スピンオフ編~愛知県名古屋市千種区・松坂屋初代社長が作った迎賓館と庭園『揚輝荘南園』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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全国各地のビーフカツを紹介している超変人の超マニアックなブログです。最近は国内、韓国、中国などのB級グルメについても書いています。

ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

愛知県名古屋市千種区の

『揚輝荘南園』です。

 

最寄駅は

市営地下鉄東山線『覚王山』。

 

駅から徒歩約10分

山荘風の瀟洒な建物が現れます。

 

こちらが

『揚輝荘南園』の『聴松閣』です。

 

『揚輝荘』は

『いとう呉服店』の初代社長で

後に『松坂屋百貨店』初代社長にもなる

伊藤次郎左衛門祐民氏が

大正から昭和初期に作った別荘です。

 

1939(昭和14)年頃には

約3万5000㎡の敷地に

池泉回遊式庭園とともに

30数棟の建物がありました。

 

戦争による被害や老朽化のほか

都市開発などの影響により

敷地・建物の大半が失われましたが

主要な部分が『南園』と『北園』として残され

2007(平成19)年に

名古屋市に寄贈されました。

 

『聴松閣』は

1937(昭和12)年に

迎賓館として建てられた

地上3階、地下1階の

ハーフティンバー様式の建物です。

 

2013(平成25)年に一般公開され

毎週水曜日と土曜日には

無料のガイドツアーが実施され

庭園を見学することもできます。

 

車寄せに置かれた虎の置物は

祐民翁が中国で買ったと言われる

南北朝時代の石像です。

 

車寄せの天井は

漆喰塗りで仕上げられ

八角形の和風の照明が

取り付けられています。

 

玄関扉は

けやきの無垢一枚板で

表面に送り状として

『尾州名古屋三丁ノ内伊藤治郎左衛門殿行』

そう書かれているそうですが

私には見えませんでした。

 

因みに

『次郎左衛門』とすべきを

『治郎左衛門』と誤記してあるそうです。

 

1階では3部屋が公開されていますが

ハイライトは『旧食堂』。

 

晩餐会が催された部屋で

中央に大きなテーブルがあり

両側の椅子が5脚ずつ置かれていたそうです。

 

現在は

来館者の休憩室兼喫茶店として使われています。

 

部屋の奥の中央には

山荘風の暖炉が設けられています。

 

暖炉の周りの壁には

有名寺院などの古代瓦が

嵌め込まれています。

 

こちらは

京都の東寺のもののようです。

 

中央部にある飾り棚には

『いとう呉服店』店頭に掲げていた

商標デザイン『いとう』を模した

透かし彫りが施されています。

 

階段には

手斧で木材の表面に化粧を施す名栗や

手すりの透かし彫りなど

当時の大工の技が随所に見られます。

 

2階廊下ホール

四隅には手斧化粧の骨組みの付いた

間接照明が取り付けられ

当時の雰囲気を醸し出しています。

 

こちらは2階の『旧書斎』

天井は舟底天井

床は当時は新建材だった

プラスティックタイルの

市松模様になっています。

 

2階の『旧応接室』

暖炉のあるイギリスの山荘風で

滞在者の客間として使われていました。

 

暖炉脇の丸窓とソファーは

一等船室をイメージして

作られたものです。

 

2階『旧寝室B』

『中国の間』とも呼ばれ

暖炉上の木鶏など

中国の装飾が見られます。

 

天井の装飾も

どことなく中国風です。

 

『聴松閣』最大のハイライトは

地階だと思います。

 

階段を下りたところにあるホールには

1階や2階の洋風とは異なる

独特の雰囲気が漂っています。

 

左右の壁には

インドのアジャンター石窟の写しと言われる

壁画が描かれています。

 

作者は

インド・タゴール大学からの留学生

パルク・パリハランです。

 

ホールの奥の方には

更に下に続く階段が見えます。

 

地下トンネルへの階段です

立入ることはできません。

 

トンネルは全長約170m

途中で左右に分かれるT字型で

北側にあった『有芳軒』と

西側にあった『衆善寮』に続いているそうです。

 

建設の目的は定かではありませんが

『揚輝荘』には皇族など要人の往来が多く

2.26事件や日中戦争などの

時代背景を勘案すると

訪問者の緊急避難用だったのではと

考えられています。

 

階段両脇の白とブルーのタイルは

一見汚れが付いているように見えますが

花や葉の模様が描かれたものです。

 

地下トンネル入口の反対側には

『旧舞踏場』があります。

 

1階で食事をした来賓たちがこちらに移り

お酒を飲んだりダンスを楽しんだりしたようです。

 

また

正面の舞台では

能や狂言が披露されたと思われています。

 

石柱のレリーフには

インド様式の意匠が施されています。

 

柱の下部には

インドのアーグラ城内の

宮殿のものを模した象嵌模様が見られます。

 

休憩用のソファー

後ろの窓ガラスにも

インドが描かれています。

 

ソファーの後ろの窓ガラスに

ヒマラヤ連峰雪嶺を描いた

ガラス彫刻が施されています。

 

暖炉の上のレリーフは

インドではなくカンボジア風。

 

アンコールトムで見られる

踊り子のレリーフです。

 

暖炉の左手奥に

不思議な小スペースがあります。

 

インドの女神のような像が

取り付けられていますが

何をする場所かは不明です。

 

ガイドツアーに参加すると

個人では入れない庭を

見ることが出来ます。

 

庭自体は

さほど素晴らしいものではありませんが

『聴松閣』の裏側などを見ることができます。

 

庭に面したテラスは

正面のファサードとは

ちょっと異なる趣きです。

 

外観の見学のみですが

『揚輝荘座敷』。

 

現在の松坂屋本館の敷地にありましたが

1919(大正8)年に当地に移築されました。

 

移築前の一時期

女優の川上貞奴が住んでいたこともあるそうです。

 

『揚輝荘』には現在

少しは離れた場所に『北園』があり

3つの建物が現存しています。

 

『北園』については

日を改めてリポートします。

 

揚輝荘南園

愛知県名古屋市千種区法王町2-5-17

052-759-4450

9:30-16:30

月曜日休み

入館料:300円

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、愛知県名古屋市中区です。