無題
10月のその静寂の空に
ふるえる魂をはなち
帰還するかずかずの光を
まっている
背後を防ぐものは
数えるだけの矜持だろうか
扼殺されたうつくしいものが
ふと立ち上がる、その闇に
うっすらと しらじらと
当然の権利のように
やってくる
見ようが見まいが
やってくる
夜の沈黙はやがて
遠くからのサイレンに促されて
蒼い花を終わる
自由をないからと求める人は犠牲を知らない
自由を欲しいという人は礼儀を放る
端座の果てにめぐらした企ての結語はいつも
今日といういのちの時間があるということ
10月のその静かな空に
ふるえる魂をはなとう
あなた方は知らないでいい