スピンオフ編~静岡県三島市・未知の世界に触れ興味深い訪問でした『三嶋暦師の館』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

静岡県三島市の

『三嶋暦師の館』です。

 

最寄駅は

JR東海道本線/東海道新幹線

伊豆箱根鉄道駿豆線の『三島』。

 

駅から徒歩20分

『三嶋大社』の東50mに位置しています。

 

三嶋暦を代々発行していた

河合家の家屋を改修した

小さな博物館です。

 

河合家は

奈良時代に京都から移住し

庭の一角に天文台を建て

屋内には作業場を設け

三嶋暦を50代にわたり

製造販売してきたと伝えられています。

 

現在の建物は

1854(安政元)年に起きた

安政大地震により母家が倒壊した後に

韮山の世襲代官だった江川家の36代当主

江川太郎左衛門英龍の肝いりで

十里木(裾野市)の関所の廃屋を使って

建てられたものです。

 

余談になりますが

江川英龍は江戸にお台場を建設したこと

日本で初めてパンを焼いたことなどで

知られる人物です。

 

閑話休題

 

三島市は

河合家から寄贈されたこの建物を整備し

2005(平成17)年から

暦の歴史・文化を紹介する博物館として

一般公開しています。

 

ところであんた

三嶋暦って何なのよ

そんなお声が聞こえてきます。

 

三嶋暦は

室町時代の15世紀中ごろから

河合家が作成し

三嶋大社より一般に頒布された仮名暦で

月の満ち欠けに基づく太陰暦です。

 

仮名暦は

漢字による暦が本格派で

男性が読むものとされていた時代に

女性・子供向けに仮名で書かれたもので

三嶋暦は日本最古の仮名暦とされています。

 

1872(明治5)年に暦法が改正され

太陽暦に基づく伊勢暦が作成され

太陰暦に基づく私暦が禁止されました。

 

このため

河合家による三嶋暦作成は

1872年で終焉を迎えています。

 

館内に入ると

玄関の間、控えの間、次の間と続き

三嶋暦や三島に関連する品々が

多数展示されています。

 

因みに

玄関の間に置かれている大きな壺は

三島暦とは関係ありません。

 

庭に面した一番奥の部屋は

次の間とされていますが

一番格式の高い部屋に見えます。

 

この部屋で

三嶋暦の印刷を体験する

講座も開かれるようです。

 

違い棚はありませんが

ほぼ書院造りになっています。


天袋の絵は後から貼ったのでしょうか

中途半端な構図のようにも思えますが

それはそれで趣きがあります。

 

三嶋暦の印刷に使われていた硯

年代不祥ですが

河合家の53代当主龍明氏が

所蔵されていたものです。

 

井口惣左の名が書かれた三嶋暦の版木

井口家は三嶋大社の宮大工を

代々つとめてきた家柄で

版木作成にも関わっていたと

考えられています。

 

こちらは最大のハイライト

現存する最古の三嶋暦の

縮小複製版です。

 

原本は栃木県足利市の『足利学校』所蔵で

同校に伝来した中国の占い本

『周易注疎』の写本の表紙に

補強のための裏張りとして

不要となった1437(永享9)年の三嶋暦が

使用されたものです。

 

このような形で残っているというのが

とても興味深かったです。

 

館内の見学を終え屋外に出ると

庭の片隅に何かが見えます。

 

東西南北が示されています。

 

かつては天文台があったとのことですので

その名残なのでしょうか。

 

大きな施設ではありませんが

三嶋暦という未知の世界に触れることができ

とても興味深い訪問になりました。

 

三嶋暦師の館

静岡県三島市大宮町2-5-17

055-976-3088

9:30-16:30

月曜日と年末年始休館

入館無料

 

次回は、本日15時に他人の迷惑を顧みず私の好きな曲をご紹介するMUSIC編。Collective Soulの『Shine』です。