スピンオフ編~東京都千代田区九段下・保存された素晴らしい帝冠様式建築『九段会館テラス』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

東京都千代田区九段下の

『九段会館テラス』です。

 

最寄駅は

東京メトロ東西線/半蔵門線

都営地下鉄新宿線の『九段下』。

 

駅から徒歩1分

2022(令和4)年10月にオープンした

複合施設です。

 

国の登録有形文化財である

旧『九段会館』の一部を活用した保存棟と

オフィスフロアの新築棟で構成されています。

 

今回は

保存棟に焦点を当ててご紹介します。

 

旧『九段会館』は

1934(昭和)年3月に

『軍人会館』として竣工し

第二次世界大戦前、戦中を通じて

主として在郷軍人(予備役)の

訓練、宿泊に供されていました。

 

終戦後は

運営主体の『財団法人軍人会館』の解散により

国有資産となった後

連合軍の進駐に伴いGHQに接収され

『アーミーホール』の名の下に

進駐軍宿舎として使用されました。

 

進駐軍撤収に接収解除となった後

国は施設の払い下げを公示しましたが

最終的には戦没者の慰霊事業などを進める

『日本遺族会』に無償貸与されました。

 

同会は

名称を『九段会館』に変更し

宿泊施設、結婚式場、貸しホールなどの

事業を運営するようになります。

 

地下1階、地上4階、塔屋付きで

『帝冠様式』と呼ばれる

1930年代に流行した

和洋折衷の建築様式になっています。

 

『帝冠様式』は

鉄筋コンクリート造りの洋式建築に

和風の屋根を冠したデザインを特徴とし

神奈川県庁や愛知県庁などに見られます。

 

『帝冠様式』建築は

日本が中国東北地方にでっちあげた

傀儡政府『満州国』の首都であった

新京(現在の吉林省長春市)にも多く建設され

現在でもその姿が残っています。

 

こちらは

満州国軍の最高司令部だった軍事部址

現在は吉林大学付属第一医院として

そのまま使われています。

 

旧『九段会館』は

2011(平成23)年に起きた

東日本大震災によりホールの天井が崩落し

死傷者が出たことから同年4月に廃業し

土地と建物は国に返却されました。

 

建物はそのまま残りましたが

2016(平成28)年

財務省関東財務局は土地・建物の処分方針を決定し

翌2017(平成29)年に一般競争入札を実施され

東急不動産が落札しました。

 

東急不動産は

北側の建物の一部を原状保存

南側は解体し17階建てのビル建設とし

2018(平成30)年5月に再開発に着手し

約4年の歳月を掛けて

2022(令和4)年7月に竣工しました。

 

保存棟の正面は

全体は往時のまま保存され

破損の大きかった細部は再制作されています。

 

暗黒の時代に建てられとは思えない

シンプルかつ粋なメダリオン

なんとなく新しいように見えます。

 

鬼神面

3Dスキャンを駆使し

現代の素材で再制作されたものです。

 

スクラッチタイルと灯窓の複雑な装飾

八角形は『八紘一宇』を

象徴しているのでしょうか?

 

スクラッチタイルは

昔のものだと思われます。

 

欧風の意匠の中にも

和風を感じさせるポーチライト。

 

正面玄関は

重厚で威厳あるデザインです。

 

車寄せのシーリングライト

素晴らしいデザインです。

 

年月を感じさせるコーニス

これも素晴らしいです。

 

重厚な扉には

縦に3つのメダリオンが施されています。

 

上下左右シンメトリーのデザイン

軸は剣を表しているようにも見えます。

 

広々とした玄関ホール

シンプルな中に贅を凝らしている感があります。

 

時計自体は古いものではないようですが

枠にそこはかとない風情を感じます。

 

玄関ホールのシーリングライトには

和の要素が取り入れられています。

 

広々とした1階のホール

モダンな雰囲気ですので

再開発時に改装されたものと思われます。

 

1階ホールの

ダイナミックな天井照明。

 

玄関ホールと1階ホールの間を東西に貫く廊下

幾何学的な模様が印象的です。

 

廊下のシーリングライト

床の模様と連動しているようです。

 

階段ホールへの入口。

 

一見すると

豪華さを感じませんが

よく見ると素晴らしいことが分かります。

 

手すりは2種類の大理石。

 

嵌め込み金具はアールデコ調。


こちらのエレベータで5階まで上がります。

 

エレベータを降りると

屋外に広がる屋上庭園

誰でも無料で利用できます。

 

日本武道館を眺めながら

食事やお茶を楽しめます。

 

エレベータホールの方を振り返ると

帝冠様式の和風屋根を

間近に見ることが出来ます。

 

2階の一部と3階及び4階は

貸しホール利用者以外は立入禁止です。

 

『帝冠様式』建築の生い立ちには

旧日本軍の思惑が絡んでいて賛同できませんが

建物自体の素晴らしさには

素直に感動できます。

 

九段会館テラス

東京都千代田区九段南1-6-5

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、東京都墨田区東向島です。