「辛」に一を足すと「幸」になる | 読む人の従容たる日常

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昨日からアマプラで「シン・仮面ライダー」の配信が開始されたので、もうネタバレ云々でもなかろうとこちらへも久々のカキコ。

なお、「シン」とは言っても、コイツやないので要注意。

 

仮面ライダー生誕50周年記念作品として、「風都探偵」「仮面ライダーBLACK SUN」と併せて製作された「シン・仮面ライダー」。

現代風解釈を交えて、初代仮面ライダーの独特の雰囲気を再現させようとした庵野の試みが溢れる作品となっている。

初代の頃のような悪の秘密結社が能力ある人材を改造人間に仕立て世界征服を目論むというスタイルは今どきではないからやろけど、幸福を追求した結果、人類の抹殺を企てるという余計にヤバイ思想の集団と化したあたりも設定としてより怖さを感じさせたのはお見事と思う。

 

なので、本郷猛も初代のような頭脳明晰な科学者かつ有能なオートバイレーサーとしては描かれず、父親を人間の不条理で失った心に傷を持つ青年として設定され、池松壮亮もまたうまい演技で魅せてくれている。

なお、有能な部分はヒロインである緑川ユリ子が受け持つことになったのも、強い女性を描くのが得意な庵野のプラニングやろね。

一文字隼人の軽さは前作に通じるところはあるが、演じた柄本祐の個性さもあって後半登場ながらもインパクトのあるものやった。

庵野作品ではおなじみの竹ノ内豊が政府関係者役(しかも役名はタチバナ!)、斎藤工が情報機関エージェント役(しかも役名はタキ!)で出演しとるのも面白いし、かませ犬で登場するサソリオーグ役が長澤まさみというのもまた贅沢やし、見た目はロボット刑事っぽい自立人工知能ケイの声を松坂桃李、クモオーグの声を大森南朋、今回のラスボスでもあるイチローを森山未来が演じとる。

 

しかし、ワイ個人としては残念に思う点もある。

それは今作におけるSHOCKER(Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodelingの略)の設定。

世界を征服しようという大前提は初代仮面ライダーと一緒ではあるものの、そこに「人間の不条理さに犠牲となった」ことが起因しとるという憎むに憎み切れない存在として描いとるところは純粋な憎むべき悪の組織ではなくなっているところ。

「シン・ゴジラ」が未知なる生命、「シン・ウルトラマン」が外的生命体として描かれた背景もあって、人間同族間での対立構造が大きく描かれていない分、作品を素直に観れた分、「シン・仮面ライダー」は人間同士の争いとして描かれているので気持ちが持っていきようがなかった。

特撮作品としては面白いと思うが、時代の沿わせることの難しさも感じた映画やったかな。