スピンオフ編~静岡県静岡市清水区・旧東海道に残る和洋折衷の歴史的建造物『旧五十嵐歯科医院』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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全国各地のビーフカツを紹介している超変人の超マニアックなブログです。最近は国内、韓国、中国などのB級グルメについても書いています。

ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

静岡県静岡市清水区の

『旧五十嵐歯科医院』です。

 

最寄駅は

JR東海道本線『新蒲原』。

 

駅から徒歩6~7分

旧東海道の街並みに

異彩を放つ洋館が見えます。

 

こちらが

『旧五十嵐歯科医院』です。

 

元々は

大正期以前に建てられた

3軒並んだ町屋でしたが

1914(大正3)年頃に

真ん中の家に住んでいた五十嵐準氏が

歯科医院を開業するに当って

外観を洋風に改装しました。

 

当初は

現在の中央部分だけでしたが

1918(大正7)年頃に

西側(画像左手)を連結・増築し

1940(昭和15)年~1941(昭和16)年に

東側部分(画像右手)を連結・増築しました。

 

20世紀末頃まで開業していて

現在でも表札が残されています。

 

玄関の脇には

『健康保険歯科醫』、『簡易保険歯科醫』

『電話二三番』などの

古い銘板も残されています。

 

設計は地元の大工と言われ

内部は旧来の町屋の特徴を残し

外部を洋館風にしたユニークな造形が評価され

2000(平成12)年に

国の登録有形文化財となりました。

 

玄関のコーニス(・・・のようなもの)が素敵です

これを大正期の地元の大工さんが

設計したということは驚きです。

 

建物の中は

ボランティアの方にご案内して頂けます。

 

まずは中央から。

 

手前から

『みせ』、『なかのま』、『ぶつま』、『おかって』と

4部屋続きになっています。

 

面白いのは『みせ』と『なかのま』の間の障子

一つだけ他の半分の幅しかありません。

 

東側の家を連結・増設した際に

部屋の幅が増してしまったため

補助の障子を足したそうです。

 

このアングルで見ると

分かり易いです。

 

柱は東側の家屋のもので

左側に見えるガラス戸までが

中央の家だったとのことです。

 

『みせ』の隅には電話室があります。

 

当時は電話を持っている家庭は少なく

近所の方への連絡も

こちらの電話に掛って来たそうです。

 

こちらが

電話室に備わっていた電話機。

 

電話を掛ける時には

受話器を外し

右側のハンドルを廻して

電話局の交換手を呼び出し

相手の番号を告げたそうです

・・・と亡くなった祖母に聞きました。

 

蓄音機

レコードプレイヤーですね。

 

電気アイロン

基本的な形は変わっていないようですね。

 

『なかのま』には

立派な大きな金庫があり

重要な書類などの他に

入れ歯に使う金も保管されていたそうです。

 

金庫の上には神棚があります

盗難除けを兼ねているのでしょうか。

 

1階の各部屋の欄間には

近江八景が6枚にわたり彫られています。

 

私は広重については詳しくないので

この欄間がどこなのかは分かりません。

 

『おかって』には

氷冷式の冷蔵庫が置かれています。

 

『おかって』の西隣の部屋には

2階に上がる急な階段があります。

 

歴史的建造物内のこのような階段は

使用禁止が一般的ですが

こちらでは昇ることができます。

 

2階に上がると

階段の幅の半分ほどに

折り畳み式の渡り板があります。

 

渡り板は

1940(昭和15)年~

1941(昭和16)年頃に

新たに増築した部分の2階へ行くために

簡易的に作られたものです。

 

増築部分の2階には小さな部屋があり

五十嵐先生の勉強部屋だったそうです。

 

西側の2階は

特別待合室として使用された部屋で

花鳥風月が描かれた豪華な襖があります。

 

襖の上の欄間は

富士山と松原が描かれています。

 

旧東海道に面した

この書院造りの部屋では

警視総監なども務めた

田中光顕伯爵も

患者として順番を待っていたそうです。

 

床の間に置かれているのは

田中伯爵の像です。

 

中央部2階には診療室があります。

 

ガラス窓の多い構造で

採光・換気が良く

開放感に溢れています。

 

当時のままの診療用の椅子

子供の頃に近所の歯医者で

座った記憶があるようなないような。

 

診療室の隣には技工室があります。

 

この部屋では

腕の良い二人の技工士が

入れ歯や歯の詰め物を作っていました。

 

当時の入れ歯や詰め物が

そのまま残されています

・・・ちょっと不気味です。

 

加工用の道具もあります。

 

薬の調合も

この部屋で行われていたようです。

 

この小窓は

患者に薬などを渡すためだと思います。

 

再び1階に戻り

東側の台所を通り抜けます。

 

裏には

小さな庭が広がっています。

 

庭から眺めると

別々の寄棟屋根が見え

3棟の家を繋いだことが分かります。

 

庭の中央には

古い井戸があります。

 

歯の治療には水が不可欠ですが

蒲原町に水道が惹かれたのは

1957(昭和32)年。

 

それまではこの井戸から

電動のポンプで井戸水を汲み上げ

2階の診療室へ配水していたそうです。

 

洋風の外装を施した和風の町屋

それだけで興味津々でしたが

残された洋風の診療室にも感動しました。

 

旧五十嵐歯科医院

静岡県静岡市清水区蒲原3-23-3

054-385-2023

(静岡市観光交流文化局文化財課)

3~10月  9:30-16:30

11~2月 9:30-16:00

月曜日と祝日翌日の平日休館

入館無料

 

次回は、本日15時に他人の迷惑を顧みず私の好きな曲をご紹介するMUSIC編。One Repubicの『Secrets』です。