<ラブリンク>

     内藤みか


  第10話

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 亮太は、デートタイ
プの出張ホストだった。
 出張ホストには、二
種類のタイプがある。
性的行為がついている
プレイタイプと、性的
行為は一切なしのデー
トタイプだ。
 ルックスがいい子は、
ただ連れて歩くだけで
もお金を払いたい女の
子が大勢いるから、エ
ッチなことをしなくて
も充分稼げてしまうの
で、ほとんどデートタ
イプに属していた。
 私がいつも呼ぶのは
デートタイプだった。
若くて可愛い男の子と
はしゃぎながらデート
するだけで、充分、癒
された。
 デートタイプの男の
子達にはそれなりのプ
ライドが高い子が多く
「どんなに客に金積ま
れてもカラダだけは売
らない」と威張ってい
る。亮太もそうだった。
 自分を安売りせず
「俺と一緒にいられる
だけでも、お前、喜べ
よ」という風に振る舞
っている亮太に反発を
感じることもあった。
 だけど、彼はその一
方で「窓香ちゃんに会
いたいよ」「こんなに
一緒にいて落ち着ける
のって、窓香ちゃんだ
けだよ」と甘い言葉も
囁いてくる。
 飴と鞭を使い分けら
れているうちに、離れ
ることができなくなっ
ていた。この関係に未
来なんてないとわかっ
ているのに。
 今夜の亮太は少し、
私を警戒しているよう
だった。
「ごめんね、勝手なこ
と言って。前ね、風俗
嬢のお客さんに「添い
寝だけでいいから」と
せがまれてラブホに入
ったことあったんだけ
ど」
 きっと何度も同じよ
うに断ってるのだろう、
すらすらと言葉が流れ
出てくる。
「結局さ、どうしても
エッチなムードになっ
てきちゃって。お客さ
んが迫ってくるんだよ
ね。でも断るしかない
し、お互いに関係がぎ
こちなくなっちゃうし」
「……」
 私は答えなかった。
ラブホテル街にワザと
来たわけじゃないのに、
誤解されてしまったの
も悔しかった。
「あ、もちろん、ぶっ
ちゃけ言えば、窓香ち
ゃんとはエッチしてみ
たいよ。だから、行か
ない。だって行ったら、
俺がガマンできないか
ら」
 うまいことばかり言
って……。私は苦く笑
った。
 こうやって、出張ホ
ストはちらちらと「好
意」や「淡い恋心」み
たいなものを客に小出
しにして、少しでも長
く指名をもらおうとす
るのだ。
 彼女がいるくせに、
他の女とラブホに行く
なんて、ちょっとひど
いんじゃないの?
 そう言ってやりたい
けど、言えない。
 だけどせめて、この
くらいは、言わせても
らいたかった。
「でもあなたって、キ
スはOKなのね? 今
まで何人のお客さんと
キスしたの?」


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