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★「煉精化気」とは
精を煉じて気と化す。
ここで述べていることも、他の流派とは全く異なる考え方であることを前提として踏まえておいてほしい。
内丹術では、意識操作を伴わない自然な状態において経絡を流れている波動のことを「精」と呼び、意識操作する波動のことを「気」と呼ぶ。例えば、他人の肉体の経絡の状態を観察したときには「この人の任脈は精の流れが滞っているね」とか、自分で内気功をしているときには「私は督脈に気を流すことが苦手だ」というように表現を分けて使う方が正しい。これは、内丹術の成立期において、波動を意識操作しない段階(精)と、波動を意識操作する段階(気)をはっきりと区別させたいという意図があったために発生した言葉の使い方なのだ。「精」という表現にこだわる必要はなく、「精」と「気」を区別しないで「気」と呼んでも差支えない。理解しておいてほしいことは、 小周天や大周天を 他者への治臓術(やセルフ治臓術)で実現することが「精」の次元であり、内丹術では「気」の次元なのである。
築基において主な経絡の気血の流れを悪くする要因を軽減し、精の流れが日常的に良い段階にきたら、煉精化気の訓練を行う。最短でも築基を3ヶ月は継続したあとに煉精化気を始めるくらいがいいだろう。築基をやめて、煉精化気だけを行うという訳ではない。日常的にもしっかりと築基に取り組みながら、煉精化気の訓練を追加するということである。築基において柔軟性や体調の変化をしっかりと体感して、その維持を確かにできるようになってから煉精化気の訓練に取り組むことが理想である。
煉精化気の段階では、小周天を意識的に回転させる。
築基において、督脈と任脈に精が滞りなく流れるようになったとしても、小周天ができている訳ではない。生まれたての赤ちゃんのほとんどが、督脈と任脈の滞りなく精が流れている。しかし、督脈と任脈の境目が閉じているので、小周天の流れは存在しない。自他への治臓術でこの境目を開通させることもできるし、自分の意識(と呼吸)の力で開通させることもできる。内丹術では督脈と任脈の境目を自分の意識(と呼吸)の力で開通させ、小周天が回転る流れをより強く速くしていく。
小周天を強く速く回転させることができるようになると、築基において精の流れが良くなっているその他の経絡に対して、さらに精の流れを強化しようとする働きが自然に発生する。この波動を「小薬」という(現代人のストレスは並大抵ではないので、小周天が巡りだしても他に全く波及しない場合もある)。
煉精化気によって小周天が開通し、小薬が日常的に体内に発生するようになると、次のような効果を肉体へもたらすことが期待される。
・小腸、性器に関する回復力が上がる
・身体前面の深層筋の血流がよくなる
・小周天を精が巡る流れが崩れにくくなる
・免疫力の向上
★「煉精化気」の訓練方法
煉精化気の訓練方法は3つしかない。
督脈と任脈を開通させた後で発生する小周天の自然な回転方向は人それぞれ異なっている。男は前回り(背中側を上がってきて体の前面を降りていく)で、女は後ろ回りという流派があるようだが、当方の意見としては正解とは言えない。男性でも小周天が後ろ回りの人がいるし、女性でも前回りの人がいる。
自分の小周天がどちら向きなのかは、「煉精化気24」において自分でつかんでもらいたい。訓練の段階としては1日に1度、「煉精化気22」と「煉精化気23」で示した程度のわずかな回数で、小周天を意識の力で前にも後ろにも回すとよい。これによって、自然な流れが強化されるのである。
一方、本来の自分の肉体がもっている小周天の方向を弁えずに、場合によっては一様に逆向きにして訓練し続けている気功の流派や実践者が数多く存在している。この場合、性的な魅力が低下してしまうといった副作用が懸念される。読者の皆様においては、煉精化気の訓練によって、自分の小周天の方向を自然に体得していってもらいたい。
〇煉精化気22
立つ、または座る。呼吸とともに、督脈と任脈の流れを後ろから前へ3回転させる。
〇煉精化気23
立つ、または座る。呼吸とともに、督脈と任脈の流れを前から後ろへ3回転させる。
〇煉精化気24
立つ、または座る。吸うことも吐くこともやめて、己の小周天にただ任せる。9回転程度。
アドバイスとしては「煉精化気22」「煉精化気23」において、回しやすいと感じる方向が自分本来の小周天の向きである。督脈と任脈のどこかに滞りがある人は論外である。回し難いけど、3回転させた直後に勢いよく自然に逆流が始まったとしたら、逆流した方向が自分本来の小周天の向きである。
「煉精化気24」によって体が左右にブレたり左右に回転したりするといった場合は、督脈か任脈の精の流れが悪いという場合かもしれない。
地球の引力に抗して真っ直ぐに立つか、背筋を伸ばして座ってから「煉精化気」の訓練をすること。体内の変化がよく分かり、小周天を自在に回転させられるようになってから、寝転んでやってみてもいい。寝ているときと座っているときでは、自然に精が流れている小周天の向きが変わるので、充分に訓練が進むまでは、立つか座るかして行うことのみをおススメする。治臓術で精を流すときも、無理やり方向を決めて流そうとするのではなく、受け手の肉体に聞いてみることが大切である。
以上、「煉精化気」の3つの訓練方法としては、詳しく説明せずに要点のみを記述しておいた。この要点のみを元に訓練ができない人は、前提となるスキルが欠けているのだろう。前の段階に戻るか、他の記事を参考にして内気功の練習を深めるか、直接指導を受けに来るしかない。