スピンオフ編~東京都港区高輪・妖怪が山門を護る不思議な寺『承教寺』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

東京都港区高輪の

『承教寺』です。

 

最寄駅は

都営地下鉄浅草線『高輪台』。

 

都営地下鉄三田線『白金高輪』駅と

都営地下鉄浅草線『泉岳寺』駅も

ほぼ同距離にありますが

急な坂道になりますので

平坦に行ける『高輪台』駅が便利です。

 

駅から徒歩10分

日蓮宗の寺院で

山号を『長祐山』と言います。

 

『承教寺』を初めて参拝する方は

山門の前に置かれた

狛犬らしきものに驚かれます。

 

寺院に狛犬が置かれている例は

ないわけではありませんが

非常に珍しいとも言えます。

 

驚かれるのはそのことではなく

狛犬の異形さにです。

 

まるで人面犬

歯をむき出しているので

こちらが阿形でしょうか?

 

『狛犬』ではなく

『狛件(こまくだん)』と言います。

 

『件』は

19世紀前半頃から

日本各地で語り継がれている妖怪です。

 

『人+牛』の文字通り

半人半牛の怪物で

牛から生まれ人間の言葉を話しますが

生後数日で死ぬとされています。

 

その間に作物の豊凶、流行病、旱魃、戦争など

重大なことに関して様々な予言をし

それは間違いなく当たるとされていました。

 

『件』は絵姿は

厄除招福の護符になるとの

言い伝えがありますので

この寺の門前に『狛件』が

建立されたのだと思いますが

建立の時期は不明です。

 

『狛件』から

さぞかし怪しげな寺と思いそうですが

かつては『池上本門寺』の末寺で

由緒ある寺院なのです。

 

1299(正安元)年

一乗院日円により開かれ

当初は西久保(現在の虎ノ門)にありましたが

1653(承応2)年に現在地に移転しました。

 

1745(延享2)年の大火に巻き込まれ

本堂は焼失しましたが

山門、仁王門、鐘楼は

類焼を逃れ現存しています。

 

鐘楼はシンプルな意匠ですが

堅牢な組付けが存在感を醸し出しています。

 

梵鐘の龍頭にも

匠の繊細な技が施されています。

 

本堂は

1781(天明元)年に再建されたものです。

 

本堂の屋根には

松を配した台座にのった

大きな宝珠が異彩を放っています。

 

向拝の虹梁には

荘厳な彫刻が施されています。

 

中央には龍

派手さはありませんが

緻密な細工になっています。

 

左右に彫られた動物が

何であるのかは

私の知識では分かりかねますが

素晴らしいものだと思います。

 

木鼻は獏と獅子

なかなか迫力があります。

 

本堂の前の向かって左側には

いくつかの塚や石碑があります。

 

この異様な形の塚は

江戸中期の絵師・英一蝶の墓です。

 

1652(承応元)年に大阪で生まれ

15歳の時に伊勢亀山藩侍医の父に従って江戸に移り

狩野安信に師事し絵を学びます。

 

1698(元禄11)年

『当世百人一首』の図などが

時の将軍・徳川綱吉を風刺したものとして

三宅島に配流となります。

 

12年間在島の後

大赦により江戸に戻りますが

赦免の報せを聞いた時

蝶が花に戯れる様を見て

『一蝶』と号したと言われています。

 

墓碑には

晩年に改めた画号の『北窓翁』と

一般に知られている『一蝶』が刻まれています。

 

墓は元々

塔頭の『顕乗院』にありましたが

廃院になったため改葬されました。

 

本堂前の向かって右側には

『大壇林跡』の石碑があります。

 

明治維新後から1904(明治37)年まで

立正大学の前身である『大壇林』が

『承教寺』に置かれていたことを

祈念する碑です。

 

帰りがけに

仁王門の屋根を見上げると

立派な鬼瓦がありました。

 

アプローチの『狛件』には

驚かれるかもしれませんが

本堂の彫刻などに感銘する古刹です。

 

承教寺

東京都港区高輪2-8-1

 

次回は、本日15時に他人の迷惑を顧みず私の好きな曲をご紹介するMUSIC編。Johnny Hates Jazzの『Shattered Dreams』です。