おっさんのピーナッツ | 新♪ここだけの話♪♪ ~スッチー編~

新♪ここだけの話♪♪ ~スッチー編~

空の上のおもしろい話、つつみ隠さずぶっちゃけます♪

今日はお休みです♪わーいわーい☆


さて・・・・ずっと前にあったことを思い出したので書きます。


あれは、1年ほど前のこと。

最初のお飲み物のサービスも終わり、

お食事のサービスに移ろうとしたとき、ある外国人の家族

呼び止められました。


「すみません。助けてください。」

お母さんとお父さんの間には、しんどそうな男の子。すっごい

苦しそうに息をしている。。。


「この子、強度のピーナツアレルギーなんです。」

    「?ピーナツお出ししてませんよね?」


「食べてません。この子は、ピーナツの匂いだけでアレルギー症状が

出ることがあって・・・・機内は空気が悪いから、きっと匂うんです。

周りにピーナツを食べてる人がいたら、止めるように言っていただいても

いいですか?」


    匂いだけでもアレルギーが出るんや!知らなかった!!


それから、すぐにクンクンと鼻をきかせて、ピーナツの匂いを捜し求めたが

私にも他の乗務員にも分からなかった。アナウンスをすることにした。


     「機内で強度のピーナツアレルギーのお子様がいらっしゃいます。

     ピーナッツのにおいで、体調が悪くなられていらっしゃいます。

     機内でピーナッツをお召し上がり中のお客様は、恐れ入りますが一旦

     食べるのを止めて頂きますよう、ご協力をお願いいたします。」

アナウンスの後、通路でピーナツを食べてる人を探してたら、

日本人のオジサンに呼び止められた。


「おい。」


    ・・・・・こわ・・・・・(@-@)


「ピーナツ、食べたらアカンやと?何食べても、わしらの

勝手ちゃうんか?おお?なあ?ねーちゃん。」

オッサンの手には、ピーナツの缶。もう片方の手には、ビールがあった。


     「申し訳ございません、お客様。ピーナッツのアレルギー反応で

     息が苦しくなってるお子様がいらっしゃいまして、安全な運行の

     ためにも、ご協力を・・・」

「そんなもん、乗ってくるほうが悪いやんけ。」

      「は?」


「なんのアレルギーか知らんけど、病気あるくせに、飛行機乗ったら

調子悪なるん当然ちゃうんか?なんで、そんなもんに協力せなあかん

ねん。お前、そんなことが通用すると思てんのんか?」



       ・・・・・うぇ~ん(:-:)怖いよう・・・・

そんな内に、男の子の容態はどんどん悪くなってきた。お医者様が

抗アレルギー剤の注射を打つことになり、男の子には点滴と注射が施された。


「ピーナッツの代わりのオツマミをビジネスクラスから、

       お持ちいたします。ですので、そちらを・・・」


と、ピーナツの缶に手を伸ばし、フタを閉めようとした


「おい、何するつもりや!オレは、ビールにはピーナッツしか

食わん!責任者呼べ!」

       責任者、外国人やから、私が通訳しなあかんねんからね!!

       ふんっ。


男の子につきっきりだったパーサーに事情を説明し、来てもらった。

パーサーが英語で「あんたは、なんて非人情な人なんや!」とまくしたて、

ピーナツ缶のフタを閉めようとした


「おい、なんや、この航空会社!!何が客商売じゃ!!!」


オッサンとパーサーでピーナッツ缶の取り合いになった。

そこに、とうとう機長がやってきた。機長の手には、機内にある簡易手錠

機長の命令カード


  「機長の命令カード」というのはコクピットにあり、「あなたがこれ以上

  乗務員や機長の言うことを聞かないようであれば、機長の判断で

  到着地にて現地警察により身柄を拘束、強制送還も辞さない。だから、

  ちゃんと言うことを聞くように。」ということがすべての言語で書いてある

  カードである。


機長がカードをオッサンに見せた。


     「お客様、このままだと現地の警察に拘束され留置所です!!

     ピーナッツの缶をお渡しください!」

オッサンは・・・・・・そのカードを受け取って・・・・機長の顔めがけて投げ捨てた

ついでに横にいるパーサーにビールをひっかけた


        わぁ~~~~~!!!まじ????


そんな間にも、男の子の容態はどんどん悪化していた。

お医者様は、どこかでこの男の子を降ろし、すぐに救急車で病院へ

運ばないと危険である、という判断を下した。


「よし、ここからはカナダが近い。カナダで降りよう。」


という機長の言葉で全員が着陸態勢の準備に入った。ピーナツ缶の

オッサンには2人がかりで手錠がかけられ、ピーナッツ缶が没収された

パーサーに、「あのオッサンはどうするの?」と聞いた。


「機長が決めることだから、もう全部機長に任せましょう。」


カナダの空港に到着した。ドアを開けると、救急隊員、その後ろには

現地の筋肉ムキムキの怖そうな警察が三人立っていた。


      あ・・・・・やっぱり警察呼んだんや・・・・


救急隊員とともに、警察官もズカズカと機内に入ってきた。

席番号などは、機長が連絡していたらしい。前の通路から

コッソリ後ろを見たら、オッサンはワイワイわめきながらも

連れ去られて行った。


強制送還の場合、今からの旅費は、オッサンの実費である。

また、帰りの飛行機のドアが閉まるまで警察に身柄を拘束

されたまんまである。


       素直に最初からピーナッツ渡しとけば良かったのに。。。