頑張れないけど頑張る | トランジットガールズ Another Story ♬novel♬

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ドラマ トランジットガールズの未来の物語。

変わらないよ・・・。
私はずっと変わらない。

嫌なことは重なるもので、提出期限1ヶ月の課題が出た。余裕だと思ったが翻訳プラスハングルを手書きと言われ、小百合は一瞬にして無理だと諦めてしまう。今日から夜のバイトへ行かなければならない。課題の絵本も調達しないといけないのに。

授業が終わった後、少しの時間をユイと菜々と3人で軽い愚痴を言い合った。

第一声が『どうする?』だった。小百合にいたっては絵本が買いに行けないと嘆く。ユイはこれから買いに、菜々はスタジオのバイトが終わり次第、駅の本屋へ行くと言った。

「小百合ちゃん、どの絵本にするか決めた?」

「知ってるのが1冊しかないからそれでいいかなって」

小百合はタイトルを教えると在庫があればついでにユイが買ってきてくれると言った。

さすがに小百合は断りたいがいつ買いに行けるか分からないのだから、この際お願いするしかない。もしなければ菜々が探してくれるという有難い言葉をくれた。

「孝之の代わりにバイト入ってくれるんだもん。遠慮しないでよ。なければ予約も出来るし」

「ありがとう!でも帰りが遅くなるほどに探さないで。無かったら他に決めるから」

「うん。じゃ~今から行ってくる。結果は追って連絡します」

ユイと菜々を見送り、小百合はバスに乗った。

2週に渡ってテストあり、やっと気が抜けたと思った矢先、韓国語の翻訳。

受講始めてから半年。やっと解り始めてきたころだが、翻訳となるとそれこそ語彙力が試される。ゆいが言うようにたくさんの本を読んで・・・。

「やっぱ勉強なんだよなぁ。バイトと勉強どっちもなんて無理だよ。みんなどうしてんだろう」

これくらいのことで弱気になっては、圭吾に『それ見たことか』と思われてしまう。二人の生活を許したのだから、小百合が大変な思いをしても圭吾はもう解消させるつもりはない。小百合も分かってはいるが、なんだか弱音を吐いたら負けた気がして顔に出てしまう事だけはしないよう、バスを降りては少し気合いを入れて歩き出した。

 

小百合が店への階段を上がっている頃、ゆいは電話中。輪湖早苗のエッセイ本の進捗状況の話をし、明日予定通りロケに入る確認をした。

あいかわらず『こしあん』『つぶあん』『あずき』は元気だそうで、元気過ぎて撮影が上手くいくか心配だと言われた。

「楽しい撮影になること間違いないです♪私もみんなに会えること楽しみです。ワンちゃんたちの負担にならないよう、なるべく早く終わらせようと思いますので」

ゆいの気遣いが嬉しかったのか、今からでも撮影OKとでも言いたそうに明日の撮影を喜んでいた。

 

小百合と別れた後もユイと話していた菜々がプレートが可愛いといいながら事務室に入ってきた。

「おはようございます!ドアのプレート替えたんですね。スタッフルームに。お手製っぽいんですけど。可愛いじゃないですか♪」

「それ、先生に言ってくれる?きっと時給上がるかも」

「マジ?嬉しいけど、今日ちょっと課題が入ってテンション駄々下がりなんです」

ゆいは、菜々から韓国語の課題の話と絵本を買いに行けない小百合の代わりにユイが小百合の本も見に行くことを聞いた。今回は期間が長い分ゆっくりと進められるがそれくらいに時間が掛かるという。

大変だとは思うがそれが学生の性分。バイトのことはもう決めたこと。しょうがない。ここは課題に集中できるようにと、ゆいは仕事のことよりも小百合のことを考える。

日曜日は気になったアパートを見に行く日。小百合のために課題に時間を使って欲しいがもう先延ばしに出来ない。ここは午前中だけ時間をもらい、行くだけ行ってみようと、夜、小百合に話してみることにした。

「後は8日の撮影。小百合には来てもらうつもりだったけど。これも相談しなきゃ」

そんな小百合は出る気満々だった。