ちょっと前にこんなことがありました。
日本人の男性(推定年齢30歳)が、乗ってきた瞬間に私の
ところにすごい勢いでやってきました。
「日本語、いいですか?あの、僕ねえ、ここの通路側の壁の
前の席、3ヶ月前から予約してたんです。それなのに当日に
なったら変えられてるってどういうことですか?!」
「そのことは、もうチェックインカウンターで言っていただいた
きましたか?」
「言いましたよ!満席やからムリとか言うんですよ!」
「では、私も確かめてまいりますので少々お待ちください」
飛行機を降り、ゲートに行った。地上職の人に説明した。
「ああ、あの席は人気だから~。予約しててもチェックインするのが
彼は遅すぎたから彼が悪いのよ。もう来ないと思ったんだもん。」
言い捨てられてスゴスゴと機内に戻った。
これは、また嫌いな仕事をするしかない。。
客室内の、壁の前に座ってらっしゃる、約40人ほどのお客様に
席を替わっていただけないか交渉することにした。が・・・答えは
もちろんノーである。
そうだよね・・この席、前は広いし壁に足ひっかけれるもんね・・・
「○○様、申し訳ございません。皆様に断られてしまいました。
このことは私も会社に報告いたします。○○様も恐れ入りますが
投書カードにこのことを書いていただけませんか?」
私は彼に、パーサーからのちょっとした贈り物とともに投書カードを
お持ちした。彼はイライラしながらも席についた。
お食事のサービスが始まった。後ろのスッチーに呼ばれた。行くと
怒り顔の彼がいた。
「あんな席に座ってるから、気分悪くなって。こんな濃いもの
食べれないんですけど!もっとあっさりしたもん、無い?例えば
カップヌードルとか・・・」
それは、、、あっさりしてるかなあ・・・・??
「カップヌードル、無いんですよ~。。。
ビジネスクラスの白いご飯とお味噌汁でしたら、お持ち
いたしますけど、いかがですか?」
彼は白いご飯をイライラしながらも二杯分たいらげた。
飛行機が日本に向けて下降体制へと入った。私はもう一度謝りに、彼の
席に向かった。彼はビッシリと書かれた投書カードを渡して頭を下げた。
お・・・頭を下げはったということは、少しは怒りが
おさまったかな・・?
日本に到着した。私はドアのところで降りて行くお客様にご挨拶をしていた。
通路の向こうに彼の姿が見えた。
ああ、申し訳ございませんって言わなな・・・・
彼が私の前に立った。
「○○様、本日は大変申し訳ござ・・・・きゃ~~!!!」
目の前に向かってくるのは、彼の拳!
殴られる!!助けて!!
とっさに目を閉じ、しゃがみこんだ。私の頭上では、ボコボコっと殴りあう
音が聞こえてた。そっと目を開けたら、5歳ぐらいの外国人の子供と
目が合った。その子も、上を見上げ泣き叫んでいる。
あの子、助けな!!
その子に走り寄って、頭をなでながら振り返った私が見たものは・・・
その子のお父さんが必死で、暴れる例の彼を後ろから羽交い絞めに
してる姿。2人とも血まみれで、服も引き裂かれていた。
他のお客さんの援助で三人に取り押さえられた彼は、かけつけた
空港警察に身柄を拘束された。そして、お父さんと子供ちゃんも、
事情聴取で連れて行かれた。
他のお客さんが私に言いに来た。
「あなたを殴る寸前で、あの外国人の男性が彼の手を押さえつけたのよ。」
放心状態の私に空港警察の人が話しかけてきた。
「あのー、機内の様子を詳しく聞きたいので、署にこのまま
来ていただいていいですか?」
かくして私は、人生で初めての事情聴取を受けることになった。
TVで言ってたように、同じ内容のことを、質問を変えて何度も何度も
繰り返し聞かれた。1時間ほど経って、警察官は最後にこう言った。
「例の○○さんね、実は麻薬反応が出ましてね。覚せい剤ね。
機内で、そういう様子はありませんでしたか?」
わ~~!!こわ~~(:-:)
「全然、なかったです。」
「はい、では、これで終了です。」
「あの~、私を守ってくださった外国人のお父さんに
会って御礼が言いたいんですけど。。」
「ん~・・・実はねえ、、彼のパスポートが偽造やったんですわ・・
だから、ちょっと今、取調べ中なんです。」
ええええええええええええええ!!!!
私を助けてくれたことを考慮に入れて、処分してあげてください・・と
お願いして、長い一日が終わった。
飛行機にはいろんな人が乗ってるんですね・・・・