ストロベリーナイト
青いシートにくるまれ、放置されていた惨殺死体。警視庁捜査一課の主任警部補・姫川玲子は
直感と行動力を武器に事件の真相に迫る・・・。
熱気と緊張感を孕んだ描写と、魅力的なキャラクター。渾身の長編エンターテインメント。
まず読んで思ったのは、これ映画やドラマ化したら面白いんでない?ってぐらい
個性豊かなキャスティングに強い印象を持ちました。
ミステリーとしての仕掛けは弱いところもあるけど、読みやすいので楽しむにはお勧めの
作品だと思います。
ただしエグイ描写も多々あるのでそういの苦手な人は止めておいた方が無難かも。
話の内容は途中から展開がスピーディで一気にラストをむかえるという感じでした。
大概本を読むのは電車の中なので、いい暇つぶしのネタになったというところでしょうか。
誉田哲也は初めて読んだけど、ブレイクしそうな作家だけに今後の作品にも注目です。
宮大工 西岡常一の遺言
西岡常一(にしおか つねかず:1908~1995)は奈良県法隆寺の宮大工の家に生まれ
希代の棟梁となった人である。法隆寺の昭和の大修理や薬師寺伽藍の復興に尽力し、
ひたすら木のいのちを生かすことを考えた。
西岡氏は一瞥しただけで木の質や癖、産地まで見抜く。宮大工としての豊富な経験と深い造詣、
柱に残った釘跡ひとつから創建時どのように建てられていたかまで分かるという。
儲けなどは頭になく、仕事のない日は田畑を耕し、困窮しても民家建築には手を染めない。
本当の職人とはこういう人のことを言うんだなと納得させられた。
西岡氏は小学校を卒業して祖父の厳命で農学校に入ることになるが、木の命を知るには
まず土を知れとの教えだった。
木に無理をさせずに組み上げた先人の叡知に触れ、千年先を考えた仕事に精魂傾ける。
速さと効率、利益が命の現在の社会にあって
「ごまかしやなしに、ほんまの仕事をやってもらいたい」
という後進への言葉はこの人だから言えることなのだろう。
今建築業界では様々な問題を抱えている。耐震偽造から建築基準法が改正され法の基準に
頼りきって、考え・検証することが少なくなってきたのも一つだと思う。
法令遵守は必要だが見直さないといけないことが数多くあるのも事実である。
1000年先を見据えた建築を造った棟梁の言葉の中に、忘れてしまった大事なものを取り戻す
ヒントが潜んでいるのは間違いないだろう。
火車
宮部みゆきの作品はどこか冷静で、話の内容も淡々としている感じがするが
読んでるといつの間にか入り込んでしまう
それだけ文章の向こう側に何があるかを、想像させてくれるからかもしれない
この『火車』はカード破産をテーマにした社会派ミステリーであるが
こないだ読んだ東野圭吾の『さまよう刃』といい、現代の社会問題を扱った作品が
最近目立つ気がする
クレジットカードなんて何も考えずに使う方が悪い
破産するのは自業自得じゃないかと普通の人なら思うだろう・・・
しかし交通事故を例えにして、必ずしも「事故に遭うのは本人が悪いだけではない」
「いくら注意してても、なんの過失もないのに命を落とされる人もいるではないか」と言う
作中の弁護士の話は鋭い点を衝いている
この本の言おうとする本質は、ここにあるのではないかと思う
経済は発展して便利な世の中になったが、法すら急速な経済成長に追いついていけてない
のが現状だ
平凡で幸せな人生を歩んでるつもりが、いつそれが180度逆転してしまうかはわからない
誰もがそういう危険性のある社会で生きている
自分には関係のないと思ってるところに、実は落とし穴があるのかもしれません
この本は素直な気持ちで読むと面白いかもね
結末もほど良い余韻を残した作品だったと思います