3月も中旬になりますと、昼の時間が長くなり気温も上がるようになってきました。空気は湿り気を帯び、凛とした冬の空気がゆるみつつあるのを感じます。

トビがくるくると飛んでいました。
冬の吹雪が続く日などはなかなか見かけません(ぼくもまさか吹雪いている日にトビの飛んでいるのを探したりはしませんから見かけないということもあるのですが)。
トビ

飛ぶ姿は撮られませんでしたが、こちらは、昨年に山岳会の先輩から教えてもらったノスリでしょうか?飛んだ時の翼の形はふんわりと丸みを帯びたような姿でした。
ノスリ かな

ふと、建物の軒先の下、雪の積もらないあたりを見てみると、あらまあ、タネツケバナが、まだまだちいさいとは言え花を咲かせていました。ミチタネツケバナでしょうか。
ミチタネツケバナ

その近くにはハコベもありました。可愛らしい花ですね。春が来るなあとうれしくなります。
建物の軒先にあやしげにカメラを向けていて、幾人か背後を通り過ぎますが、なにせうれしいものですからね、人目などは気にしておられません。
ハコベ

15日の夜は旧暦も15日でした。十五夜ですね。
満月・・・ちょっと欠けているようですが、まあよいでしょう。のっぺりとしているのはちょっとピンボケなためだと思います。
月

白い田んぼも道沿いの家々も近くの山々も月光に照らされております。だんだんと星の見える夜も多くなってまいりました。
月光

月光に照らされる村山葉山。
夜の葉山

いや、月光で撮りたいということならやっぱり月山でしょう。と。
月光が明るすぎて、もやのかかり気味な昼に暗めに撮ったのとあまり変わりませんね。もうちょっと劇的ななにかしらを求めたかったのでしたが。
夜の月山

そしてなんと言っても朝日連峰。
夜の朝日連峰
夜に月光で撮っても朝日連峰、というわけでした。

今日(17日)も、昼に暖かく過ぎ、ああ、もう冬では無いのかも知れない。
でも、まだ春というにはちょっと早い。そんなどちらともつかずのこのところです。
二日ぶりとなりました。

首の調子をよろしくなくしてからしばらく経ちますが、まだ右腕と肩に痛みがあり本調子でありません。飲んでいる薬でなんだかぼんやりともしていやはや、いまいち気合の入らない日々です。

先週の土日のことです。療養のため温泉に行ったり(これがね、意外に効き目があるんです)しておりましたが、家に引きこもっているのも嫌になってきて、山へしば刈りに、かんじき用の枝をもらいに少しだけ道沿いからわが家の山林へ入ってきました。

クロモジの芽はまだ硬いままです。丸っこい玉のようなのが花芽です。とんがったのは葉っぱの芽。
クロモジ

これがわが家の山の一部です。うちで所有している山林は家の近くを取り巻くようにあるんですが、北向きの日当たりがよくなく、急斜面のところが多くてスギの生育スピードはよくありません。その分、密にしっかり育つのかなと思うのですが。
わが家の山

新雪はそれほど多くなくすねの中ほどまででした。その下には2mほど積もっているはずですが、3月になると雪全体が締まってくるため足は埋もれていきません。
雪の深さ

この日は、かんじきの材料が欲しいなあ、ということで、オッカノキ(ウリハダカエデ)とスギかマンサクの枝を採りましょうと思っておりました。
あまり深くまでは山に入られないので、道沿いのこの場所にしたんですが、はて、こちらではあまりオッカノキは見かけません。あるかな?あるかな?と思って探していたら尾根の上まで着いてしまいました。
ちいさめのオッカノキはあるはずなんですが、雪の下に埋もれて伏しているのでしょうね。
尾根
尾根は、山林の持ち主の境界になっていることが多く、ここの尾根の左側の下前はうちの山ですが右は違う方のお山です。

すこし尾根を進んで見下ろすと、いつも通っている道路が眼下に見えました。
ここから落ちたらただではすみません。
晴れて穏やかな空模様で、木々の香り、枝から雪の落ちる音、遠くから小鳥の声やキツツキのととととと、っと木をつつく音が聞こえております。やっぱり山はよいですね。ほんのちょっとでもよいものです。
見下ろせば急斜面

あまり体を冷やすと首がよろしくないので、スギの枝だけ採取して帰ることにしました。
かんじきというと、上物はクロモジやマンサクですが、うちの小屋にあるものなどはスギのものもあり、普段に使うのにはよいのでないかと思っております。
それと、スギの枝は木の下のほうは、いずれ枝打ちしなければならないもので、つまり幾らでも手に入り、いだましぐない、というわけなのです。
ちょうどよい太さの枝が雪にひっぱられてぴーんとロープのように伸びています。
スギ
以前にも何度も書きましたが、日本海側のスギはすこし種類が違って、雪に対応ししなやかな材質になっています。枝の場合は年輪がものすごく混み、この太さでも10年以上は経過していることでしょう。毎年雪でこのように鍛えられておるのですね。

で、ほどよい太さのものをみつくろって数本いただきました。
枝をいただく

かんじきを結ぶのにオッカノキの皮でやりたいと思っていて、オッカノキはまだ手に入っておりませんからとりあえず必要な長さに切って皮を剥きました。
材料に

皮をむくのはなかなか手がかかって・・・。
そしたら、通りかかったじいさまが「あと半月もすると簡単にむけるんだ」とのこと。
3月には木が水を吸い上げて皮がはがれやすくなるそうです。それは知ってはいたのですが、もう3月だからよろしいでしょう、と思ったのでした。
木々はカレンダーで進んでいるわけではないですものね。
あと一点。
かんじきは、曲げるときはまだ皮がついていてもよろしいらしい。
昨年にかんじきのテストをした際、面倒なので皮をむかずに曲げたのですが、あちらが正しかったのですね。
なんでも、何度もやってみないとわからないものです。
さて、こけしの絵付けをした博物館の一室には、民具が何十点か収められていました。
まだそれほど古くない、今も使われているようなものもあり、ものによっては触れる状態になっていました。

はけごです。
「はけご」は、あけびのつる、あるいはわらで編まれたものもある腰に付け、または背負うように作られたかごのことです。トートバッグとウエストバッグをあわせたような役割でしょうか?
腰につけるものは、山菜やきのこ採り、田植えなどにも使用します。背負うタイプのものは落ち葉集めや桑の葉、草刈りしたものを運ぶのに用いました。
はけごの編み
編みの丁寧さに目をとられ全体を撮った写真がありません。

ふちもつるで編みこまれています。
はけごの編み ふち

わらだもありました。
「わらだ」はカイコを飼う際に、ここに桑の葉を敷き、そこにお蚕様を置くのに使ったそうです。
うちでもかつて養蚕をしていたので、わらだがあり、今はゼンマイを干したり、梅干にも使います。重ねておいてある後ろの木の板は、よくわかりませんでしたが、わらだを作るのに用いたのかもしれません。
わらだ

材料を見ると、う~む。
細い竹のような素材です。チマキザサ(平たくは「くまざさ」とも呼びます)の茎でしょうか?
竹を割った材料を使ったりすることもあります。
ササの茎を編んだ

かんじきもありました。うちのひいじいさんの作っていたかんじきとは少し様子が違っています。
針金で補強したりした跡があり、かんじきの輪の左右にかけたひもは、これは何の繊維でしょう?麻繊維でしょうか?麻だとするとどの麻かなあと思いました。ここの部分が樹皮で出来たものも見たことがあります。
うちに残るものは、足を結びつけるひもそのものが左右にかけてあります。
地域差による違いなのか、それぞれ好きなように工夫していたものなのか、時代の変遷なのかわかりません。
かんじき
かんじきに用いる木は、マンサク、クロモジなどが有名ですが、そのほか、ウリハダカエデ、スギ(枝)、イタヤカエデ(幹)、アブラチャン、オオカメノキ、と様々であったようです。このほかにも竹を曲げたものなども見たことがあります。木のつめもあったり無かったりしますが、クリの木、イタヤカエデ、ミズナラなど用いられるようです。

こちらは「ときと」と呼ばれる頭巾というか、帽子というか、笠というか、そのようなものです。
これはうちの集落でもかぶるかたがあったそうです。
じいさまに聞くと、これはなんでも普段の集落の中にだけいる時にはかぶらないんだそうです。
これは山に行く際にだけかぶるそうで、なぜか聞いたところ、あまり見た目がよろしくないということでした。普段は毛の帽子などをかむり、山に行く時はこれ、という使い分けであったようです。なぜ山に行くのにこれなのかとさらに聞くと、「いだますぐないさげ(もったいなくないから)」だそうです。買ったものなどはいだますいんですが、自分で作れるものはいだますぐないんですね。材料は、イグサの類やワラ、編むのにはあおそ糸を使ったようです。
なお、クルミの殻は飾りだそうです。
ときと

わらのくつのいろいろ。
これらは、冬用、あるいは冬用です。
真ん中の編みこまれたものは、ずんべぐつ、奥の丈のあるものはふかぐつ、右のスリッパのようなのはよそうき(おそうき)。
わらのくついろいろ

ずんべぐつ、です。
山に行くのに用いられたと書いてありました。わらを編みこんであり厚みで断熱がよかったのかもしれません。実際の使用の際にはどんなふうだったのでしょう?素足で履いたものなのでしょうか?どうもそのあたりがよくわかりません。
ずんべぐつ

すごいものがありました。
あおじし(カモシカ)の毛皮製の手袋と革靴、いえ、革沓と書いてありますね。
ガラスケースのなかで、どちらももさもさと毛皮ですから見分けがつきません。
あおじしの手袋と革沓

こちらが沓のようです。
説明によると、これは熊狩りに用いられた沓で、雪での滑り止めにカモシカの足の爪を利用したと書いてあります。そのために一頭のカモシカから一足しか作れずたいへんに貴重なものであり、熊狩りのリーダーのみが使用したとありました。一般の狩人は先ほどのずんべぐつを使ったとも書いてありました。大変に貴重なものですね。
あおししの革沓
カモシカは天然記念物になっておりますが、今は数もある程度多くなっております。
かつては食用にもし、たいへんに美味しいそうです(美味しくない、という見解も聞いたことがありますが)。天然記念物ですから、現在は捕まえて食べたりしてはいけません。
アオジシ(発音はあおずす)、あるいは単に「あお」、とも呼びます。「あお」ですと、カケヤ(でっかい木槌)も「あお」と呼ぶものですから少しややこしいです。

最後に、この日に、一番感心したものです。
わら(おそらく)を織り込んだようにして作ってあるミトン型のてぶくろです。
織り込むことでこのような造形ができるものなのですね、なんと見事な手仕事、そして使い込んであるのか手の形がそのまま残されたような使用感ある姿でありましょうか。感嘆するほかありません。
てぶくろ

実際の暮らしで、あるいは山で使われたこれらの品々はどれもその地で採れる材料で工夫して作られたものなのですね。作る技術は、代々受け継がれたものなのでありましょう。
じいさまの言を借りれば、いだますぐないもの、なのでしょう。
自分で作れるので暮らしの中で、山で実際に使うのにいだますぐない。
でも、ぼくには自分では作られない品物たちなのでたいへんにいだますぐ感じられました。