福島の子供たちの現状。お母さんたちの悩み。その3 | ロスからの声

ロスからの声

物足りないロサンゼルスについて書いています。

そして、国と親の考え方の差は
拡大して行った。

どう見ても国は保身と将来起きる
訴訟を計算したもの。
親は只、子供の健康を願うだけだ。

戦後繰り返されて来た問題が
やはり、ここでも現実の問題となる。

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【第3回】親と国の論理の違い

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出典:NPOセイピースプロジェクトのリーフレット「放射線被ばくから子どもを守るために」

 市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」など親たちの切望する避難要請と、政府・県の見解の差は埋めようがないかのように見える。少し双方の言い分を整理してみたい。(時事通信社国際室・山本俊明)

 政府が「安全」という根拠は、国際放射線防護委員会(ICRP)の緊急時の「公衆の防護のための助言」にある(注1)。ICRPは「事故継続等 の緊急時の状況における基準である20~100ミリSv/年を適用する地域と、事故収束後の基準である1~20ミリSv/年を適用する地域の併存を認めて いる」ので、文科省は「暫定的考え方」(第2回「夏休みだけでも避難の願い」参照)の通達を出したのだ。

 一方、微量でも放射能の影響があるというのは欧州放射線リスク委員会(ECRR)などの見解だ。NPOセイピースプロジェクトが作成したリスクのとらえ方を概念図で見てみよう。

 日本政府は斜線から右側の色の付いていない領域しかリスクがないという見解のようだ。ピンクや黄色で表示された部分は、放射線と被害の因果関係(法的には「相当因果関係」)が証明されていないとされてきた。

 しかし、1986年4月のチェルノブイリ原発事故をめぐっても、「放射線による死亡が4000人」(国際原子力機関=IAEA)という非常に少 ない評価のものから、「事故から15年だけで98万5000人と推定」(A・ヤブロフコフらの研究=注2)というものまである。2つの陣営が「過小評価」 「過大評価」と互いに批判しているのが実情だ。

(注1)文科省
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1307458.htm

(注2)ヤブロフコフらの「チェルノブイリ=人々と環境の破局の帰結」(2009年)はhttp://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf で公開されたPDF版で全文を見ることが可能。2011年の改定版も出ているとの情報がある。


福島エクソダス~原発事故は何をもたらしたのか~

避難求めるのは「非国民」?

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医療相談会で順番を待つ子どもたち(筆者撮影)

 避難求めるのは「非国民」?  専門家でもない筆者には、ICRPとECRRのどちらの説が正しいのか判断する材料はない。しかし、ヤブロフコフの研究に示された「チェルノブイリ後」に生まれた障害を抱えた子どもたちの写真が、「過小評価」派の専門家たちの主張を打ち砕く(注)。

 がんなど医療の世界でも、かつては「お医者さまの判断に従えば間違いはない」とされていたものが、近年は「セカンド・オピニオン」を求めることが当たり前になった。複数の見解がある時、普通の市民がわが子を守るために取るべき「合理的な選択」とは何だろうか。

 福島の親たちの言い分は「少しでもわが子にリスクがあるかもしれないなら、避けたい、減らしてやりたい」というものであり、科学的な確実性を求 めているわけではない。リスクがあるかもしれないなら子どもに「予防的措置」を取るというのが親としての「合理的選択」なのではないか。

 政府や県と、親たちの「対立」(あるいは立場の違い)は非常に不幸なことと考えざるを得ない。知人によると、「県内避難の子どもを受け入れている人が『なぜそんな子ども受け入れているのですか』と学校から詰問された」という、「非国民」扱いされた事例もあるそうだ。

 「子どもを人体実験に使われているようなものだ。福島の親たちの我慢も限界に近づいている」。児童らの県外脱出を支援している「ハーメルン・プロジェクト」の志田守代表はそう語る。

(次回へ続く)

(注)98万5000人の推定は、「チェルノブイリ=人々と環境の破局の帰結」(2009年)
http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf の7章7項(犠牲者の全体の数は?)の210ページで示されている
4000人説の見解としては、金子正人氏の解説(2007年)がコンパクトにまとめられている http://www.aesj.or.jp/atomos/popular/kaisetsu200701.pdf




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