小説を読んだ感想です。
藤沢周「世阿弥最後の花」
先日、生まれて初めて観た能は強烈なインパクトを残しました。半月以上ずっと頭から離れません!
観能直後に世阿弥の「風姿花伝」を読み、能を創った世阿弥という人に強い興味を持ちました。
世阿弥は波乱の生涯を送った人です。足利幕府3代将軍の義満に寵愛されましたが、6代将軍の義教に疎まれて72歳の時に佐渡へ流されます。
この小説は、世阿弥の佐渡での流刑生活を描いたお話です。老いた稀代の能楽師が佐渡でどう生きるのか…?
多分、能に興味のない人には刺さらない小説ではないかと思います。が、能に感動したばかりの自分には滅茶苦茶刺さりました!
まずは演能シーンの描写が凄い! 先日自分が感じた何とも伝えにくい感情を見事な文章で表現しています。さすが芥川賞作家ですな。
次に「風姿花伝」からの引用文が腹に落ちる! 古典をそのまま読むと結構モヤモヤしますが、小説の中に上手く引用されていてスッキリしました。
そして何より良かったのは、老後を上手く生きるためのヒントが沢山詰まっていたこと!
小説の中で描かれる流刑生活は悲惨なものではありません。今で言うなら「やむを得ず老後に地方移住することになってしまった…」くらいの感じではないでしょうか。(きっと実際の流刑は過酷だったのでしょうが…)
世阿弥は、周囲の人々と良好な関係を築き、都とは違った能の新境地を切り開いていきます。ある意味理想的な老後移住生活ですな。
このように老後に「花を咲かせる」ためには、きっと風姿花伝に書かれているような心の持ちようが必要なのでしょう。
自分も老後は「少な少な」を心がけ、謙虚に生きていきたいものだと思いました。

