-白昼の法則-
有限齋基輝
令和6年2月4日
容赦なく囚われる瞳
それがそうとしかみえず
黒い空間に異邦の薫りながる
<燃えがら>へ向かう振動
系統発生の末梢から
届いた抵抗への命令に
僕は漠とした無彩色の自分になる
追手の光芒が山脈を焦がし
一齣ごとに明滅は強く変化す
奇妙な円筒形にニンゲンを模し
旋回する<石油タンク>を
どんな修辞でヒトと呼ぼうか
待避線は途切れているだろう
観念の中に生きると
不可避の<出現>に眠ってはいられない
虹彩に戸惑いをひそめ
一本の縄となれ
結び目は正しく残すのが掟だ
中断に向かう出発
いかにパラドクサルな初動だろう
それでも世界は微光し
音響はシンクロを始める
ああ今日が
パラダイム変化年の初め
滑りやすい粘った日に
立春を持て余そう
ゆるゆらん
背中をすぎる
猫のひげ
甘き怠惰を
赦すがごとく
付記 令和6年2月4日
改歳にあたり
産土さまに参拝し
他者のため役立てるよう誓いを申し上げた