためにここにいて、そのために奮闘してる。

 

そうね、いつかそんな場所で、そんなふうに終えられればいいよね。

 

そのために、そんな日が来ることを願って、僕も君も日々なんとかやってるよね。

どれだけの愛を貰っただろうか。

 

どれだけの恩を返せただろうか。

 

そんなこと、親にやって思うのは愚問だってこと。

 

でも、ここで何もできなければ、一生の悔いになる。

 

絶対になんとかしてみせる。

 

来たるべき時がきたんだと思う。

 

それは、あなたたちも、僕たちも。

 

決して悪い意味ではなく、寂しい気持ちでもなく、前向き考えるとするならば、次のステージに進むだけなんだと。

 

何度もそう言い聞かせ、この場所を去る理由に添えた。

 

物心ついた時からおんなじことを、おんなじ服着て繰り返してたね。

 

もうそれも見れないとなると、ほんの少し湿っぽくなるけど、あぁ少しずつ世代交代なんだって、改めて感じたよ。

 

本当にありがとう。今まで働いてくれて。

 

そして、本当にお疲れ様でした。

 

あなたが熱心に向き合った、その小さな作業の一つ一つが、僕らを支えてくれたんだと今なら分かります。

 

これからは僕に任せてください。

 

大丈夫。