さ~どうなる、この仕事 | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

楽しかったお昼休みも時間になり、小百合はユイたちとはここでまた明日と手を振り別れた。そして午後の講義の時間までテラス席で一人の時間を楽しむ。ゆいにLINEの返事を❤と思いスマホを開けるとゆいから入っていた。

『ゆっくりする間もなく、今から後半戦。行ってきます』

「ホントに食事だけの昼休みだったんだ。んじゃ送っても意味ないかも」

そんなこと思いながら、ゆいにせっせと返事を送っていた。

 

スタジオでは、撮影の後半戦がスタート。衣装は事前に用意していた物。

「後半戦は、私からはポージングの指示はしないので、自由に決めてください。さっちゃん、ブロワーお願いします」

少し緩めの風を当てながら、一枚一枚収めていく。

「う~ん。表情がね、みんな同じなのよ。メリハリがないっていうかさ。

楽しい顔、驚いた顔、誰かを思う顔、いろいろあるでしょ?それともノレない理由とかあるのかな?体調がすぐれないとか。そうじゃなかったら何かもうちょっと引き出したい。海に行った時は楽しそうだったじゃん」

自分からポージングの指示はしないと言っておきながらダメだしを食らった卓人は納得が出来ない様子。ゆいは撮影を中断して卓人と話し合う。

 

一人休憩はあっという間。小百合は次の講義室へ。木曜の午後一の授業は柳本浩介のヨーロッパ史Ⅱ。

この授業に出ると、必ず一度は思い出す『キス事件』

たまたま集まりで行ったダイニングバーのトイレで見掛けた、たーちゃんの元カレと柳本が隠れてキスをしていた現場。

この頃、柳本の噂も下火になりゲイだと囃し立てる人も、いなくはないがだからと言ってヒソヒソと声を出す人はいない。それは多分授業が面白いから。

『あれからどうなったんだろう。今も付き合ってるのかな。でもキスしてたからって付き合ってるとは限らないし』

そんなこと、誰にどう確かめるのか。野次馬根性で気になる小百合だが当時目撃したあの状況は強烈で、あまりの濃厚さに思い出しては気持ち悪さを感じる。

好き合ってる者同士、するなとは言わない。ゆいと小百合だって・・・。

でもさすがに誰もが行き来するトイレではしない。みんなが見てる前での不可抗力は2度あったが、どっちも軽く触れる程度。ホントに欲しかったら家でやれよって話で、小百合はこの人の講義を受けている間は離れられないだろうと思いながらボードの解説を書いていた。

気付けばノートはぐちゃぐちゃに。そして来週はテストだと言い、なぜか無言でボードに書いてあるところに大きく〇を書いた。

小百合はもしかしたらと、柳本が消す前にタブレットで写真を撮った。小百合の勘が当たれば今日の授業から問題が出るはず。

『来週かぁ。暗記は得意だけど、益々課題は早く仕上げないと』

 

スタジオでは、やる気のない卓人にゆいは今もその真意を解いていた。

ゆいとしては初の写真集だからこそ良いものにしたい。そのためには意見を出し合いスタッフ一丸となって作り上げたい。そう言ったはずだった。

すると卓人は思わず口走り、スタッフ関係者全員の注目を浴びる。

「葉山さんじゃなくて神崎さんに撮って欲しかったから。でも無理だったから我慢っていうか・・・」

それはゆいと小百合が思っていたことと全く同じで、卓人の本心を知った出版社の関係者は驚きマネージャーを呼ぶと、どういうことなのかと問い詰めた。

マネージャーはオロオロし、そばで見ていた先生は『しょうがないわね』と言い、二人の間に割って入った。