今夜もホタルを見に行っておりました。気になっているのはまだ見たことのないヒメボタルで、まわりに灯りの無い森の奥にいるとかなんとかそういうことなので、ちょっとね、人の気配の無いところまで行って灯りを消してじっとしてみると、いつも慣れている田んぼとも違って怖いこと怖いこと・・・。特に、遭難者の出たようなところあたりの森でもあったので、ちょっとね。

さて、土曜のことです。この日の午後は楽しく仕事をして、その後、しばらく前に誘われたプラネタリウムの操作の見学と練習に行きました。そうなのですよ、実は星が好きだというのがあれがこうで、そうなって、というような経緯でプラネタリウムの操作をするボランティアをしましょうということになったのでした。

で、その場所に行って練習がはじまるまではあたりの林をうろうろしたりしていました。
ここ数日はクリの花が満開になって、甘ったるいような香りがあたりに満ちております(このにおいはあまりいろいろ好評でないようですが、ぼくは季節感があって好きです)。
山の草とか花とか虫とか-クリの花

この白いほわほわしたようなブラシのようなのがクリの花です。
クリの仲間のコナラやブナなどは風に花粉を乗せるのですが、クリの花はその仲間ではめずらしく虫を呼んで花粉を運んでもらうようです。においがあるということは、虫を呼んでいるということですよね。どんな虫が来るのだか未だ観察できていません。アリはやってきていましたが、アリではほかの木に行けるほど移動しないでしょうから、きっと飛ぶ虫がクリのお目当てなのですよね。ハチかなあ、やっぱり。
山の草とか花とか虫とか-クリの雄花

雌花はというと、こんなちいさいけれどとげとげでした。
根元近くの緑のとげとげはイガになって、先っちょのほうの白っぽいとげとげはめしべのようでした。クリの実がなったのを見るとオバケのQ太郎のようになっているので、そのオバQの毛の部分がもともとはめしべ?なのかな?なんて思いました(どうなんでしょうね?)
山の草とか花とか虫とか-クリの雌花

こちらは食べごろになっているクワの実です。
もっとたくさん付く株もありますが、ここのはちょっと少なめでした。
毛のように見えているのはめしべのさきっちょの残りです。ヤマグワはこの毛が目立つ感じに残り、マグワ(カイコのえさ用に輸入されて栽培されたクワ)は、目立たないそうです。なので、これはヤマグワかな?
山の草とか花とか虫とか-クワの実

黒く熟すと食べごろ。
これは汁気が多い実で、ブルーブラックのインクのように青紫の果汁が出ます。小学校の帰り道につまみ食いをしながら変えると、手も口元も、シャツも紫色になってしまってそのたびに洗濯が大変だと叱られたのです。そして、「クワの実を食べ過ぎるとコレラにかかる」なんて脅されたのですが、う~ん、そういうこともなさそうですよね。
山の草とか花とか虫とか-クワの実 大

葉っぱは、こんな風に切れ込みの目立つものもあり、
山の草とか花とか虫とか-クワの葉 切れ込みもある

大きな切れ込みのないものもあり。おなじ木にまるっきり見た目の違った葉が茂っております。
山の草とか花とか虫とか-クワの葉 切れ込みの無いのもある
実のなるほどに大きく高いところの葉っぱは大きな切れ込みのない葉が多いなと感じました。
クワの実を食べることにはたいていクリの花の香りがするので、クワの実の香りはその香りとセットになってどちらがどちらだか区別ができません。そしてまた、この香りのする晩にホタルが飛ぶのです。

ええと、クワの実を食べている場合ではありませんでした。
そうそう、プラネタリウムの練習です。
機材はこんな感じ。
山の草とか花とか虫とか-プラネタリウム 機材

こちらの四角の箱は、流星群を映すためのもの。
ここのプラネタリウムは、かなり古い歴史のあるものになってしまって、ぼくも子どものころにここに来て鑑賞した記憶があります。
山の草とか花とか虫とか-流星を流す装置

この日は練習と実際の活動の見学でした。
星の解説はこの日は、一緒に星を見ることの多い星好きの本屋さんでした。

それが終わってから、ちょっとあちこち操作させてもらいました。
星座の絵なども表示できます。(手動でセットするので、決まったところにしか映りません)
山の草とか花とか虫とか-星座の絵

操作していると、星の動くのを本物よりもずいぶん短い時間で動かすことなどもできてしまいます。おおお!これは撮ってみたい!
で、撮ったのがこれ。いえいえ、遊んでいるのではありません。練習しているのです(多分)。
嗚呼、練習は辛くてほんとにタイヘン、タイヘン・・・。と言ってみる。
山の草とか花とか虫とか-星の軌跡

北の空の様子も再現。
本物の星空でもこんなふうに撮ると、星の動くのが実感できるのですが、このくらいの角度が動くのにええと、どのくらいかかるでしょうね?一日で約360度として、これは何度くらいあります?30度くらいだとすると、2時間分の星の動きになります。実際にこれを撮ってみたのは10秒ほどでした。
山の草とか花とか虫とか-北天

プラネタリウムは、見ていて面白いし素晴らしいのですが、やはりそれは本物ではないなあ、なんて思うところもあります。ここの施設の方もそれは感じているところで、望遠鏡も古いものが使えそうな部品が残っているので、担当の方が言うにはそれも直せたら使いたいな、ということでした。ぼくも、せっかく晴れの夜になる日があるならば、せっかくだもの本物を見たら良いさと思うのでした。

ところで、プラネタリウム。操作はともかく、これは話術と星座のおはなしなどを鍛えねばならないなと感じました。どちらかというと、早口言葉とおはなしを覚える記憶力の特訓が要るようでございました・・・。どうも発声に自信がないものだから、ちょっとことの成り行きが不安でもあります。

Plant×50

ヤマグワ、ヤマグリ・・・2種×50=100円
(クリはクリとしか図鑑には載っていないのですが、栽培しているものをクリ、山に生えるちいさな実のものをヤマグリとかシバグリとか呼び慣らしているのでヤマグリとしました。)

7月1日から累計100円

2012年6月:3,750円
2012年5月:2,450円
2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円
ここ数日は、夜な夜な田んぼを経由して帰宅しています。
どんな時期のどんな夜のどんな時間にホタルが動いているものだか観察しているのでした。

今夜は雨が降ったりやんだりの空模様ですが、昨晩までは晴れた夜が続いていました。
うちの田んぼからの星空、左上の線は飛行機です。
山の草とか花とか虫とか-星空

星のある夜は、いまのところあまりホタルは頑張って活動しているようでもありません。
それでもいくつか星空を背景に飛んでくれたりしたホタルがおりました。
山の草とか花とか虫とか-ホタルと星空 うちの田んぼ

ちょっと色合いが設定の関係で変になっているのですが、これは10秒ほどのシャッタースピードで撮ったものを8枚ほど重ねた写真です。
ホタルはじっと数時間観察していると、その場所での動きが見えてきます。
あてずっぽうに飛んでいるのでなしに、いくつか決まった法則のようなものがあって飛んでいるようです。写真で遠くのほうにたくさん写っているところは土手の中腹にちいさな堰があるところです。
山の草とか花とか虫とか-うちの田んぼ 多重露出
こんなことをして時間を過ごしていると、こちらの気配が消えてしまうのか、近くまでタヌキ殿がやってきて、すぐ後ろでがさがさ!と音をたてたりするのでびっくりしてしまいます。

ちかくの、先日にホタルのはなしをした会のかかわっているあたりの田んぼにも行ってみました。この夜は月が明るくって、まるで昼のように写ります。
山の草とか花とか虫とか-へんぐり 月夜

この場所は、周りを林に囲まれていて、奥の方は谷間のようになっております。
今年はまだ昼に行っていないのですが、除草剤はどこも使っていない様子です。
はなしに聞くと、世界一ちいさなトンボもこのあたりに飛ぶとか飛ばないとか、そのあたりや植生などもそのうちに昼間に行って確認したいところです。
山の草とか花とか虫とか-へんぐり 田んぼの様子

夜の田んぼからはもやが上がっていました。昼に温まった田んぼからの湯気なのか、イネが呼吸しているからなのかよくわかりませんでした。
山の草とか花とか虫とか-田んぼから上がるもや

イネの葉に水分がきらきらと輝いているのはたしかなことでした。
山の草とか花とか虫とか-イネ 月光

ここでもしばらく過ごしているとホタルの通るルートが見えてきました。
山の草とか花とか虫とか-ホタルと星空 へんぐり
月夜の田んぼで、カエルの声を聞きながら星空とホタルを一緒に撮られる。こんなに贅沢なことはそうそうありません。
寒くもないし、暑くもないし、ついつい眠ってしまいそうになりました。
今年もこれからしばらくは夜の田んぼに通おうかと思っているところです。
もう先週のことになりますが、地元のホタルの会から、今年の総会でホタルや虫などそういう話の講師をしてくれと頼まれておりました。
お断りをしておくと、ぼくはなにかしらの専門家でも先生でもないのです。
でも、頼まれるとはずかしげもなくひょこひょこと出て行ってしまうのでした。

資料もせっかく作ったので載せようかなと思います。(ちと長いですが)


昨年(2011年)にへんぐり地区で確認したホタルは、ゲンジボタルとヘイケボタルの二種類でした。これに、ヘイケボタルと間違われることのあるヒメボタルをあわせて、それぞれの住む環境などについて見てみましょう。この3種は、夜に光って飛ぶいわゆる「ホタル」として知られているものです。
(※へんぐり地区はそのままうちの近くで呼ばれているままの地名です。かつて川がこの地を山の尾根にそってくるんと回っていたので、「辺めぐり」、「へんめぐり」がなまって「へんぐり」になったそうです。江戸時代かそのあたりに川の曲がりを切通しでまっすぐにして、その川の巡っていたところを田んぼにした経緯があります)

ゲンジボタル:体長はメス18mm、オス15mm程度。小川や田んぼの用水路に住みなじみのあるホタルです。幼虫はカワニナを食べると言われています。水の綺麗なところに住むイメージがありますが、えさとなるカワニナ自体がそれほど綺麗な水を好むわけではないので、まるっきり渓流の澄んだ水でないといけないというわけではありません。飛ぶ時期はこの近くでは6月の下旬から7月の中旬ころまでとなっています。川沿いでも飛んでいて、川から取水している堰もカワニナが多くよい住処になっています。このホタルの幼虫が生きていくには水が通年あるところでないといけないため、乾田化したのにつれて各地で数を減らしてきた経緯があります。
山の草とか花とか虫とか-ゲンジボタル
光るゲンジボタル成虫。

ゲンジボタルと水辺の様子。観察しているとある程度決まった飛ぶルートが見えてきます。

山の草とか花とか虫とか-へんぐり

ヘイケボタル:体長はメス12mm、オス10mm程度。ヘイケボタルは、昨年の7月にここでで初めて確認(これまで気がつかなかった)しました。幼虫はモノアラガイやほかの生き物の死体など食性はゲンジボタルに比べてひろいと言われています。ヘイケボタルは、住む環境はゲンジボタルよりもより里のほうと言われています。発生時期はゲンジボタルよりも遅く長く、昨年は8月中旬にも観察することができました。

ヘイケボタルはゲンジボタルよりもちいさく、胸の部分の赤い模様のなかに黒い帯があります。
山の草とか花とか虫とか-ヘイケボタル

あぜに集まっているヘイケボタル成虫。
山の草とか花とか虫とか-ヘイケボタル 集まる

ヒメボタル:体長はメス5mm、オス7mmほどとちいさく、メスは飛ぶことができません。上記の2種と異なり幼虫は陸に住むため林の奥などに気がつかずに生息している可能性はあります。志津のネイチャーセンターなどではヒメボタルの観察会なども開催されているようです。幼虫は陸生のため、おなじく陸生の貝であるオカチョウジガイやキセルガイの仲間を食べているものと考えられています。このホタルの場合には、光から逃げていく習性があるため、道路灯などから避けるなどでなかなか目につかないのだと思われます。
(写真はまだありません)

陸生ホタルの幼虫について
ホタルの仲間は、日本では40種類以上が確認されていますが、そのほとんどは陸生(幼虫の時期を陸ですごす)で、世界中で見ても水にすむホタルは5種類ほどで、うち4種が日本に分布しています。ホタル=水辺というのは日本特有のものらしいのです。ここの近くで見つけた陸生のホタルでは、まずオバボタルは、庭先や山林にも生息していて、夜に森の中を眺めたりすると、あちこち地面が光っているように見えるのはこの虫のためでもあると思います。成虫は昼に飛んで、子どもなどは「ニセボタル」などと呼んでいる虫です。幼虫の時期には、水にすむのと同じく腹部が光ります。もうひとつはクロマドボタルの幼虫と思われるもので、こちらは木の枝などを這っているのを見かけます。これも、腹部が光り、雪のない時期にはかなり長い期間観察することができます。陸生のホタルの幼虫はあちこちに生息しているものですが、気がつかない場合が多く、ヒメボタルの幼虫もこれらとおなじような形をしているものと推測されます。


杉林にいたオバボタルと思われる幼虫。
山の草とか花とか虫とか-オバボタル幼虫

おなじところのクロマドボタルと思われる幼虫。
山の草とか花とか虫とか-クロマドボタル幼虫

ゲンジボタルとヘイケボタルの幼虫のえさについて
水棲のゲンジボタルのえさについてのカワニナは、各地のホタルをふやす運動などであちこちから移入され、もともと移動する能力の少ない淡水の貝類の地域個体のかく乱が懸念されます。また、寄生虫をもっていることもあり、安易にほかの水域からの持込などはすべきでありません。写真に一緒に写っている丸い巻貝は、近年になって分布を広げている外来種のサカマキガイと呼ばれる淡水の貝です。以前から生息しているモノアラガイとは貝の巻きが逆になっていて、また触覚の形状などの違いがあります。この外来種による生態系への影響はいまのところよくわかりません。

山の草とか花とか虫とか-カワニナ サカマキガイ

ホタルの住んでいる環境と羽化するまで
水棲ホタルの幼虫は5月ごろに、これまで住んでいた水のなかを離れ、土やコケのなかでさなぎになります。このため、ホタルが少なくなった=水が汚くなった、と思われがちですが、水質に加えて土の側溝からコンクリートの側溝に更新されてきたことが住む場所を少なくしてきた大きな要因と思っています。コンクリートの側溝では、落ち葉が残らずに流れ、えさとなるカワニナが生育できず、また蛹になるため土に上がることも出来ないためホタルが住むことは困難になります。また小川でも同様に、これまで護岸工事が進められた結果、流速は早くなり、ホタルが上陸することもできなくなっています。また、畦道などが舗装された場合には、土に潜ることができなくなってしまいます。ヒメボタルについては、まだ生態が充分にわかっていない部分が多いのですが、えさになる陸生の貝類は、落ち葉などを食べて生きていることから、道路周辺のむやみな殺虫剤や除草剤の使用により少なくなっているであろうことが想像されます。

つまり、ホタルが安定して成育するためには、水と土とあわせてそのまま守っていく必要があり、へんぐり地区に多くホタルが残った要因として、土のままの側溝があったこと、上流部にある程度深い池があり、年間を通して水が流れていることがあげられます。このため、堰の管理方法の変更などで水を止めてしまうことや、土が固まってしまったり、コンクリート側溝になったりした場合には、ホタルの成育には直接的に影響がでてきます。また、ヒメボタルは、ここでは確認できていないものの、不要な街路灯の撤去など住みよい環境にしていくことで今後確認できる可能性は高まるのではないでしょうか。


と、まあ、このような資料をお渡ししてお話をしたのでした。

これまで、山村のむらづくりというと、道路を拡幅し、いろんな建物をたて、というように進展してきました。全国各地に「三流の都会」を作るのが発展することだったのでしょう。
ホタル飛ぶ風景は、田んぼと山と川、草むらの風景ですから、うちの近くの集落でそれを大事だと思うようになったのにはかなりおおきな気持ちの変化があるように思います。
山村を「三流の都会」へ、ではなく、「一流の山村」へ。

そしてまた、ホタルというのは希少種というわけではなくそのへんにいる虫です。
ホタルそのものが貴重なのでなしに、ホタルが住みうるそういう環境があるということ、そういう環境はヒトもずっと住むことができるのだろう(むやみにクスリをつかわずに田んぼをしているとういうことですね)ということにホタルの光を眺める嬉しさがあるのかもしれません。
ここ数年には「生物多様性」という言葉がでてきました。これまでの生物種の保護というと、ある特定の珍しいものを保全していこうという活動でした。
ところが、実際にひとも一緒に住みよい、ずっと作物を作ったり、山で採集して暮らすことのできるところとして考えると、特定のある種類を守っていくということではなしに、大事なのはいわゆる「普通種」と呼ばれるものの豊富さなのだろうと思うのです。
ついついね、珍しいものを有難がってしまうのが人の性なのですが、当たり前のそのへんにある草や虫が、いつまでもそのへんにある。そういうのが良いですね。

はなしの終わりには、ぼくは道端で草を撮ったり虫を撮ったりしているのですが、実はこういうものを観察しておるのですから、怪しいものでも、おかしくなってしまったのでもありませんよ。と言わせていただいて、よし、これでもっと安心して草を眺められるなあ、と思ったのでした。