昨日のインスタライブで聞かれた質問も1つ目が指定難病のことでした。
私も詳しくはWebでと最後はまとめてしまったものの、なかなか厚生労働省のホームページからは見つけづらいですよね...
個人で調べられる情報を簡単にですがまとめてみました。
まず、1型糖尿病は難病なのか?
これは、明確にYESです。
平成27年1月1日から施行されている「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)で、医療費助成の対象となる疾患は「指定難病」と呼ばれるようになっています。
図1:厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会でよく資料として使用される「指定難病の要件について(第26回指定難病検討委員会資料)」1ページのスクリーンショット
そして、法律の中で難病を定義する以下の4つの条件を満たしているので、1型糖尿病は難病の1つです。
1)発病の機構が明らかでなく
2)治療方法が確立していない
3)希少な疾患であって
4)長期の療養を必要とするもの
より法律の詳細や歴史的な背景も知りたい方は、ぜひ下記の難病情報センターの記事にも目を通してください。
指定難病とは?
まず、指定難病については厚生労働省でもページが作成されており、病名の一覧なども公開されています。
本日2022年1月6日時点で338疾患あることも知っておきたいところです。
そして、難病の中でも医療費助成の対象となる疾患「指定難病」となるには、難病情報センターのページでも紹介されているように、下記で示す赤字の2条件を更に満たす必要があります。
この法律の中では、難病は、1)発病の機構が明らかでなく、2)治療方法が確立していない、3)希少な疾患であって、4)長期の療養を必要とするもの、という4つの条件を必要としていますが、指定難病にはさらに、5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと、6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること、という2条件が加わっています
よく「1型糖尿病は難病指定されないのか?」とご質問いただきますが、1型糖尿病は難病ではあるものの、上記で示した条件を満たせていないので未だ「指定難病」には追加されていないというのが現状です。
1型糖尿病の指定難病への追加に向けた動き
最後に、私が所属する認定NPO法人日本IDDMネットワークでも毎年要望書は提出し、関係省庁の方や日本糖尿病学会の方とのオンライン面談などを行っていますが、知っておきたい厚生労働科学研究補助金を使用した研究結果や指定難病検討委員会での動きについて紹介します。
まず、平成28年から厚生労働科学研究補助金を使用して下記の研究が行われ、その成果としてリーフレット「インスリン分泌が枯渇した 1 型糖尿病」とはが作成されています。
▼【研究課題データ】1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究 | 日本の研究.com
https://research-er.jp/projects/view/998461
▼リーフレット「インスリン分泌が枯渇した 1 型糖尿病」とは
平成 29 年度 厚生労働科学研究補助金 1 型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評 価の作成に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2017/172031/201709008A_upload/201709008A0023.pdf
これにより、日本の「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」の患者数は約10万人~14万人(有病率で表すと0.09%~0.11%)であること、そして重症度分類を考慮したその確実な診断基準として、空腹時のCペプチドの値が0.1ng/ml以下であることが示されました。
これらの結果を受けて、平成30年12月の厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第27回)
において、「研究班や関係学会から情報提供のあった疾病(疾患群別一覧)」の中に1型糖尿病がリストアップされています。
その後議論され、平成31年3月の厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第32回)において、
「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病
※当該要件について、提出資料から十分な情報が得られないために該当性の判断ができないものを含む
参考:資料2-3 本委員会として指定難病の要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病一覧(案)(PDF:123KB)
として、1型糖尿病は指定難病に追加されていません。
最後に
1型糖尿病は難病ではあるものの、未だ「指定難病」には追加されていないことについて、個人で調べられる範囲の情報をまとめました。
最近は、各都道府県の議員さんなどとお話ししたいので情報をくださいとよく言われるようになりましたが、インターネット上で閲覧できる上記の情報は押さえた上でお話に臨んでいただければと思います。
堅い話になりましたが、ご参考になれば嬉しいです。
はじめましての方は自己紹介もぜひ!
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