2020年を振り返って | 岩下智子「笛吹女の徒然日記」Tomoko Iwashita

岩下智子「笛吹女の徒然日記」Tomoko Iwashita

フルート奏者 岩下智子が綴る気ままな日記です。

【2020年を振り返って】

こんにちは!フルーティストの岩下智子です。お変わりありませんか?


新型コロナとの闘い

今年は出演するはずだった演奏会が、新型コロナウィルスの影響で次々と中止になり、人とアンサンブルをすることも叶わず、そして、勤務する大学の学生たちの精神的なフォローをしつつ、感染防止対策をしながらの対面レッスンを新学期から年末まで続けました。その間、フルートのコンクールの審査や地方出張もありました。例年になく、2020年は気持ちも身体も疲労困憊した年でした。


無伴奏フルートリサイタル開催

私自身の演奏会はというと、2つのコンサートをやりました。ひとつは、東京の感染者数が少し落ち着いた10月末に「無伴奏フルートリサイタル」を悩みに悩んだ挙句、開催しました。開催にあたり、多くの方のサポートがあり、感謝の言葉しかありません。当日を迎えるまでの葛藤は言葉にできないほど大きなものでしたが、今できること、独奏という「自分ひとりの演奏」をやり切った感はあります。もう一つは、向山庭園コンサートですが、こちらも感染防止対策を施し、屋外ステージで開催。ご来場いただいた多くの皆様には心からお礼を申し上げます。


聴きにいくはずだったコンサートに関しては、いつもだったら、シーズンチケットを購入して、足繁く観に行ってたオペラなど、今年は一切断念しましたし、来日する予定だったフルーティストたちや日本人のフルートのコンサートも、残念ながら聴けませんでした。こんな年があるんだなぁと、これを書きながら驚いています。


音楽は不要不急なのか?

音楽界に身を置くものとして、このコロナ禍に何度も考えたことは、音楽は、パンデミックの中、一体人間にとってどういう役割のものなんだろうか? 音楽は不要不急なものなのか? 人間の生活に必要のないものなのだろうか? と。大上段に構えることなく言わせていただくとしたら、あたかも第一次世界大戦下のヨーロッパの音楽家たちのごとく、必死に音楽を愛する聴衆へ伝えたい、でもどうやったら叶うのだろうかと悩みました。芸術を不要不急のものにしてはいけない、音楽が人々の心の拠り所として存在続けるように音楽家たちは必死に考え、動いていたのです。秋頃からオーケストラなどの演奏会も感染拡大防止対策のもと、回数が増えてき、首を長くして待っていた聴衆とともに喜びを共有しています。ベートーヴェンの第九も高らかに鳴り響き、今年を締めくくっています。


教え子や家族の成長

その他いったいこの一年は何をやったのだろう?何か楽しかったこと、嬉しかったことはあったのだろうかと思い起こしてみますと、ありました!たくさんありました!

勤務先の大学の門下生が増え、その学生たちがそれぞれが非常にがんばって成長していることが一番うれしかったことです。教育は止めることはできないと痛感しています。

プライベートでは、娘のオーケストラ入団が2020年明けてすぐの1月に決まり、夏には、大学院在学中の息子が就職内定をいただき、安堵致しました。そして秋には、夫がおかげさまで還暦を迎え、と家族の慶事を粛々と祝った一年でもありました。本当にありがたいことです。これらは全て皆が健康であってのことで、それに代わるものは何もありません。


来年に向けて

2020年も残すところ10日あまり。まだ年末まで仕事はありますが、このまま健康で無事に時が過ぎ、新年を穏やかに迎えることができたらと願っています。来年もまだ当分の間、コロナに振り回されるのでしょうが、人生は楽しく生きていきたいので、前向きに進んでいくしかありませんね。まずは、3月28日には「バロック音楽の愉しみ」コンサート(東京オペラシティ内 近江楽堂)を開催する予定ですし、YouTubeチャンネル
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で演奏の動画配信も増やしていきたいですし、メルマガなどの執筆活動も続けていきたいと考えています。また大学では、大学院生を含め、引き続き、若い音楽家の育成に力を入れていきます。


読者の皆さまには、1年間このブログをご覧いただきまして、ありがとうございました。

少し早めですが、素敵なクリスマスと穏やかな新年をお迎えになりますよう、祈念致します。


フルーティスト

岩下智子