ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回は号外、個人的な思い入れの強い記事ですので、予めご了承ください。
昨年11月30日
Shane MacGowanが死んじまいました
・・・『亡くなった』とか『逝去された』
そんな言葉が全くそぐわない人間です
死んじまったんです
享年65歳・・・・・。
日本での知名度が非常に低い彼は
1957年12月25日に
イングランドのケント州で生まれたアイルランド人です。
1982年にロンドンで
Spider StacyらとともにThe Poguesを結成します。
アイルランドのトラッドと
パンクを融合させたこのバンドは
ケルティック・パンクと呼ばれ
イギリスやアイルランドで
人気を博しました。
しかし
Shane MacGowanは
その半生を酒とドラッグに溺れて過ごした
根っからのロクデナシでした。
彼は決して歌が上手い訳ではありませんが
アイルランドの伝統音楽が好きで
ロックも大好きな私は
バンドのデビュー当時から彼に魅了されていました。
酒とドラッグに溺れたロクデナシが
長生きできないのは明白でしたが
昨年12月初にいざ訃報を聞くと
私の心に何か大きな穴が開き
現実を受け入れることができませんでした。
ほぼ2か月が経過し
ようやく現実に向き合うことが
できるようになりましたので
Shane MacGowanを追悼し
この記事をアップします。
Shane MacGowanの葬儀は
2023年12月8日
アイルランド南部ティペラリー州ニーナーにある
セント・メアリー・オブ・ザ・ロザリー教会で
The Poguesの存命メンバーや俳優のJohnny Depp
Band Aidを主宰したBob Geldofなど
多くの友人が参列する中
荘厳に執り行われました。
葬儀では
Shane MacGowanの曲や
彼が愛したケルトのトラッドなどが
参列者により演奏されました。
The Poguesの存命メンバーによる
『The Parting Glass』。
スコットランドの民謡で
当初The Poguesのアルバムには
収録されていませんでしたが
2005年にセカンドアルバム
『Rum Sodomy & The Lush』がリイッシューされた時
ボーナストラックとして収録されています。
Spider Stacyが冒頭で眼鏡を外し
悲しそうな表情で歌っているのが印象的です。
長年来の友人だったNick Caveによる
『A Rainy Night In Soho』。
1986年にリリースされた
4曲入りEP『Poetry In Motion』の収録曲で
Shane MacGowanの作品です。
Nick Cave自身も
Shane MacGowanとのデュエットで発表したシングル
『What A Wonderful World』の
B面に収録しています。
Imelda Mayと
Hothouse FlowersのLiam Ó Maonlaíによる
『You're The One』。
Shane MacGowanとMichael Kamenによる共作で
1995年に公開されたアイルランドを舞台とする映画
『Circles Of Friends』の挿入歌となりました。
サウンドトラックでは
Shaneとアイルランドの歌姫Máire Bhraonáinが
デュエットしています。
シンガーソングライターMundyと
女性シンガーCamille O'Sullivanによる
『Haunted』。
Sex Pistolsのベーシストで21歳で亡くなった
Sid Vicious(1957.05.10-1979.02.02)の
生涯を描いた映画『Sid And Nancy』の挿入歌として
Shane MacGowanが書いた曲で
The Poguesのバージョンでは
当時バンドでベースを弾いていた女性ミュージシャン
Cait O'Riordanが歌っていました。
その後
1996年に公開されたアメリカ映画
『Two If By Sea/Stolen Hearts』のサウンドトラック用として
Shane MacGowan自身が
女性歌手Sinéad O'connor(1966.12.08-2023.07.26)と
デュエットで再録音しています。
葬儀での音楽パフォーマンスのオーガナイザーGlen Hansardと
女性シンガーソングライターLisa O'Neillによる
『Fairytale Of New York』。
Kirsty MacColl(1959.10.10-2000.12.18)とのデュエットで
アルバム『If I should Fall From Grace With God』に収録され
バンドを代表するのヒット曲になっています。
最後は
参列者全員による『Mo Ghille, M'Fhear』に送られ
棺が運び出されます。
この曲はアイルランドのトラッドで
政治的な内容の歌詞ですが
基本になっているのは
亡くなってしまったヒーローを偲ぶものです。
この曲で送り出されるということは
現代のアイルランド人にとって
あのロクデナシのShane MacGowanが
一種のヒーローであることの証かもしれません。
葬儀の後
棺は首都ダブリンに運ばれ
霊柩馬車で市内をパレードします。
見送る多くの市民が
『Fairytale Of New York』を合唱する姿に
思わずほろりとしてしまいました。
あのどうしようもないロクデナシが
多くのアイルランド国民に愛されていたのは
紛れもない事実です。
最後になりますが
ShaneとKirsty MacCollによる
オリジナルの『Fairytale Of New York』で
2人の冥福を祈りたいと思います。
彼自身を彷彿させる
ロクデナシのクリスマスを歌ったこの曲は
今でもアイルランドのクリスマスには
欠かせない曲として親しまれています。
奇しくも
クリスマス・デイは彼の誕生日です。
RIP Shane my dear Bastard!
以上長々とお付き合い頂き厚くお礼を申し上げます。
次回は、本日15時に他人の迷惑を顧みず私の好きな曲をご紹介するMUSIC編。Semisonicの『Closing Time』です。