- 禁猟区 (新潮文庫)/乃南 アサ
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『禁猟区』 乃南アサ
ホストにいれあげている中年女、若山直子の資金源は、ホストクラブで借金がかさみ、身動きのとれなくなった少女たちだった。
経営者を脅して得た顧客情報から、未成年者の親に当たり、「解決してやる」とカネを要求する。
直子の職業は、警察官だった。
犯罪に手を染めた警察官を捜査する組織、警視庁警務部人事1課監察係。
女性の監察官沼尻いくみの活躍を描く傑作警察小説4編。
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危篤の父の付き添いのため、長い時間を過ごさねばならない状況下で
病院内のコンビニで見つけたのがこの本だった。
まあ、そんなときに読みたい本といえば、
穏やかで読後感がよく、ほんのりと和むようなものがよろしい。
しかし、病院内のコンビニには、そのような物がない。
なぜだ??・・・まあ、仕入れする人が
そんなところまで、気を使っていないという事か?
読みやすく、良い本を置いていたら
評判になると思うのだけれどな~~。
まあ、そんなことはさておいて、この本である。
なにやら、物々しいタイトルだ。
しかし、裏表紙のあらすじを読んでみると、それほど 物騒な話でもなさそうだ。
コンビニの本棚にならんでいた、他の○○殺人事件だの、△△事件簿だのより
ずっと和めそうだ。
事件を起こす登場人物が、どれもこれも 普通の人で
(特別、悪人として描かれてはいないという意味)
「これくらい、大丈夫じゃないか?」
という程度の認識で
違反を犯し、処分されることとなる警察関係者の話である。
それなりに、一所懸命生きていると思われる人々が登場人物・・・という感じだ。
どの話も、金が絡んでくる。
金が絡んでいるから、つまり登場人物の行為が犯罪であり
処分対象になるのだ。
人間が作り出したシステムである「金」というものが介在しているから
犯罪を作る。
なんだか、微妙な感じだ。
登場人物に対して「アホだな~」という感想を、どの話にも持つ。
しかし、この「アホだな~」という感覚を私は、いったい いつ身につけたのだろうか。
私だけではなく、世の中一般の人達は、どうやって身につけていったのだろうか。
お金とは、そもそも 社会においての「共通の価値観」を作り上げるために
発明されたシステムだ。
「アホだな~」と思う感覚も、これまた 恐らく作られた「共通認識」である。
作られた「共通」という意識の、ほんのちょっとした差異が
非常識だの犯罪だのを浮き上らせる。
同じ価値観だとか、価値観の違いだとか言ったところで
大きくみると、大した違いは無いんじゃあないだろうか?
平凡に生きられていれば、の話だが。