核爆発による地震、太陽が励起する地震 | toshiのブログ

toshiのブログ

日頃、科学技術について調査していることや趣味でやっていることなどを紹介していきます。

3月11日 14:46の東日本地震が、人工地震ではないかという風評があるので、その可能性について、これまで入手し得た資料に基づいて検証してみる。(HAARPについては、只今検討中なので、結論が出たら別の機会に述べてみたい。)


まず、地震が核爆破によるものかどうか解析する手法について述べた論文2件紹介する。


●title: A Probability of Detection Method for Reducing Short-Period mb - Ms False Alarm Rates

 authors: Steven R. Taylor, Howard J. Patton

 publication: Bulletin of the Seismological Society of America, Vol.96, No. 3, pp.1078-1090, June 2006

 論文へのリンク


【特記事項】

実体波マグニチュード Mb、表面波マグニチュード Ms の差 Mb-Ms が、ある閾値より大きければ、爆発による地震だと判定できるとのこと。

図2では、 Mb-0.7Ms という指標が用いられ、爆発(explosion)による地震と自然地震の分布が境界値2.3を境に上下に明瞭に分離されている。


【3月11日 14時46分 東日本地震に適用してみる】

国内の地震データから、Mb, Ms を見つけることはできなかったので、海外を探してみたところ、USGSにあった。

USGSのデータ

これによると、Mb=7.2 Ms=8.3 となっている。

図2にあてはめてみると、Mb-0.7Ms=1.39

境界値2.3より下回っているので、核爆発によるものではないということになる。


-----------------------------------------------------------------------------------


●title: 地震学と核実験探知

 author: 大石真紀子

      名古屋大学大学院環境学研究科附属 地震火山・防災研究センター

      地球惑星ダイナミクス講座

 資料へのリンク


【特記事項】

核爆発が起こす地中の歪みは、「体積膨脹」を起こすため、強いP波が観測される。

震源近傍でP波が2つ到来しても、遠方では1つしか観測されない場合がある。

地震が2回起こったのではなく、P波があまりにも強烈なため、マントル層で反射したイメージが観測された可能性に言及。


【3月11日 14時46分 東日本地震に適用してみる】

防災科学技術研究所に波形データが収録されているので、紹介する。

 波形データへのリンク


気仙沼(震央距離153km)では、2つのピークが観測されている。


toshiのブログ-気仙沼(153km)



一方、滝原(震央距離303km)では、1つのピークしか観測されてない。

他の観測点のデータを見てみると、震央距離300km以下の地点では、2つのピークが現れているケースが多く、300km以上の距離では、ピークは1つしかないケースが目立つ。

2つ目のピークがP波の反射波だとすると、地下400kmあたりに反射面があると思われるが、はたしてどうなのだろうか。いまのところ、これが人工地震なのかどうか論ずるには判断材料が十分でない。


toshiのブログ-滝原(303km)


ところで、今、アラスカ、カリフォルニア、ハワイなど太平洋プレートの周辺で群発地震が活発に起こっている。それらをどう解釈すればよいだろうか。
今回、日本が被災したマグニチュード9.0の地震は、爆弾にすると400メガトン(4.5×10^17ジュール)に相当する。 これほどのエネルギーを持った兵器はまだ地球上には存在しないと思われるので、核兵器で地震エネルギーの全てを発生したと考えるのではなく、太陽活動の影響や、その他の影響を考慮して原因をさぐる必要がある。


以下に太陽フレアと地震の関係について調査された資料を紹介する


-----------------------------------------------------------------------------------

●title: Universality in solar flare and earthquake occurrence

 authors: L. de Arcangelis, C. Godano, E. Lippiello, and M. Nicodemi

 publication: Coherentia-CNR and INFN, 80125 Napoli, Italy

論文へのリンク


【概要】

太陽フレアと地震の発生頻度について統計分布を比較すると、両者は同じ分布をしている。


-----------------------------------------------------------------------------------

●title: 太陽の科学

 author: 柴田一成

 publication: NHK BOOKS


【特記事項】

P.111

強いフレアが太陽風となって地球に届くと、電離層が加熱され、超高層大気が大膨脹を起こす。人工衛星が飛んでいる高度にまで大気層が膨らんでしまうため、機体に空気抵抗が発生して落下したことがあるという。


P116

太陽の東側(地球の北半球から見て太陽の左側)にフレアが発生した場合は、その軌道は地球を反れるが、真ん中あたりで発生した場合は、地球へ直撃する可能性がある。



【感想】

太陽から来たプラズマエネルギーは地球の磁気圏に侵入してくると地殻にも作用するだろうから、センシティブな断層帯を割ってしまうかもしれない。

これを傍証する資料を以下に紹介する。


-----------------------------------------------------------------------------------

●title: Whether solar flares can trigger earthquakes?
 author: Jain, R.
 publication: American Geophysical Union, Spring Meeting 2007, abstract #IN33A-03
資料へのリンク

【概要】

1991年から2007年にかけて調査されたマグニチュード4以上の地震(682件)について太陽フレアとの関連性について検討されている。これによると、大規模なフレアの後に強い地震が発生すると言い切るには十分ではないが、50件の地震については、太陽フレアの発生位置との関係について興味深いことがわかったとしている。

フレアが太陽風となって地球の磁気圏に到達すると、環状電流が発生し、それが断層帯のプレートに急激な変化を与えるモデルを提唱している。


-----------------------------------------------------------------------------------


2011年、2月15日にXクラスの大規模フレアが発生して以来、冬眠していた太陽が目を覚ましたらしい。

宇宙天気情報へのリンク


この後、ニュージーランド大地震、東日本大震災、各地の群発地震などが続いて起こっているのだが、Xクラスフレア(水爆1億個分のエネルギー)が、4年ぶりに解放されたということもあり、地球にとっては安定していた電離層へのショックが強すぎたのではないだろうか。