たった一つのことで、それまでの自分を全否定して、
たった一つのことで、これからの自分を清く正す。
人間のズルさというか、つよさが嫌いだった。
それは僕の中でのトラウマでもあり、コンプレックスでもあり、遠い失恋と、きっとそんなものたちと関係するんだ。
今はそう冷静に分析できる。
美化や正当化、都合の良い解釈…そんなものに刃を向けていたね。
深く、難しく考え込む僕は、実際のところ、単純な生き物で、差し込む小さな光に手を伸ばしていたんだ。
散々文句を言っていたくせに、必死に手を伸ばしていたんだ。
思うようにいかないこともたくさんあるし、自分という存在を認めたわけじゃないけど、長い長いトンネルの先が見えた気がしたんだ。
今はただ、このペースを、この心の置き方を、揺るがしたくないって思う。
でも、たぶん簡単に崩されてしまう平常心も、僕は笑ってやり過ごしたい。
そうやって積み上げてさえいれば、差し込んだ光に触れたとしても、僕は堂々と泣けるし、笑えるんだ。
少しだけ心臓は早くなっていた。
青春だ。