「それでもウラニウムとプルトニウムを輸入する日本」-ル・モンド紙  | 福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳

双方とも原発大国でありながら、福島の原発事故に対して日本メディアと論調が違うフランスメディア。その中から毎日いくつか記事をピックアップして、日本語での要約を掲載。

今回の記事はこのような状況下でも一度は延期されたはずの日本へのMOX燃料(ウラニウムとプルトニウム配合の核燃料)の輸出を、AREVA(仏独原子力産業複合企業)が実行しようとしていることを取り上げたものです。

LE MONDE
3月25日付

Les écologistes s'opposent à l'envoi de MOX par Areva au Japon
http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/03/25/les-ecologistes-s-opposent-a-l-envoi-de-mox-par-areva-au-japon_1498589_1492975.html



福島原発に関するフランスメディアの記事の要約、日本語訳



<要約>
日本にて地震が発生する前、AREVA(仏独原子力産業複合企業)が、契約に基づき日本へのMOX燃料(ウラニウムとプラトニウム配合の核燃料)の輸送を予定していた。

・しかし状況を重く見て、3月15日にはAREVAのスポークスマンが「日本を襲った地震を考慮し、日本への輸送を延期する
」と発表していた。

・ところが環境保護団体グリーンピースが、3月24日に以下の非難声明を表明した。「先週のAREVAの発表とは異なって、4月の二週目に日本へのMOX燃料の輸送が計画されている。このMOX燃料は核燃料の中でももっとも危険なもので、福島第一原発の3号機で現時点でも猛威を振りまいているというのにである。」

・それに対してAREVAのChristophe Neugnot広報部長は、「
我々が15日に話した通りだ。予定されていた日本への輸出を、日本側のパートナーと話し合い、一度延期した。」とだけ早急に答え、延期した日程などの詳細を明かさなかった。

・それを受けてAFP通信は「グリーンピース側の声明を否定するのか」との質問をAREVAに行ったが、AREVA側は回答を拒否した。

・グリーンピースはAFP通信に対して、4月の2週目にMOX燃料の輸出が決行されるのは「100%だ」と述べた。

・同団体のYannick Rousselet氏は「この件において、フランス政府とAREVAは完全に無責任である。福島で一番問題となっているのは、MOX燃料を扱う第3号機であるのだ。その原因は沸点が低いのと、放出される放射性物質の量が普通の核燃料よりはるかに多いことにある」とし、AREVA側の対応を問題視している。

・緑の党(フランスの政党)も25日に、フランス政府に対して燃料の輸出を停止するように求めた。同党のスポークスマンは、「今回の騒動は、地震と津波による莫大な被害に傷つきそして苦しんで、また連日続く放射能の流失、およびその影響に怯え、恐怖を感じ続けている日本国民に対して、あまりにも無礼だ」と強いメッセージを発した。

・AREVAによると世界中に440ある原発の中で、通常の核燃料より危険度が高いMOX燃料を利用する原発は約40箇所、日本の場合は55の原発の内4箇所である。その4つに福島第一の3号機が含まれる。


以上です。
また後(日本の夜頃)で本日26日付のフランスASN・国家原子力安全委員会の声明や、他に面白そうな記事の要約をアップしたいと思います。