色んな考えが頭をよぎる中、ようやく絞り出したのはそんな言葉だった。
私の言葉にAさんはにやりとした笑顔は崩さずに応える。
「いやね、この前お昼休みに、他の支援員と「家の近くの○○ってスーパー安いよ」なんて話をしているのをこっそり聞いていたんですよ。別の日に、家の近くにミニストップがあって便利とも言っていたので、そこから総合して考えました」
Aさんの笑顔は先ほどよりも濃くなっていた。こっそりと聞いた情報で自分なりに推理したことを褒めて欲しい、その推理があっているか知りたい、そんな顔だった。
私はとりあえず「住んでいる場所は内緒です」と答える。
そして「本人から直接、聞いていないのに人の住んでいる場所について聞くのは止めようね、ドキッとしちゃうから」と伝える。
私から褒められると思っていた、Aさんの顔が曇る。
「……はい」
絞り出した声でAさんは答えた。
少しかわいそうにも思えるが、職場でこれをやったら気味悪がられるのだから仕方ない。
悲しげな表情のまま踵を返し去っていくAさん。去り際は彼はこちらを見ずに小声でこう漏らした。
「ちなみに僕、支援員のA女史の携帯の番号知ってます。なんかゴミ捨ての時にA女史の名前と番号が書いてあるクシャクシャの紙を見つけたもので・・・・・・」
そういうと彼はポケットからクシャクシャに丸まったポストイットを取り出した。
私はまた背筋が凍っていくのを感じた。
「よし、じゃあその番号A女史に知られる前に処分しましょうね。そして、それもやったらいけないことです。捨ててあるゴミをあさるのはマナー違反です。てか、もう色々違反です」
何気ない日が何気なく終わらない場所、就労移行。
つい一秒前まで日常にいたのに一瞬でサスペンスやホラー、あるいはコメディーの世界に足を踏み込んでいることがある。
ちなみに今回の件は職員側にも大いに反省する点がある。私も職員間での会話であったとしても、利用者さんがいる時間に自分の情報を話すべきではなかったし、A女史も不用意にゴミ箱にメモ用紙を捨てるべきではなかった。
さて、明日はどんな恐怖が私たちを待ち受けているのでしょう・・・・・・
―了―
どうも就労移行で支援員をしている網川ニールです。
さて、このブログに来る人の中には
今就労移行を通おうと思ってるけど、ぶっちゃけ就労移行ってどうなの?
と思っている人も一定数いると思います。
いますよね?
今日はそんな人に向けて
就労移行を来るべき人と、来るべきではない人について書こうと思います。
ではでは早速いってみましょう。
来るべきではない人①
明日、明後日にでも就職したい人
何度か書いていますが就労の大きな役割は
アセスメントを通して、得意不得意を見極めて、就職のサポートをすること
です。
当然ながらこれって、
一朝一夕にできません!
訓練を行い、アセスメントを取りながらしっかりと就職先を検討するのが、明日、明後日で終わるなんてありえないじゃないですか?
というより考えてみてください。
今まで職場や世の中と上手く行かなかったことが、たったの数日移行で訓練しただけで改善されますか?
って話です。
そんな簡単な問題なら、あなたは就労移行など通わずに普通に就職できているはずです!
就職するための魔法の杖なんてどこにもないのです。
ですから就労移行に通う際は
最低三か月は訓練をする!
という覚悟を持ってください。
この期間もあくまで
「最低」
です。
体調が安定しなかったり、休みがちだったりすれば当然期間は伸びます。
余談ですが、ここで
直ぐにでも就職したいから、自分は就労移行は対象外だな
と思った方は考えて欲しいことがあります。
それは……
・今まで何故、仕事が続かなかったのか?
・今度仕事をするとき、その理由は解決されているのか?
ということです。
これを考えずに就職しても、また、すぐ辞める結果になります。
直ぐ働きたい!
↓
直ぐに就職
↓
直ぐ辞める
↓
直ぐ働きたい!
↓
エンドレス
てな感じの無限ループに陥っている人は一度、働く前に落ち着いて自分のこれまでを見直してみてください。
ちなみに、自分のこれまでを見直す場所としては就労移行はとても良い場所ですよ。
まあ、その時は
最低3か月
は通ってくださいね!
来るべきではない人②
革命家的思想の人
就労移行に来る方は以下のような悩みを持っていたりします。
・何故か仕事をすぐ辞めてしまう
・同僚とのコミュニケーションが苦手だ
・自分の意図を上手く伝えられない
・自分に合った仕事を見つけられない
そんな悩みを解決したり、少しはマシにしたくて就労移行に皆さん来るわけです。
この時の解決策は、おおよそ二つですです。
①自分を変える
②社会(相手)を変える
就労移行でできるのは①のみです。
例えば、
何故か仕事をすぐ辞めてしまう
という人には・・・
辞める理由を考え、自分の苦手や不得意を改善する道
と
辞めるのは今までの会社が悪い、自分は変わる必要がないと考える道
の二通りの道があります。
前者ならば就労移行で適正なスキルを身につけることで目的を達成できます。
しかし後者はどうしようもない。
困難に直面した時、自分が変わらないで社会を変えようとするのは実に難しいことです。
それができるのは
革命家か
政治家
くらいのものです。
そして革命家も政治家も世の中や社会を変えるには膨大な時間がかかります。
二年の縛りがある就労移行で社会が変わるのを待つことはできません。
ですから自分ではなくなく、社会が変わるべきだと思う人は就労移行には向いていないと言えます。
来るべきではない人③
就職したくない人
いや、綱川よ。
そもそも就労移行に就職したくない奴はこんじゃろがい!
そう思ったそこのあなた!
そんなあなたに私は言いたい!!
普通に来るしと!
本当に普通に就労移行に就職したくない人来ますよ。
どんな人かというと保護の就労支援員から進められて無理矢理来た人や、親御さんが強制的に引っ張ってきた人です。
そういう人は就職をしたいと、自分自身は思っていません。
ただ就職活動をしていないと
怒られる
から就労移行に来るわけです。
その理由で就労移行に通うのはご本人もしんどいと思います。
先に書いた通り、就労移行はある種自分を変えるためのお手伝いをする場です。
本当に、自分を変えるのって楽じゃないです。
というより辛い!
その辛さは、人に言われたから来る!
という気持ちでは乗り越え難いものです。
もしこれを読んでいるあなたが、誰かに言われて仕方なく就労移行を検討しているのであれば、辞めた方が良いと思います。
ただし!!
就労移行に通おうと思ったきっかけは誰かに言われたからだけど、働きたいという思いはしっかりと持っているんだ!
明確なビジョンではないかもしれない、でも不確かでも働きたいという思いは嘘じゃない!
人に言われたのはきっかけに過ぎないんだ!!
というのであれば話は別です。
そんな人は是非、就労移行を利用していただきたいです。
移行支援は明確ではなくても、働きたい思いを支えて、就職までをサポートする場所ですから。
まとめ
以上、就労移行に来るべき人、来るべきではない人に関してでした。
正直に言って、これを見た人の中には
就労移行に通うってなんか大変だな
と思ったかもしれません。
でもね、考えてみてください。
一般企業で働くってそれ以上に大変なんですよ。
だから今まで一般企業で上手く行かなかった人は、
自分を変えるんだ
という覚悟がいりますし、絶対に就職しよう!という強い思いも必要なんです。
これから就労移行に通おうと思っている人は、その覚悟を持って通っていただければと思います。
その覚悟に支援員は全力で答えます!




