スピンオフ編~兵庫県芦屋市・フランク・ロイド・ライトと弟子たちの素晴らしい遺産『ヨドコウ迎賓館』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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全国各地のビーフカツを紹介している超変人の超マニアックなブログです。最近は国内、韓国、中国などのB級グルメについても書いています。

ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。

 

今日は

兵庫県芦屋市の『ヨドコウ迎賓館』です。

 

最寄駅は

阪急神戸線『芦屋川』。

 

駅から徒歩10分

通称『ライト坂』の途中にある洋館です。

 

鬱蒼とした樹々に囲まれた邸宅は

帝国ホテルなどの設計で知られる

アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが

灘の造り酒屋『櫻正宗』の八代当主

山邑太左衛門の依頼を受けて

1918(大正7)年に設計したものです。

 

邸宅の前を走る『ライト坂』は

フランク・ロイド・ライトに因んでいます。

 

ライトは1922(大正11)年に帰米し

実際に建築にあたったのは

彼の弟子である遠藤新や南信で

1924(大正13)年に竣工しました。

 

ロイドは

自らこの邸宅の建築に携わりたかったのですが

東京で建築中だった帝国ホテルに

大幅な予算オーバーと工期の遅れが生じたことから

ホテル経営陣と衝突し帰米を余儀なくされ

山邑邸への建築に関与することが出来ませんでした。

 

アプローチはライト独特のもので

道路から敷地に入ったところに

玄関があるという一般的なものとは異なり

この住宅の内部に入る前に

敷地内の導入路をたどって

右手に見えるこの住宅の外観を観賞できるように

最も奥まったところに玄関が設けられています。

 

玄関にある車寄せは

左右対称の厳格なデザインになっていますが

でこぼこのある質感と暖かい色合いの大谷石が

柔らかさと安らぎを醸し出しています。

 


三方が吹き抜けの開口部になっており

天井に凹凸がないため

芦屋や神戸の街並みがすっきりと見通せます。

 

開館は水・土・日と祝日のみで

予約は不要です。

 

1947(昭和22)年に

㈱淀川製鋼所が買い上げ

社長邸として使用されていました。

 

1959(昭和34)年に

米国人に貸し出されましたが

1971(昭和46)年から2年間は

淀川製鋼所の独身寮として使用されていました。

 

1974(昭和49)年に

国の重要文化財指定を受け

1981(昭和56)年から

調査・補修工事が行われ

1989(平成元)年に一般公開されました。

 

鉄筋コンクリート造り4階建て

内部見学は2階から始まります。

 

2階には応接間がありますが

入口は左右を暖炉や柱の大谷石にはさまれ、

幅が約62cmと大変狭くなっています。

 

扉に取り付けられた飾り銅板は

植物の葉をモチーフにしたようで

建物の要所要所に施されています。

 

狭い入口を通って室内に入ると

天井の高い広々とした空間が目の前に広がります。

 

狭い入口は

その次に来る広い空間を強調しており

ライトが好んだ空間構成です。

 

テーブルと椅子はオリジナルではなく

一般公開に際して淀川製鋼所が

ライトのデザインを模して制作したものです。

 

左右に嵌殺しの大きな窓があり
窓の下には作り付けの長椅子が配置され

座りながらゆったりと

周囲の景観を観賞できるようになっています。

 

壁の上にはたくさんの小窓がドアの形で設けられ

明り取りの役割を果たすとともに

独特の雰囲気を醸し出しています。

 

北側には大谷石で作られた大きな暖炉があります。

 

ライトは

『建物自体のどっしりした石積みの奥で

赤々と燃える炎を見つめるのは心安まるものである』

と言っていて暖炉には強い思い入れがあったようです。

 

3階に上がると

2階とは打って変わった雰囲気の

和室があります。

 

3間続きの和室は

ライトの設計図にはありませんでしたが

施主の強い要望により

遠藤新らが改変して実現したものです。

 

欄間には

建物の随所に見られる飾り銅板が施され

純和風の部屋に洋の趣を加えています。

 

床の間を備えた和室もありますが

小さな飾り窓や銅板など

ライトのオリジナルの設計が反映されています。

 

独特のデザインの嵌め殺しの小窓

まるでステインドグラスのようです。

 

3階には和室の他に

洋風の寝室が3室あります。

 

こちらは

最も大きな家族寝室。

 

竣工当時のものを復元した

机と椅子が展示され

実際に座ることもできます。

 

因みに

竣工当時は各部屋に合わせて設計された

多くの家具が置かれていましたが

現在残っているものは一つもありません。

 

4階には食堂と厨房があります。

 

食堂は正方形に近い平面を持ち

暖炉を中心に左右対称の厳格なデザインになっています。

 

天井は

中央部が最も高い四角錘のような形になっています。

 

三角形の小窓がアクセントになっていて

換気と同時に昼は光が射し込み

夜には星空を眺められるという

ロマンチックな空間を作り出しています。

 

食堂の南側のドアから

バルコニーに出ることが出来ます。

 

4階バルコニーの先端には

アーチ付きの階段があり

3階のバルコニーに繋がっています。

 

こちらが3階バルコニー。

 

バルコニーからは

芦屋の町や神戸港が一望できます。


開館日は限られていますが

フランク・ロイド・ライトと弟子たちの

素晴らしい遺産を見ることが出来る

貴重な歴史的建造物です。

 

ヨドコウ迎賓館

兵庫県芦屋市山手町3-10

0797-38-1720

10:00-16:00

水・土・日と祝日のみ開館

入館料500円

 

次回は、本日15時に他人の迷惑を顧みず私の好きな曲をご紹介するMUSIC編。Creamの『White Room』です。