「は?どういうこと?」


「時々でいいからさ。


会おうよ。セフレとして。」




のり子さんが私と彼の事を心配しているかもしれないと


思った瞬間に出た言葉だ。




「いいよ。」



はぁ~


この男、本当にバカだ。


私に嘘をついてまで付き合おうとしたのり子さんがいても


平気でセフレ契約ができるなんて。


こんな男に振り回されていた私も大バカだ。




しかし、今度は私は全て知っている。


全て知った上で付き合う。


のり子さんに恨みはないが、なぜか小気味よい。




「じゃあ、今度のり子さんに会う前日に会いましょう。」







「これ」


「うん。ありがとう」


あの日とは龍二の表情も違う。


私と付き合っていた頃の龍二のままだった。


私達は以前のように話をした。


他愛もない話だったが、


あの頃に戻れたような錯覚をおこしてしまいそうだった。


まるでのり子さんの存在がなかったかのような・・・・


どれくらい話をしていただろう。


不意に私の携帯にメールが入った。



[無事返してもらえましたか?]



のり子さんからのメールだった。



「ちょっと。のり子さんからメール来たよ。


今日私と会ってるの知ってるんでしょ?


龍二にメール来てんじゃない?」


「え?ああ。」



龍二が携帯を確認した。



「来てたわ。気付かなかった。」


「私と会って何かしてんじゃないかって


心配してんじゃないの?


メール返しときなよ。」


「わかった」



その時、私の中の悪魔が顔を出した。



「ねえ。私達こうして時々会わない?


のり子さんには内緒にしておいてあげるから。」





あの日から2日経った。


龍二からメールが来た。



「借りていたものを用意したので返したい。」


「わかった。じゃ明日会いましょう。」






次の日私達は、以前ふたりでよく行った場所で待ち合わせた。


二人の懐かしい場所で、


今は他人になってしまった龍二と再会するのは複雑な気分だ。


あの頃に戻れるなら戻りたい。


龍二を憎んでいるけど、あの当時の龍二に戻ってくれるなら


やり直したいと心底思っている。


でも、今の龍二の心にあるのはのり子さんだけだ。


人の心は他人にはどうしようもないと


私が一番知っている。





待ち合わせ場所に着くと


龍二が私の車に乗ってきた。