スピンオフ編~東京都文京区本郷・水道と庶民の暮らしの歴史を学べる『東京都水道歴史館』 | Love Beef Cutlet? Eternal Traveler~生涯旅人

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ビーフカツを求め全国各地を彷徨う超変人の超マニアックなブログです。今回はスピンオフ編。ビーフカツやその他の食べ物からは離れ、これまでの国内外の旅などで印象に残っているスポットなどをご紹介します。今日は、東京都文京区本郷の『東京都水道歴史館』です。

 

 

最寄り駅は

東京メトロ丸の内線、都営地下鉄大江戸線

『本郷三丁目』

または

JR中央線/総武線、東京メトロ丸の内線

『お茶の水』。

 

 

いずれの駅からも徒歩8分

『文京区立本郷給水所公苑』に隣接する

東京都の施設です。

 

江戸上水、近代水道、そして現在の水道に至るまで

規模・水質ともに世界有数のレベルにある

東京の水道の歴史や技術を伝える場所として

1995(平成7)年に開館されました。

 

 

展示は

館内1階および2階と

本郷給水所公苑内の屋外展示の3パート。

 

見学は館のお薦めに従い

2階の『江戸上水』から始めます。

 

 

フロアの東側半分では

神田上水や玉川上水などの江戸上水のしくみが

上水井戸や木樋、古文書などの資料で

分かりやすく紹介されています。

 

 

こちらは『木樋(もくひ)』

現在の水道管の前身で

地下に埋め込まれ

上水から引かれた水を

江戸の町に分配していました。

 

千代田区の旧都庁舎跡から

出土したものです。

 

 

地下を通っていた木樋は

川を跨ぐ時には専用の橋となり

『懸樋(かけひ)』と呼ばれていました。

 

 

このほかにも

色々な出土品など

貴重な展示もありますが

それ以上に私が興味をもったのは

西側に設けられた

共同の井戸を中心とする

長屋の再現空間です。

 

 

長屋の中心にある共同の井戸は

『上水井戸』と呼ばれ

表通りの地下に埋められた木樋から

引いてきた水を貯めておく上水の井戸で

竿つるべで水を汲み上げていました。

 

 

共同で利用していたのは

井戸だけではありません。

 

こちらの小屋のようなものは

一体何なのでしょう?

 

 

扉には

『あけはなし たれかけ 無用』

そんな貼り紙があります。

 

どこかで見たような記憶があります

・・・どこだっけな?
 

 

しばらく考えた後に

ふと思い出しました。

 

歌川広重の

『妻恋ごみ坂の景』でした。

 

『あけはなし』は『開け放し』ですが

『たれかけ』とは?

 

画像はネットからお借りしました

 

広重の絵でお察しのとおり

共同便所なのです。

 

『たれかけ』は

『しっぱなし』~『汚しっ放し』

そんな意味です。

 

 

トイレとして見ると

違和感を感じられる方も多いかも・・・。

 

扉の上半分が開いているので

何だこれはと思われるでしょうね。

 

私も長いこと人間やっていますが

近代日本でこのような形の

トイレを見たことはありません。

 

しかし!

1970年代後半頃までのアメリカでは

YMCAやバスターターミナルのトイレには

扉が全くなく

隣のブースとの仕切りも下半分だけで

仲良く話しながら用を足している

そんな光景を見かけたものです。

 

 

トイレの話で引きずってしまい

申し訳ございませんでした。

 

閑話休題

 

トイレの隣にはこんなものが

・・・共同のゴミ箱です。

 

 

アサリやしじみの貝殻が

ざるに捨てられています。

 

味噌汁の具として一般的だったのでしょうか

・・・今では結構な高級食材になっていますが。

 

 

次は1階に移ります。

 

展示場への入口には

村山貯水池にある取水塔が

実物大で再現されています。

 

 

中に入るとすぐ左側には

東京都内で実際に設置されていた

水圧計、消火栓、共用栓が展示されています。

 

 

特に興味深いのはこの共用栓です。

 

水の出口が龍の形をしていますが

何故か『蛇体鉄柱式共用栓』と呼ばれ

水道の『蛇口』の語源になったと言われています。

 

 

『馬水槽』

 

1906(明治39)年に

『ロンドン市牛馬水槽協会』から

東京市に寄贈されたもののレプリカ。

 

市設共用栓として

東京府庁舎前に設置され

1918(大正7)年には

水道局庁舎寄りに移設されましたが

1957(昭和32)年まで給水を行っていました。

 

 

正面には右書きの漢字で

『倫敦水槽協会寄贈』の文字と

東京市(都)のシンボルマークが刻まれています。

 

 

この共用栓の特徴は

人間と動物の共用であることです。

 

中央の大きな水槽は牛馬用

牛馬水槽協会からの寄贈だけあり

一番使い易い場所にあります。

 

 

牛馬用の下には

犬猫用の小さな水槽が・・・。

 

 

人間様用はというと

裏側にひっそりと付けられています。

 

 

本物は現在

新宿駅東口に移設されていますが

通行人の関心を引くこともなく

ひっそりと余生を過ごしています。

 

 

1階展示場には

近代水道の歴史や技術に関する

実物や資料の展示が多数ありますが

長くなりますので割愛します。

 

是非ご覧頂きたいのは

水道と市民生活に関する

3つの小さなジオラマです。

 

 

明治時代

 

東京に近代水道が誕生したのは

1898(明治31)年のこと。

 

自宅まで水道を引けない人達のために

町のあちこちに

鍵で管理する共用栓が設置されました。

 

このジオラマでは

前述した蛇体鉄柱式共用栓から

バケツを持って取水する

お婆さんが再現されています。

 

 

大正時代

 

1923(大正12)年9月1日

関東大震災が発生し

東京の水道施設も広範囲にわたって

未曽有の被害を被りましたが

東京府が全力を挙げて給水回復に努め

同年末にはほぼ平常に戻りました。

 

ジオラマでは

断水時に給水を受ける

町の人々の姿が再現されています。

 

 

昭和時代

 

1960年代半ば(昭和30年代)に入り

東京の人口が急増し

多くの団地が建設されました。

 

団地の部屋には

それまで個人宅では少数だった

風呂や水洗トイレが備え付けられ

人々の生活に大きな変化が起こりました。

 

ジオラマでは

木桶の風呂で入浴を楽しむ

親子の姿が再現されています。

 

余談ですが(・・・最近多い?)

下町の長屋住まいだった私は

結婚してマンションに移り住むまでは

銭湯通いでした。

 

 

見学を終え

アンケートに回答すると

都水道局のマスコットキャラクター

『水滴くん』の携帯ストラップを頂けます

・・・でも今時どこで使う???

 

 

ペットボトル入りの

都水道局のタップウォータも

無料で頂くことができます。

 

 

歴史館の裏手にある

本郷給水所公苑には

神田上水の遺構が屋外展示されています。

 

こちらは『神田上水石樋』

1987(昭和62)年に

神田川分水路の工事中に発掘されたもので

16世紀末に建設された

日本最初の上水道と言われています。

 

 

『神田上水(白堀部分)』

 

神田上水の白堀(上水道を引いた堀)の

護岸に使われていたものの一部で

2011(平成23)年に

旧文京区立第五中学校

(現文京総合福祉センター)で発見されました。

 

左側のものが江戸時代19世紀前半

右側は明治時代以降に

構築されたものと考えられています。

 

 

知名度のあまりない地味な施設ですが

最も重要なライフラインである

水道の歴史などを知ることができる

興味深いところです。

 

東京都水道歴史館

東京都文京区本郷2-7-11

03-5802-9040

9:30-17:00

月曜日および年末年始休館

入館無料

 

次回は、本日15:00にオンストリート編。過去の旅などで脳裡に焼き付いている街角の光景をご紹介します。テーマは、東京都新宿区西新宿です