無題の草稿 古いノートから このころ住んでいたアルザタワーから夜明けを見ていた 無題 流れ去るテールランプの迅さが 幾千の夜を越えてきた 不確かな私の背後に消える 惜別の言葉なんかないから 黙って永遠に手を振るだけだ その信号は届くだろうか 酷薄な魂は夜にさまよい 泣いて泣いて泣いて 月下に青白い己を見つける どんな他者でもない 己というかなしみに溺れて ハイボールに酔うばかりだ