飯豊連峰の梶川峰上部の保全作業の翌朝のことです。
現地で解散し、それぞれに家路につきました。

梶川尾根の登山口近くのクロバナヒキオコシ。
クロバナという名ですが、実際はとても濃い紫色です。
クロバナヒキオコシ

見上げる梶川尾根の登山口からすぐ上。
ありえない角度でのいきなりの登りですね。あの尾根を登ったのだなあと感慨があります。
梶川尾根取り付きのあたり

飯豊のこの登山口は、海に近く(ぼくの自宅よりは)、せっかくなので海に立ち寄ることにしました。
登山口から新潟方向へ向かってクルマを走らせます。
あら、なにかあります。
かかし発見

これはかかし、ですね。
かわいらしい顔立ちです。マネキンかなにかを使っているのでしょうか。
ここの田んぼの近くでは、以前にニホンザルを見かけたことがありました。
おそらくは農作物の被害が相当あるのでないでしょうか。
かわいいかかし

かかしの腰には、散弾銃のたまの薬きょうが付いていました。作られた方の本気度がうかがえます。(やっぱり相当に田畑をやられておるのでしょう)
腰に弾

こちらには・・・
なんかいる

!?
これは・・・
お供にするのだから、おそらくは犬、なのでしょうね。月の輪もなかったので、やっぱり犬なのでしょう。
耳がちょこんとかわいい。そして、かかしさんのお顔がちょっとこわい。

新潟に入り、朝日連峰方向を見てみましたが、どれがどの山なのかわかりませんでした。

コンビニに立ち寄ったりしながら、田んぼの中の道を行きます。
ああ、よいな、よい風景です。
ぼくは時折、「田舎暮らしってしてみたいなあ」と口にするのですが、イメージとしてはこういうところです。うちの場合は、田舎というより山なんですね。いえ、山暮らしももちろんよいのですが。
田舎道

新潟の関川村から国道を走り、村上市を抜け、海沿いにつきました。
だんだんと海に近くなって、海が見えた瞬間は、おぉ!海だ!という気持ちです。
いつも山に囲まれて過ごしているものですから、海は見るたびにうれしい気持ちになります。
海岸へ

砂浜へ降りてみると、貝殻がたくさんありました。
貝殻

こないだ買い求めたサンダルです。思っていたより脱げにくく、歩く際の足音を消せるのが、生き物の観察に向いているようでした。海岸にも合いそうです。
さんだる

波が寄せては引き。そのたびに波打ち際の砂がさららと動きます。
美しい海

しかしなんという透明度でしょう。
以前に、海で熱心に釣りをしていたころ、海の水ってこんなに透明で綺麗なんだなあ、と新潟や山形の日本海を見て思ったものでした。(工業港の近くなどはあまり綺麗でないですけれどね)
このあと、クルマを走らせながら、海に降りられる場所で草や磯の生き物の観察をしました。
昼食後もすこし作業をして、ぼくの配置されたA-2班の今回の作業を完了しました。
(今回も参加者が多く集まり、森林限界上のA隊に数班、樹林帯のB隊に数班に分かれ、総勢60名近くでの作業でした)

できあがりの様子です。
実際のできあがりは、これからの時間が経過し、ここに雨や風や登山者の通行により砂がたまって、ということになります。
出来上がりの様子
左右のネットは、風と流水から植物の芽吹きを守り、ネットがガスの水分をとらえて適度に湿り気を保ち、張ってあることで登山者が踏み込まないため植物が育つ、と、いくつもの効果により植生が回復できるのでないかという目的であります。

4年ほど前に張られたであろうネットのところにはだいぶ草が育ったところもありました。
ここで草が育っていけば、草の根と、枯葉の積もったのがまた土を作って砂をおさえていくはずです。
草が生えてきた

細く深く水で削られたところには土嚢をちいさめに。
こういうのは結構効き目があるのですよね。逆に放置しておくとこの幅がぐんぐん広くなるわけです。
細い洗掘箇所

登山道の近くにちいさな池塘がありました。
今回撮り忘れてきたのは、前回に登山道から登山道外に水を排水した箇所において、草原に砂が流出し、影響を与えてしまっていたところで、それを改善するため、水は外に出したい、砂はとどめたい、というのが今回の作業の肝でありました。
前の記事にあった「ふとまき」の中に詰めたのは、その砂で、それには周辺の草のタネがふんだんに含まれているはずだろう、ということもありました。
今度行く機会があったら撮ってこなくてはいけません。
ちいさな池糖

振り返りは12:30くらいからでした。
各班の班長が、施工の狙い、作業内容を説明し、ほかの参加者が質問したり、アドバイザの専門家お二人が講評をしてくれます。
説明

うわあ、一面がチングルマの穂だ!
一面のチングルマの穂

ぼくらの作業箇所も振り返りと講評をしてもらいました。
施工については、参加者も経験豊富になってきたことで熟練の域に達しつつある、ということでした。
前述したように、砂がたまってからが効き目があるものであり、その時期を待ち、経過を観察して再び作業しましょうということになりました。
ぼくらの作業箇所

次の箇所では、新しい資材の投入がありました。
これはヤシ繊維で作られたポットで、砂をいれ、草原と登山道のふちで、草原から落っこちた草の株を拾って入れ、風で掘れてしまった箇所を埋める、というアプローチです。
ポットは丸で、それを充填してハニカム構造のようになっています。これもどんなふうに経過するのか楽しみですね。
ヤシ繊維のポット

振り返りの終了とともに、ガスが濃くなり、雨が落ちてきました。
下山を開始します。

下山途中でB班の作業箇所もみんなで見学しました。
B班作業箇所

このブログを読まれている方にはもう見慣れた施工方法ですね。
数年前に教えてもらった倒木と杭、土嚢、刈り払った草を使った方法です。
定番になった直し方
専門家のKさんからは「樹林帯でのこの方法はひとつの完成を見た」との評でありました。
※アドバイザさんは、専門家としての妥協の無さを感じさせる方ですので、この評価は最大限の高評価でなかったかと思われます。

下山の途中からは雨がざんざんと降ってきました。
この尾根は、全体に急勾配で、何箇所もこういった危険な箇所があります。この作業の少し前に、下山までもうちょっと、というところで滑落(というより墜落のようでしたが)して亡くなられてしまった方もあったと聞きます。
下山時の様子

ずぶぬれになって下山したのは16:30過ぎくらいのことでした。
登山口にある温泉で汗を流し、その後は、ロッジで夜の部でずいぶんにぎやかに過ごしました。
夜の部が第二の本番である!という気概の方も多くあったようです。

翌朝の寄せ書き。
寄せ書き

この寄せ書きは、今回参加してくれたスーパー助っ人のKさん(なんだかKさんが多いですね)が取り組んでいる、全国リヤカーリレー?のリヤカーにくっつけて一緒に歩かれるとのことでした。

翌朝の解散後、ぼくは一人、海岸を眺めに日本海へ向かいました。
昨日まで以東岳付近での保全作業に参加しておりました。
穏やかな天候のもと、見上げれば以東岳、眼下に大鳥池。
池では同日にタキタロウの調査など行われておりました。

さておき、飯豊の梶川峰での作業の様子です。
現地に到着し、施工箇所を設計図と照らし合わせて確認し、作業に入っていきます。
今回のぼくの入った班の作業は、洗掘の進む登山道を、水の流れを弱め、登山道外に水のみを排水するためのものでした。
やし繊維で織られたネットに砂とやし繊維を入れていきます。
ネットに砂とやし繊維を

砂は、そのへんから採ったものでなく、前回に設置した排水の先に流れ出た砂を使用しました。
そのへんからやたらと採ったのでは自然の地形などを壊してしまうことになります。排水から流れ出た砂は、その先の草原の植生を埋めつつありましたから、それを取り除いて軽減できるということもあると思います。
やし繊維を組み合わせるのは、ほかの箇所での経過の観察において、やし繊維のみでは乾きすぎて草の芽が出ない、砂だけではネットから抜けたり、かさがたらない、組み合わせると両方のよいところがあわさって丈夫に、しかも草が生えやすいということがあったためです。
中身を入れる

中身を敷き詰めましたら、みんなではじっこを持ち
くるんでいきます

くるん。
みんなでくるむ
焼き海苔にごはんを入れるふとまきに似ておりますね。
このふとまきに入るのは、しゃり(ごはん)でなく、じゃり(砂利)なんだよねえ、という声もありました。

これを位置調整したりしながらいくつもこしらえました。
出来上がり

10時ちょっと前から作業を開始し、2時間ほど経過したところで昼食の休憩を。
これはなすの漬物。もともとナスは好物で、山で食べるとさらに格別においしゅうございます。
漬物はうちの山岳会の会長が毎回のように用意してくれるもので、一緒に山に行くと「これ、入れてね」とほいっと手渡されるのですが、結構重い・・・。
なす

山でのランチの時間というものは、たいへん楽しい時間ですね。
たくさんのアキアカネが草原の草の先っちょに止まり、なにかのタイミングでひらひらと舞っていました。
たくさんのトンボ

いろいろな草花もあります。
これはコゴメグサ。ミヤマコゴメグサでないかな、と思います。
ミヤマコゴメクサ

タカネマツムシソウ。頭花のふちを装飾花がフリルのようにとりかこみます。
タカネマツムシソウ

白く咲いているのはイワショウブ。
イワショウブ

登ってくる途中の雨は止み、作業中はずっと穏やかな空模様が続きました。
梶川上部

このあと、それぞれの班での作業内容を全員で確認します。
ここはこういう目的でこのように設置した、というのを専門家のアドバイスをいただきながら振り返っていくのですが、これをすることで、自分たちがやった箇所だけでなく、全体としてなんのためにしたのか、というのをまとめていくのです。
実は、これがたいへんに深い内容を含んでいて、全て書き取って本にでもまとめたらなかなか立派な書物になるのでないか(もうひとりのアドバイザさんがデータをまとめていて本にしたいといっておりました)と思われるものでした。作業兼講習会、という感じがします。