死ぬよりも怖いこと

こんばんは

カウンセラーの平です。

日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。

私たちはときとして、いちばん好きなものや、いちばん欲しいものを“嫌いなもの”にすることがあります。

いちばん好きなものを“嫌いなもの”に？

そう、たとえば、彼氏との別れのとき。

つきあったということは、少なくともその時点では、その彼が世界中の男性の中でいちばん好きな人だったわけですよね。

そして、別れるときは、大なり小なり口げんかなどが起こります。

「あんたなんか、男のクズ！　女の敵！」

大好きだった人と別れなければならない、大好きだった彼を手放さねばならないさけですから、みなさん、嫌う努力をなさるわけです。

嫌う努力？？

そう、そのぐらい嫌いにならないと、大好きだった彼を手放すことはできないわけです。

ですから、そりゃあもう、嫌いますよ、そりゃあもう、拒絶しますよ、そりゃあもう、呪いますよ。みなさんも、心あたりがあるのではないでしょうか？

こんな経験を何度かすると、そのうち、こんなふうに思う人も出てきます。

「男性とつきあったところで、どうせ、うまくいかないんだろう。また傷つくぐらいなら、ハナから男はいいや。恋なんかしなければいいんだ」

そう、好きなものを嫌いなものにするのは、自分が傷つかないための防衛なのですね。

なかには、別れたときに傷つかないようにと、あまり魅力的でない男性とばかりつきあっているような女性のみなさんもたくさんいらっしゃいます。

男性の場合も初恋でひどく傷ついたような経験があると、「惚れるから傷つくんだ。惚れさせればいいんじゃないか？」と、自分からは好きにならないような相手とばかり恋をするという人がいます。

そして、自分の恋心をコントロールしやすいようにと女性を粗末に扱ったり、優しくない態度で接したりするので、双方ともがうまくいくような恋愛にはなりにくいわけです。

ちなみに、偉そうな態度の男性にはこのパターンをもっていることが多いようです。

さて、かつて、私がカウンセリングをしたある女性は、おつきあいがはじまり、彼のことがどんどん好きになってくると怖くなり、彼にしょっちゅうケンカをふっかけていました。

彼としては理不尽なことで、文句を言われたり、怒られたりするわけです。で、言い返したり、ケンカをしたりということになりがちなので、当然のことながら、彼女と合う時間がだんだん減ったり、連絡をすることが少なくなったりしていくんですね。

そうすると、彼女は自分が嫌われることにより、もっと好きになりそうだった彼と距離をおくことができるわけです。

そんなことを繰り返しているうちに、彼女はおつきあいをすることも億劫になり、恋愛にも興味を失っていきました。

が、あるとき、そんな彼女にちょっと気になる人が出てきたのです。

二人で食事なんかをするようになり、久々にときめいてしまい、「これはヤバイ！」と感じた彼女、いつものように彼に難クセをつけはじめたんですね。

いつもなら、そこでケンカになるのですが、なぜか、今度の彼はムキになることがありません。

「きみの中には、いろいろなきみがいるんだね。ますます興味が湧いてきたよ」

嫌われるという彼女の“期待”を裏切り、ニコニコと笑いながらこんな対応をされ、彼女はわけがわからず、「もう、パニック！　でも、好き‥‥！」という状況になり、カウンセリングに駆け込んできたというわけです。

私は彼女にとてもシンプルな質問をしました。

「あなたは、彼とケンカしたいの？　それとも、なかよくしたいの？」

彼女はちょっとひねくれたかんじで、「こんな私となかよくできるはずがないです。いままでにつきあった人たちともぜんぶダメだったんですから」と答えました。

そこで、私はこんな提案をしました。

「そのことを、彼にぜんぶ伝えてみたらどうだろう？　きみはいつも“どうせ私なんか‥‥”という考え方を使って、二人の恋愛を一人で壊してきたもんね。そんなきみの怖れや不安、疑いのぜんぶを彼に伝えたとしたら、彼はきみを嫌い、拒絶するだろうか？　“ますますきみに興味をもったよ”と言われたらどうするの？」

こう言った瞬間、彼女の顔は真っ赤になりました。その顔には、「そんなこと言われたら、本気で惚れてまうだろー−」と書いてあったわけです。

で、これを機に、彼女は嫌う努力をするのではなく、なかよくすることを意識するようになったのです。

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